名古屋市立大学医学部附属 西部医療センター 様

<医療ICT>価値ある医療データ活用を見据えた安全な ICT基盤づくりと院内全域の安定したWi-Fi環境を整備

名古屋市立大学医学部附属 西部医療センターは、医療の高度化と令和8年度に控える電子カルテ更新に備え、ネットワークの刷新を実施した。開院以来導入してきたアライドテレシスの機器を継続採用し、セキュリティと可用性をさらに強化。新たに踏み台サーバーを導入し、外部からの保守アクセスを一元的に管理するとともに、「Net.Monitor」による監視対象の拡大やWi-Fi環境の拡充により、安定運用と将来の医療データ活用を見据えたICT基盤を構築した。(2025年10月公開)

医療・福祉 中部 病床数:500床
目 的
病院内Wi-Fiの整備 患者用Wi-Fiの整備 リモートアクセス回線集約 無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 運用・管理の効率化 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視を外部委託 業務効率の向上
プロダクト・サービス
無線LANアクセスポイント AWC AWC-CB スイッチ VCS Vista Managerシリーズ AMFPLUS CLOUD AMF-SEC ルーター UTM&VPN Net.Monitor
規 模
500~999
課 題
・リモート保守時のセキュリティリスクやアクセス管理負荷
・医療サービス向上を目的としたWi-Fi環境の拡充
採用ポイント
・開院当初からの安定した運用実績と信頼性
・踏み台サーバーを用いたセキュリティ強化策
・監視サービス対象を拡大した安心できる運用環境
効 果
・外部アクセス制御により侵入リスクや管理負荷を軽減
・Wi-Fi環境拡充によるサービス向上と医療業務の効率化

地域医療と高度医療を担う西部医療センター

 名古屋市立大学医学部附属 西部医療センター(以下、西部医療センター)は、名古屋市北区平手町に位置する中核の大学病院である。2011年5月に市立城北病院と城西病院を統合して新築開院し、2021年4月より名古屋市立大学の附属病院となった。「私たちは地域に根ざした病院として、地域の医療機関との紹介やつながりをとても大事にして、日々取り組んでいます」と、医事課 情報システム係 係長の佐曽利 隼大氏は語る。
 開院以来、ネットワークにはアライドテレシスの機器を導入しており、今回で2度目の更新となる。当初よりセキュリティ対策の一環として、システムの用途に応じてネットワークを物理的に分離する運用を採用し、これにより安定稼働と高い可用性を維持してきた。
 医療面では、周産期母子医療センターとして24時間対応の新生児集中治療室(NICU)を有し、ハイリスク妊娠・出産への対応や重症新生児の救命に注力しているほか、生殖医療センターを備え、不妊治療や高度生殖医療にも対応している。また、がん拠点病院として東海3県で初となる陽子線治療センターを2013年に開設し、体への負担が少ない先進的ながん治療を提供するなど、高度専門医療の充実を図っている。
 さらに、西部医療センターを先陣として、名古屋市立大学病院および附属の各病院(東部医療センター、みどり市民病院、みらい光生病院、リハビリテーション病院)を含む計6病院では、令和8年度から3か年度かけて順次同一の電子カルテシステムに移行する計画が進行中である。 「私たちがこの取り組みの先陣を務めます。大学病院として蓄積した医療データを価値ある形で活用し続けるための仕組みづくりに力を注いでいます」と佐曽利氏は強調する。

電子カルテ更新に備えたネットワーク基盤刷新と新たなセキュリティ強化

 本事例は、西部医療センターが医療の高度化と電子カルテ更新に備えてネットワーク基盤を刷新した取り組みであり、その要となるのはアライドテレシスが提供するネットワーク機器である。開院時から続く採用実績を土台に、今回はセキュリティと可用性をさらに高め、将来の医療データ活用を見据える構成を実現した。
 刷新の中心は既存ネットワーク機器の更新であったが、その中で新たな試みとして踏み台サーバー(ジャンプサーバー)を導入した。背景には、コロナ禍以降に増加した院外からのリモート保守需要と、厚生労働省が示す医療機関向けセキュリティガイドラインがある。導入前は、外部ベンダーが院内システムにアクセスする際、部門ごとに異なる接続方法を用いており、経路や認証が統一されていなかった。このためアクセス管理が煩雑になり、不正侵入リスクの懸念もあった。
 今回導入した踏み台サーバーは、外部のベンダーが本院に対してシステム保守や機器メンテナンスを行う場合、必ずこのサーバーを経由するよう制御する仕組みである。アクセス経路を一元化し、認証や通信内容を厳格に管理することで、不正侵入や情報漏えいのリスクを大幅に低減できる。
「当院には部門ごとに30 ~ 50ものシステムが稼働しており、それぞれに保守やメンテナンスが必要です。今回導入した踏み台サーバーは、それらを安全につなぐための要となる仕組みで、昨年度のネットワーク更新における新たな取り組みのひとつでした」と佐曽利氏は語る。
 さらに運用面では、ネットワーク監視サービス「Net.Monitor」を引き続き活用し、監視対象範囲を従来より拡大した。これにより院内ネットワーク全体の稼働状況や障害発生箇所を迅速に把握できる体制が整い、安定運用とトラブルシューティングの効率化が可能になった。「ネットワーク全体を改めて俯瞰し、構成を見直す良い機会になったと思います」と佐曽利氏は振り返る。

