香川県丸亀市 様
<自治体DX>Microsoft 365に統合!クラウド時代に対応する庁内業務基盤環境への移行で新時代の働き方改革を実現
香川県丸亀市では行政サービスの質向上と業務効率化を目的に、全庁的なDX推進に取り組んでいる。その一環として、庁内の業務基盤をMicrosoft 365へと統合し、情報共有や業務連携の円滑化を図った。あわせてクラウド活用に最適化したネットワーク構成への刷新も行い、α'モデルに準拠したローカルブレイクアウトを導入。アライドテレシスの「Allied SecureWAN」により、安全性と拡張性を備えた通信環境を構築し、生成AIや柔軟な働き方にも対応可能な体制を整えている。(2025年8月公開)
- 目 的
- 自治体三層の対策 ネットワークの安定稼働 クラウドサービスの利活用 運用・管理の効率化 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視を外部委託 業務効率の向上 働き方改革
- プロダクト・サービス
- Net.CyberSecurity Allied SecureWAN
- 規 模
- 100,000~199,999
- 課 題
-
・メールや電話に限られたコミュニケーション手段
・サポート終了に伴う既存IT環境のセキュリティリスク
・クラウドシフトで進むトラフィック増加と通信環境の管理負担
- 採用ポイント
-
・Microsoft 365を活用した統合型業務基盤
・α'モデルに対応したクラウド型ローカルブレイクアウト
・監視サービスを含めたAllied SecureWANの包括提案
- 効 果
-
・チャットやWeb会議活用による円滑な情報共有と業務効率化
・柔軟性と安全性を両立するクラウド利用に最適な環境整備
・通信管理は監視センターに任せて負荷軽減と安心運用
丸亀市が進めるDX、地域の魅力と行政サービス向上を両立へ
香川県中西部に位置する丸亀市は、丸亀城をはじめとする歴史的資産、丸亀うちわなどの伝統工芸、瀬戸内の塩飽諸島(しわくしょとう)に代表される自然景観など、多様な地域資源に恵まれた城下町である。
そうした地域の価値を将来にわたって維持・向上させるべく、丸亀市では2025年度に「丸亀市DX推進計画」を策定。DXを単なるICT活用にとどめず、「提供価値の変革」と「組織の変革」として全庁的に取り組むことで、質の高い行政サービスの実現を目指している。
フロントヤード改革として、ローコードツールを活用した電子申請や書かない窓口(申請書作成支援システム)を積極的に導入することで、住民サービスの利便性と効率性の向上に努め、誰もが簡単・迅
速に手続きできる行政サービスの実現を目指している。
「行政サービスの向上と業務効率化を図る中でRPA(*1)やAI-OCR(*2)、生成AIの活用による業務プロセスの見直しにも取り組んでいます」と語るのは認定DXアドバイザーとしての知見を活かして業務改善を進めている市長公室デジタル活用推進課 課長の樽本 誠司氏。
*1 RPA(Robotic Process Automation):人間がコンピュータを操作して行う作業を、コンピュータ上で動くロボットが自動的に操作することによって代替すること
*2 AI-OCR(Artificial Intelligence-Optical Character Reader):人工知能により画像データを自動で文字認識する技術
Microsoft 365への統合で業務プロセス改革と効率化を一気に推進
行政サービスの向上と業務効率化を支えるには、既存の業務そのものの見直しが不可欠である。とくに2022年のInternet Explorerのサポート終了を契機にセキュリティ更新の停止によるリスクが顕在化し、新たな脆弱性への対応が困難になるという懸念に直面。また約20年にわたり同一のグループウェアを使い続けていたこともあり、2024年度時点でもLGWAN環境とインターネット環境、それぞれでメールの送受信を行う必要があり、非効率かつ大きな業務負荷となっていた。
こうした背景を受けて丸亀市は従来の環境を抜本的に見直し、Microsoft 365への全面移行を決定。OutlookやTeams、ファイルサーバー、チャットなどの業務機能を統合し、効率化と情報共有の最適化を図った。「メールの問題だけでなく、マニュアルやQ&Aなどに蓄積された集合知も十分に活用されておらず、情報共有の非効率さが業務全体の足かせになっていました。これらの課題を解決するために、Microsoft 365への統合を進めました」と語るのは、デジタル活用推進課 副主任の田村 直樹氏。
