徳島文理大学 高松駅キャンパス 様

<大学ICT>学生が集まる都市型キャンパスが追求した次世代ネットワーク──全館無線化を支える10G基盤により堅牢でスマートな運用を実現

先進の都市型キャンパスへの移行は、ネットワーク設計や運用体制をどう変えるのだろうか――。2025年4月、徳島文理大学は高松駅前に新キャンパスを開設。従来からアライドテレシス製品で構築してきたネットワーク環境を、新キャンパスでは都市型特有の建物構造を活かした、シンプルかつ強靭なネットワークへと構築。少人数の職員でも対応可能な管理環境やトラブル対応の省力化など、環境の変化に合わせた最適な構成と運用を実現している。今後、都市型キャンパスを検討する他大学にとっても、現実的かつ再現性の高い参考事例となる。(2025年12月公開)

大学 中国・四国
目 的
キャンパスネットワークの整備 無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 通信の改善(高速化・帯域強化) 運用・管理の効率化 ネットワーク監視の強化 業務効率の向上
プロダクト・サービス
無線LANアクセスポイント AWC スイッチ VCS Vista Managerシリーズ AMF UTM&VPN
規 模
1,000~4,999
課 題
・ネットワーク管理体制の効率化・省人化
・複雑な構成を解消し、拡張性・運用性を高める基盤の構築
採用ポイント
・1棟集中型の特性を活かしたシンプルな構成と高い運用性
・既存ノウハウを軸にした10G対応×全館無線LAN×産業用プロダクトの活用
効 果
・障害ポイントの最小化で省力運用体制を確立
・学びを支える全館無線化、堅牢でスマートな運用を両立する高速基盤を実現

アライドテレシスが支える安定運用と都市型キャンパスへの進化

 少子化に伴い、とりわけ地方の大学では、いかに学生を集めるかが大きな課題となっている。そうした中、徳島文理大学は入学者数を1.6倍に伸ばし、存在感を高めている。徳島県と香川県にまたがって9学部28学科を擁する同大学は、2025年4月、香川キャンパスをさぬき市からJR高松駅前へと移転。人口流出が進む地方において、地元出身者に加え全国37都道府県から学生を集めており、他の地方大学にとっても注目に値する新キャンパスとなっている。
 徳島文理大学では、以前からアライドテレシス製品を活用し、郊外型の2つのキャンパス(徳島・志度)と幼稚園、小学校から中学、高等学校で安定したネットワーク運用を続けてきた。
 「それ以前は、ループが起きると対応のためにキャンパス中を走り回っていました。その後、アライドテレシスからの提案で、EPSRのリング型構成による冗長化と、ループガード機能による末端側での自動検知と遮断、Vista Manager EXやAMF PLUSによる管理の効率化によって、その状況を大きく改善できました」(情報センター係長 松田和也氏)
 「保守契約も部材もない状態で、基幹スイッチが落ちると復旧までに大幅な時間を要しました」(高松駅キャンパス 学生部 係長 松下宗孝氏)
 このような長年の課題だったネットワークの可用性強化と運用負荷の軽減は、志度キャンパス時代に解決。その後、高松駅キャンパスへの移転が決まり、ここでも引き続きアライドテレシスによって、地上18階建て・地下1階の都市型キャンパスにふさわしいネットワーク環境が構築されることになった。

都市型キャンパスに最適化した、10Gbpsのネットワーク基盤

 高松駅キャンパスは、志度キャンパスとは異なり、複数棟を結ぶ広域ネットワークを必要としない1棟集中型の構造だ。この特徴が、ネットワーク設計をよりシンプルかつ堅牢にする追い風となった。
 「都市型キャンパスの一番のメリットは“渡り”がないこと。建物間の長距離配線や冗長接続が不要です。光ケーブルの数もSFPの数も減らせて、障害ポイントを少なくできたのが大きいですね」(松田氏)
 志度キャンパスでは広大な敷地に複数棟が点在し、EPSRリング構成によって冗長性を確保していた。だが、新キャンパスでは距離と構成の複雑さが解消され、スター型ネットワークをベースにしたシンプルな設計で十分に対応可能となった。
 「郊外のキャンパスでは、SFPの故障対応なども含めて“構成の複雑さ”が運用負荷の原因の一つでした。今回はネットワーク自体を簡略化できたので、その負担がかなり減りました」(松田氏)
ネットワークは館内を全て10Gbps(10G)化とし、無線LANも廊下・ホール・体育館まで全域をカバーした。オンライン授業をはじめとするクラウド活用や学術情報ネットワーク(SINET)利用、さらには学生のBYODを見据え、同時接続数や大容量通信に耐えられる高速な基盤が不可欠だった。全館無線化により、キャンパスのどこでも学びを継続できる環境を整備。SINET接続ポイントにはPalo Alto PAシリーズを導入し、大学ネットワークの安全性を強化している。
 また、EPS室には耐環境性に優れた産業用スイッチを導入し、柔軟な運用を可能にした。
 建物の設計段階から、ネットワーク構成を建築側とアライドテレシスとで並行して詰めたことも功を奏した。施工業者と密に調整し、LANの幹線・配線位置を初期段階から最適化。結果として、スイッチや無線LANアクセスポイントの配置も必要最小限に抑えられ、配線距離の短縮と施工コストの軽減にもつながっている。
 さらに、ネットワーク機器には志度キャンパスと同様、アライドテレシスのスイッチ群とネットワーク統合管理ツールを採用。Vista Manager EX(ネットワークの可視化)と、AMF PLUS(ネットワークの自動運用・復旧)を活用し、徳島と高松の両キャンパスを一元管理。機器の構成や運用方法を一新する必要がなく、移行に伴う教育コストや運用リスクも抑えることができた。
 「新しい機器を増やす必要もなかったので、職員もすぐに慣れることができました。今まで使っていたVista Manager EXの操作感そのままで、高松駅キャンパスも管理できています」(松下氏)

