キヤノンシステムアンドサポート株式会社 様

<IT人材育成>約300名のエンジニアの技術力を強化する実践教育プログラムと研修基盤の整備で企業の戦略的成長を支援

キヤノンシステムアンドサポートは、全国の中小企業に向けてITの計画策定から導入、運用、保守、教育まで一貫した支援を提供している。同社では、幅広いIT領域に対応するエンジニアの技術レベルを底上げするため、2023年度からアライドテレシスの教育・研修サービス「Net.Campus」を導入し、実機を用いたハンズオントレーニングによる体系的な育成を進めてきた。その導入背景や研修内容、得られた効果、そして同社が見据える今後の「ビジネス戦略」を紹介する。

企業 関東
目 的
運用・管理の効率化 人材育成・社員教育 業務効率の向上
規 模
1,000~4,999
課 題
・新規ソリューション立ち上げ時の、拠点における技術力のばらつきが全国均質支援の課題に
・座学中心ではネットワーク実務力の定着が不十分
・マルチベンダー対応で必要とされる技術領域が拡大
採用ポイント
・少人数研修+実機ハンズオンで理解と習熟を促進
・認定制度によるエンジニアスキルの可視化と育成設計
・業務との両立をサポートする、拠点での受講体制
効 果
・設定・トラブル対応時の精度向上
・対応品質標準化と認定制度で客観評価・育成計画を推進
・設計〜構築力の向上で柔軟な顧客対応と、新ビジネス展開

運用まで寄り添う支援体制を築く企業姿勢

 キヤノンシステムアンドサポートは、キヤノンマーケティングジャパングループに属するITソリューション企業で、複合機やプリンターを中心としたキヤノン製品の販売・保守に加え、オフィスのIT環境構築と運用・保守サービスを提供している。日本全国に約150拠点を展開し、中小企業に対し地域密着型のサポートを行っている点が特徴だ。構築して終わるのではなく、導入後の運用・保守まで一貫して支援する姿勢を重視しており、顧客の業務活用を見据えた継続的な伴走支援を強みとしている。
 この“販売後の運用まで寄り添う”という同社のサービスコンセプトについて、キヤノンシステムアンドサポート株式会社 執行役員 エンジニアリング統括部門 ソリューションエンジニアリング本部 本部長の猪狩 伸也氏は次のように語る。「販売した後に、お客様がしっかりと業務で活かし、使っていただける環境を作り上げるところまで、寄り添った支援をしていくのが当社のコンセプトです。」この理念が、同社のエンジニアリング体制や人材育成の在り方にもしっかりと反映されている。

全国で均一な技術力を実現する育成基盤

 キヤノンシステムアンドサポートが抱えていた課題は、全国に配置された約300名にものぼるITエンジニアの技術レベルを底上げし、どの拠点からでも同じ品質で顧客を支援できる体制を維持することであった。地域によっては一人で広範囲を担当するケースもあり、教育環境の差がそのまま新規ソリューション立ち上げ時におけるスキルのばらつきにつながっていた。  “構築して終わりではない”サービスモデルを継続するためには、担当者が幅広い製品・技術を理解し、適切に組み合わせて提案・実装できる総合力が欠かせない。そのため同社では従来から各ベンダーが提供する研修プログラムを活用してきたものの、取り扱う製品領域が広がるにつれ、ネットワーク分野においてはより体系的に学べる共通基盤が求められるようになっていた。とくにネットワーク機器は、常に最新の設備に触れられる機会自体が限られるため、実機を用いて学べる研修が必要とされていた。
 猪狩氏は、「機会が少ない分、実際に手を動かす研修は理解を深めるだけでなく、現場で必要な判断力の習得にもつながると感じています」と語り、実機ハンズオンを中心とした学習環境の重要性を強調する。  こうした背景から2023年、同社はネットワーク領域の育成基盤としてアライドテレシスの教育・研修サービス「Net.Campus」を採用した。実機を用いた少人数制のハンズオンに加え、習熟度を客観的に示す認定制度は、全国で均一な品質を維持するための育成に適しており、ネットワーク技術の底上げを図るうえで欠かせない取り組みとなった。