医療環境の変化に対応するWi-Fi環境の大幅拡張

 また今回の更新では、Wi-Fi利用範囲を大幅に拡張した。背景には、一部病棟フロアの窓際など電波が届きにくいエリアがあり、業務端末や医療機器の利用に支障をきたしていたことがある。事前に病棟を中心にサイトサーベイ(電波調査)を実施し、電波の死角や干渉状況を把握したうえで、最適な無線LANアクセスポイントの設置計画を策定した。
 新たに導入したのは3ラジオ搭載無線LANアクセスポイント「AT-TQ6403 GEN2」。最新モデルの採用により、通信性能や接続安定性が向上し、より広いカバレッジを確保できるようになった。
更新後は、各病棟エリアを含む院内全域で安定したWi-Fi接続が可能となり、電子カルテや各種部門システムへのアクセスがスムーズになった。また、医療スタッフが回診時に携帯端末を利用する際の接続品質も向上し、業務効率の改善につながっている。
 「電波が入りにくい場所は重点的にサイトサーベイを行ってもらい、その結果を反映して導入しました。最近は医療機器もWi-Fi環境を前提に設計されるものが増えてきていますので、安定した無線ネットワークはますます重要になっています」と佐曽利氏は語る。

円滑な導入と安定稼働、患者サービス向上への展開

 今回のネットワーク刷新は、契約締結から2025年2月末の構築完了まで、スケジュール通りに進められた。導入プロセスでは、院内関係者とアライドテレシス間での密なコミュニケーションが図られ、要望や仕様変更にも柔軟に対応できる体制が整えられた。
 その後もネットワーク全体は安定稼働しており、医療現場での業務が途切れることなく行える環境が確保されている。新たに導入した踏み台サーバーや監視サービス、拡張したWi-Fi環境なども計画通り機能しており、セキュリティ強化と業務効率向上の両立が実現された。
 「今回の刷新はトラブルなく進み、稼働後も大きな問題はなく安定しています。現場の声も好評で導入効果を実感しています」と佐曽利氏は振り返る。
 また更新後はアライドテレシスの支援のもとで、患者向けWi-Fiの本格導入も開始した。導入してまだ日が浅いが、患者が快適にインターネットを利用できる環境が整い、利便性と満足度の向上につながっているという。
 「令和8年度には“6病院の電子カルテ統一”に向けた電子カルテの大規模更新が控えており、今回構築したネットワーク基盤はその円滑な移行を支える重要な土台になります。また基幹系のサーバー群を新しい場所へ移設する計画もあり、今後も安定運用とセキュリティ確保に努めます」と佐曽利氏は今後を見据えて語った。
 アライドテレシスはこれからも、西部医療センターの高度医療と地域医療の両輪を支えるICT基盤のパートナーとして、製品や技術、サポートの提供を通じ、安定運用と将来を見据えた発展に貢献していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

名古屋市立大学医学部附属
西部医療センター
医事課 情報システム係
係長 佐曽利 隼大氏

病院名
名古屋市立大学医学部附属 西部医療センター
所在地
名古屋市北区平手町1丁目1番地の1
院長
病院長 大原 弘隆
開設
2011年
病床数
500床
標榜診療科目
35診療科
URL
https://w3hosp.med.nagoya-cu.ac.jp/seibu/

名古屋市北区に位置する。2011年に城北・城西両病院を統合して新築開院した医療機関である。小児・周産期医療やがん医療、生殖医療などに注力し、陽子線治療を含む先進医療と研修体制を整えている。地域の急性期医療を担う大学病院として中核的役割を果たしている。

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