見える化と自動化で支える新キャンパスのスマート運用

 ネットワークの設計をシンプルにしたことで、運用面にも変化が生まれた。徳島文理大学のネットワークを担当する情報センターは、徳島と高松の2キャンパスをわずか数名の体制で管理している。それでも安定稼働を維持できている背景には、アライドテレシスによる運用基盤の仕組みがある。
 「ネットワークのトラブルが発生したときも、わざわざ現場に駆けつけずとも状況が把握できます。どのスイッチで、どのポートで何が起きているのか、GUIで確認できるので初動が非常に早いです」(松田氏)
 運用の核となるのが、ネットワークを可視化するVista Manager EX、そしてネットワーク統合管理基盤のAMF PLUSだ。徳島と高松のネットワークを単一の画面から一元的に監視・操作できるため、遠隔地からでも障害対応が可能。アラート通知から原因特定、ポート制御や再起動といった対応までが、基本的にGUI上で完結する。
 「トラブルが起きても、“どこに行けばいいのか”を探す時間がゼロになりました。キャンパスを走り回る必要がなくなったというのは、このように画面を見ながらすぐに手を打てるという意味です」(松田氏)
 また、AMF PLUSによる自動復旧・一括設定も運用効率化に貢献している。機器の交換や増設時も、設定を自動で引き継げるため、複雑な再設定作業が不要。特別な知識がなくても対応できるため、属人的な負担を減らし、少人数でも安定運用が可能になっている。
 さらに、障害発生時だけでなく、無線LANの利用状況やトラフィック状況の可視化にも活用している。学生の授業やイベントによるトラフィックの増減をリアルタイムで把握し、必要に応じて対処することで、利用者側の快適性も維持している。
 「高松駅キャンパスのような都市型では、利用者が集まる時間帯がはっきりしているので、事前に傾向を把握できるのはありがたいですね。トラブルになる前に手を打てるようになりました」(高松駅キャンパス 情報センター 山地健斗氏)

小さく、強く──都市型キャンパスが示す新しいネットワークのかたち

 徳島文理大学 高松駅キャンパスのネットワークは、取材時には開設から半年近くが経っていたが、安定した運用を続けている。構成をシンプルに設計し、管理・監視を一元化したことで、限られた人員でも確実に運用できる“強いネットワーク”を実現している。
 「トラブルが少ないということ自体が、ネットワークを預かる側としては一番大きいですね。以前のように“障害対応のために走る”こともなくなり、心理的な負担もかなり減りました」(松田氏)
 高松駅キャンパスの事例が示しているのは、単に設備を刷新したという話ではない。「都市型キャンパスだからこそ可能な、小さく・強いネットワークモデル」という再現性の高い仕組みだ。
 1棟集中型の物理構造を活かし、スター型のシンプルな構成と10G・全館無線LANのインフラをベースに、障害ポイントを徹底的に削減。さらに、Vista Manager EXとAMF PLUSによって、運用の「見える化」と「自動化」を進め、人的リソースを最小限に抑えながらも高い安定性を維持している。
 この取り組みは、今後都市部あるいはタワー型でのキャンパス新設・移転を検討する他の大学にとっても、十分に参考となる事例といえる。複雑なシステムを導入せずとも、物理構造と運用基盤を的確に設計・組み合わせることで、現実的かつ持続可能な運用を実現できる。また、AIによる問合せ対応など、一部業務の効率化に向けた検討も始まっている。安定したネットワーク基盤は、こうした新しい取り組みを支える前提となる。
「大学のネットワークは、派手さよりも“止まらないこと”が何より大事です。今回のようにシンプルな構成で安定した環境をつくれたことは、これからのキャンパス設計の大きなヒントになるはずです」(松田氏)

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

徳島文理大学
情報センター 
係長
松田 和也氏

徳島文理大学
高松駅キャンパス
学生部 
係長
松下 宗孝氏

徳島文理大学
高松駅キャンパス
情報センター
事務職員
山地 健斗氏

学校名
学校法人村崎学園 徳島文理大学
所在地
徳島市山城町西浜傍示180
設立
1895年
代表者
理事長 村崎 文彦 / 学長 梶山 博司
URL
https://www.bunri-u.ac.jp/

建学の精神「自立協同」に基づき、一人ひとりが自立し、協同して社会に貢献できる人材の育成を目指す。9学部28学科、6大学院、3専攻科を擁し、国際交流活動も盛ん。アジア、オセアニアやヨーロッパ、北米各地に41の協定校を持ち、留学生の派遣や受け入れ、客員教授の招待や共同研究を通して国際交流を深めている。

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