医療法人城南ヘルスケアグループ くまもと南部広域病院 様

熊本地震の経験をもとに医療サービスの基盤となる ネットワークをAMF、AWCで構築

熊本県熊本市の医療法人城南ヘルスケアグループ くまもと南部広域病院は、2016年の熊本地震で 被災。それを機にネットワークの全面的な見直しを図り、アライドテレシスのAMF(Autonomous Management Framework)、AWC(Autonomous Wave Control)対応のネットワークを 構築。安定して稼働することはもちろん、災害など万一の際にも素早く復旧可能なネットワークを実現 した。(2019年11月公開)

医療・福祉 九州・沖縄 病床数:198床
目 的
病院内Wi-Fiの整備 無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 通信の改善(高速化・帯域強化) 運用・管理の効率化 ネットワーク監視の強化 業務効率の向上 BCP対策
プロダクト・サービス
無線LANアクセスポイント AWC スイッチ VCS Vista Managerシリーズ
規 模
100~499

熊本地震により大きな被害を受けるも職員一丸となって復旧

 2016年4月14日夜、最大震度7の大きな地震が熊本県を襲った。そして4月16日未明にも震度7の地震が発生。この熊本地震により多くの建物、施設で倒壊や破損などの被害が出たが、くまもと南部広域病院(当時は城南病院)もその一つで、建屋の倒壊こそなかったものの窓が割れたり壁にひびが入ったり、設備が損傷したりする被害があったという。
医療法人城南ヘルスケアグループくまもと南部広域病院事務部情報企画課主任の堤和夫氏は、「停電や断水などもありましたし、建物によっては損傷の激しいところもあったため一部病棟の患者様は安全な建物や他病院に移動してもらいましたが、患者様にお怪我などが無かったことは幸いでした。外来は機能を制限して継続しました」と当時を振り返る。
堤氏自身も余震が起きた際に倒れてきた機器に挟まれるという危険に遭遇したという。震度7の前震、本震だけでなく、震度6や5といった余震が頻発する中で、現場は相当に混乱していたそうだ。
「これはネットワークやシステムというだけの話ではありませんが、少しでも早い復旧を目指す中で何か分からないことがあっても担当者に連絡が付かないとか、病院に来ても混乱していて何から手をつけて良いのか分からないとか、とにかく混乱していました」と堤氏は言う。
当時はまだ電子カルテシステムは導入されていなかったため、被災後すぐにネットワークが必要という話にはならなかったが、地震でラックが動いて一部のケーブルが断線するなどの被害が出て、院内LANおよびインターネットも数日にわたり不通だったという。職員一丸となって機能の復旧を進め、被災した本館や精神科病棟、リハビリ館を改修したほか、2018年には東館(外来、健診センター、救急外来、一般病床)を新築し、病院全体の改修・新築工事が完了。2019年3月1日には、病院名も新たに「くまもと南部広域病院」としてリニューアルスタートを切った。

災害時にも素早く復旧できるネットワークが必要

 くまもと南部広域病院は、一般病床と精神科病床を併設し、回復期リハビリテーションならびに地域包括ケアの中核病院として専門性を生かした治療を提供する。「365日リハ」を掲げて充実した切れ目のないリハビリテーションはくまもと南部広域病院の特長となっており、特別な資格を持った専門のセラピストがリハビリを実施するなど、難病と診断された患者にも、専門医の指導のもと一人ひとりの症状に合わせた積極的な治療とリハビリを並行して行っている。
くまもと南部広域病院では熊本地震後、ネットワークに関して大幅な見直しを行った。堤氏は、「例えばまた熊本地震のような大きな災害が発生して、担当者が病院に来られない、ベンダーにも連絡が付かない、といった状況になったとしても最低限のバックアップから復旧できるネットワークが必要と考えました」と語る。電子カルテシステムの導入も決まっていたため、今後万一再び被災したとしても今度は素早くネットワークを復旧させる必要がある。
数社に依頼し、新ネットワークとして採用したのが、熊本のインテグレーターである株式会社ブレスからの提案だった。ブレスの提案はアライドテレシスのAMF(Autonomous Management Framework)対応のネットワークだ。「万一の際にもすぐにネットワークを復旧できるAMF機能はくまもと南部広域病院様のご要望に最適ですし、当社は以前からアライドテレシスと付き合いがあり、製品や技術だけでなくバックアップのサポート体制も信頼しています。
くまもと南部広域病院様は万一の際のサポート、復旧を重視されていましたので、私たちとしても信頼できるベンダーと一緒にということでアライドテレシスの製品・ソリューションを提案しました」と話すのは、株式会社ブレスシステムソリューション部の二宮晴輝氏だ。堤氏は、「万一の際にも予備機に差し替えるだけで復旧できるAMFの機能はとくに評価しました。選定にあたっては医療機関への導入実績なども重視しました」と採用の理由を語る。