技術力向上の要となった実機ハンズオン研修の全国展開

 2023年10月から、Net.Campusを活用した新しい研修制度が東京でスタート。多様な製品を扱うなか、体系的に学べる仕組みが求められていたことから、実機を使った少人数制ハンズオンで、なおかつ基礎から運用・設計までネットワーク分野を段階的に学べる点がNet.Campusの採用につながった。
 研修では、受講者が積極的に質問し、講師との対話が深まる環境が整ったことが大きな手応えとなった。猪狩氏は、「手を動かしながら学べることで現場対応の精度が上がります」と語り、実務に直結した学習効果を高く評価する。
 この成果を踏まえ、翌2024年度には研修を全国へ拡大。東京で4回(3月、6月、7月、12月)、大阪で2回(6月、10月)実施され、計6回にわたる研修に全国から約30名のエンジニアが集結・参加した。 さらに専門性の高い定期講座にも受講が広がり、基礎から応用まで体系的に学べる環境が整備された。
 そして今年、2025年度に入り展開はさらに加速。東京で2月・4月・7月、大阪でも5月に開催。なお4月には九州でも初めて開催されている。秋以降も東京で複数回を追加し、業務状況に合わせて柔軟に受講できる体制を整えた。また、当社が提供するネットワーク統合管理ソリューションAMFを実機で体験しながら学べる「AMFハンズオン」に加え、上級の認定制度があるコースを採用し、専門性強化を後押しすることに成功した。受講を通じて、より高度なネットワーク設計やトラブル対応など、現場で活きるエンジニアスキルの強化にもつながり、現場からも高い評価を得ている。
 こうした段階的な取り組みの結果、研修の効果が明確に表れはじめている。「実機ベースでの学習により設定意図が理解しやすくなるのはもちろん、トラブルシューティングの視点が磨かれ、現場対応力の底上げにつながっています」と猪狩氏は語る。さらに、実際の受講者が研修内容を活かして案件を獲得し、構築をするといった戦略に基づいた成果も出てきているとのこと。
 2025年度からは講座ごとの認定制度によって習熟度が客観化され、育成計画の立案や進捗管理にも活用されている。結果、東京・大阪・九州に共通の教育基盤を持つことで、全国規模での対応品質の強化も順調に進んでいるとのことだ。

会社の未来を見据えた技術力の強化と深化

 Net.Campusを軸にした育成体系が定着したことで、同社では技術力の強化に加え、スキルの可視化が着実に進んでいる。若手から中堅、上級レベルまで段階的に学べる環境が整い、全国の各拠点で同じ基準に基づいた教育を提供できる基盤が形成された。猪狩氏は、「販売して終わりではなく、業務にしっかり活かせるまで伴走するのが私たちの使命です」と、運用支援まで含めた総合的な技術力の重要性を改めて強調する。
 なお、猪狩氏は今後の展望として、基礎・応用の次のステップとしてネットワーク設計・デザインのスキル取得、さらにはスペシャリスト育成へと計画を進めているという。研修の地域展開も引き続き強化し、全国均一のサービス品質をより確かなものにする方針だ。
 また同社は、ネットワーク基盤の構築と運用支援においてアライドテレシスとの協業をさらに深め、介護福祉など業種特化型の提案領域も視野に入れている。見守り機器やネットワークカメラシステム、ひいてはWi-Fi環境など、ネットワークが業務の基盤となる場面が増える中で、教育強化と運用支援を一体化させたサービスモデルの構築を進めている。
 Net.Campusの導入は、単なる技術研修にとどまらず、同社が全国で一貫した品質のIT支援を提供するための育成基盤そのものを強化する取り組みとなった。今後も教育体制の拡充を通じて、地域に密着した高品質なサポートを持続的に提供していく方針である。
 アライドテレシスではこれからも、キヤノンシステムアンドサポートのITソリューション製品や技術、サポートの提供を通じ、積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

キヤノンシステムアンドサポート株式会社
執行役員
エンジニアリング統括部門
ソリューションエンジニアリング本部
本部長
猪狩 伸也氏

名称
キヤノンシステムアンドサポート株式会社
本社
東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー
設立
1980年
代表
代表取締役社長 平賀 剛
URL
https://corporate.jp.canon/profile/group/system-and-support/

キヤノン製品の販売・保守および他社製システム機器によるコンサルティングセールスを行い、オフィスのIT環境構築と運用・保守サービスを提供。また、IT専任の人材を抱えられない中小企業の顧客に対して、専門的な知識や技術をもってITの計 画策定から選定、導入、運用、保守、教育までトータルでサポートする「まかせてIT」シリーズを展開。経営課題解決とDX推進を支援し、中小企業の持続的成長を後押ししている。

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