AMF、AWCにより院内のネットワークを再構築

 本館のコア・スイッチにはAMF対応の「CentreCOM AT-x930シリーズ」を冗長構成で設置。各建屋のフロア・スイッチには「CentreCOM AT-x510シリーズ」「Centre COMAT-x230シリーズ」など、またエッジ・スイッチにはPoE+対応の「CentreCOM AT-SH230シリーズ」などが導入された。同時に無線LANアクセスポイントもアライドテレシス製品が採用されており、最新の「ATTQ5403」が設置されている。
「電子カルテシステムも稼働しますので、無線LANの導入は必須でした」と堤氏。無線LANについては、アライドテレシスの自律型無線LANソリューション「AWC(Autonomous Wave Control)」が導入されている。AWCは、無線の利用状態を定期的に収集して、各端末が隣接のアクセスポイントへ接続できるように電波出力とチャンネルを分析して各アクセスポイントへ適用。
この動作を継続的に運用することで利用環境に最適な自律型無線LANを実現する。新ネットワークの導入は、2017年末から2018年初めにかけて段階的に実施され、大きなトラブルもなく切り替えは完了した。設置、設定作業などを主導したブレスの二宮氏は、「ネットワークはシンプルでわかりやすい構成になっていますので、問題なく完了しました」と語る。
稼働後1年半ほどが経過しているが、「とくにトラブルはありません。万一何かあってもすぐに復旧できますし、監視もしてもらっていますので安心感もあります」と堤氏は評価している。以前のネットワークには監視の仕組みがなかったが、今回の導入にともないアライドテレシスのネットワークマネージメントソフト「AT-VistaManagerEX」が導入されており、ブレスが通常監視を行っている。
無線LAN環境についても「利用している看護師からも繋がらない、遅いなどといった声は聞かれません」と堤氏。三点認証やバイタルの計測・入力など、ベッドサイドへ移動する電子カルテシステム端末の基盤としても問題なく稼働している。

IoTの導入も視野に、ますます高まるネットワークの重要性

 アライドテレシスのネットワークはくまもと南部広域病院のインフラ基盤として安定して稼働を続けている。「以前のネットワークは100MBで多少遅さを感じることもありました。
PACSなどで扱う画像もこれからますます大きくなっていきますので、今回ネットワークをすべてギガ化しました。速度的な問題もありません」と堤氏は言う。
今後は患者からの要望に応え、無線LANからインターネットに接続できるようセグメントを分けてアメニティとして提供することなども検討しているという。「今後のトレンドとしてはやはりIoTですね。さまざまな情報を収集してデータ活用していく方向になると思います。医療の質の向上にも、また現場の業務負担を減らすためにもそうした取り組みは必要になります。
ますますネットワークの重要性は高まっていきますので、アライドテレシスには情報提供や支援を期待しています」と堤氏は今後の展望とアライドテレシスへの期待を語った。アライドテレシスではこれからも、製品や技術、サポートの提供を通じて、くまもと南部広域病院のインフラ基盤を積極的にサポートしていく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

医療法人城南ヘルスケア
グループ
くまもと南部広域病院
事務部 情報企画課
主任
堤 和夫氏

病院名
医療法人城南ヘルスケアグループ くまもと南部広域病院
所在地
熊本市南区城南町舞原無番地
設立
1936年
理事長・院長
内野 誠
病床数
198床
URL
https://www.ksr-hospital.jp/

前身は1953年に発足した結核療養所「保生園」。1969年に医療法人杏和会城南病院として開院。以来50年にわたり地域の医療ニーズに応えてきた。2019年3月1日に、病院名も新たに「くまもと南部広域病院」としてリニューアルスタートした。

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