さらにMicrosoft 365の効果を最大限に引き出すためには、インターネット接続の構成自体を見直す必要があった。そこで丸亀市は、「ローカルブレイクアウト」の導入にも着手。クラウド活用に適した通信環境の整備に踏み出した。導入にあたっては、タイトなスケジュールや将来の拡張性といった課題もあったが、丸亀市はこれらの課題を踏まえ、クラウド型のローカルブレイクアウトの導入に踏み切った。
α'モデルに基づき、ローカルブレイクアウトをクラウドで実現
従来のネットワーク構成(いわゆるαモデル)を前提としつつ、クラウドサービスを安全かつ柔軟に活用できる構成は「α'モデル」として定義されている。丸亀市はこのα'モデルの要件に沿って、IPS(侵
入防止システム)やSSL/TLSインスペクション(暗号化通信を復号化して内容を検査するセキュリティ技術)などの技術的要素を精査しながら、新たなネットワーク構成の導入を進めた。
あわせて市内部のセキュリティポリシーも見直し、安全性と運用性の両立を図る中で、最終的に選定されたのがアライドテレシスの「Allied SecureWAN(アライド セキュアワン)」である。これはクラウド型UTM(Unified Threat Management:統合脅威管理)と拠点間接続やインターネット接続を統合したSASEサービスであり、ゼロトラスト環境に適した構成をクラウド上で集中管理できる点が評価された。
「自治体ネットワークに求められるセキュリティ水準を備えつつ、柔軟な構成が可能な点に魅力を感じました。監視などのオプションサービスにより、管理コストを抑えられる点も決め手になりました」と田村氏は語る。とくにクラウド利用が進む中でトラフィックの増加が予想され、「自分たちで通信状況を確認しなければならないのでは」といった不安もあったが、監視サービスの存在が大きな安心材料になったという。
監視サービスには、次世代型ファイアウォールを24時間365日有人監視する「マネージドセキュリティサービス(MSS)」を導入。リアルタイムでの監視・分析により、精度の高いインシデント情報の検知と迅速な報告が可能となっている。
またクラウドサービスの特性として、接続先のURLやIPアドレスが頻繁に変化する点も課題だった。そのためAllied SecureWANが、必要なIPアドレスやポート番号を自動で管理できる「ISDB(Internet
Service Database)」に対応していることや、「Microsoft365のURLリストを使った接続」を行えることが選定の大きな決め手となった。動的な設定変更を自動化することで、運用負荷を抑えながら安定した通信環境を維持できる点が高く評価された。
「運用コストやスケールアップのしやすさを含めて、必要な機能を一体的に導入できる点が、大きな魅力だったと思います」と田村氏は振り返る。
新たな業務環境が定着、柔軟な働き方と次の更新計画を見据える
2025年3月から、Microsoft 365を活用した新たな業務環境での本番運用が始まった。これまではLGWAN系、インターネット系それぞれに存在したメール機能も含めてMicrosoft 365に統合され、ファイルサーバーやチャット、スケジューラーといった各種サービスがシームレスに連携することで、業務全体の効率化が進んでいる。
システム構成の見直しにあたっては、「激変緩和」の観点から段階的な移行が図られ、利用者の負担軽減と、トラブル発生時に切り戻し可能な設計が重視された。こうした配慮のもと、運用開始から3カ月が経過した現在、各部門からはチャットやWeb会議の活用による業務効率化の実感が報告されている。とくに出先機関との連携においては、コミュニケーションの円滑化という具体的な成果が見られるという。
またMicrosoft Copilotを利用する生成AIも、ローカルブレイクアウト環境下で快適に動作しており、現場での活用も進みつつある。クラウドUTMの一元管理とマネージドセキュリティサービス(MSS)による監視により、インシデント対応の迅速化や運用負荷の軽減も実現。加えて利用帯域やセッション数の増加にも柔軟に対応できる構成となっており、今後の業務拡大に備えた体制が整いつつある。
「最初はこれまでと勝手が違う部分もあって抵抗感がありましたが、慣れるとできることが増えて非常に便利だと実感しています」と樽本氏は語る。
今後について田村氏は、「強固なクラウド向けの業務基盤が整ったことで、今後はモバイル端末やBYODを活用し、より自由で柔軟な働き方の提案につなげていきたいと思います」と語る。さらに樽本氏も、「令和2年度の新庁舎建設から5年が経過し、総合情報ネットワークの更新時期を迎えています。これを機に通信サービスの総合的な見直しを進めていく予定です」と展望を語った。
アライドテレシスは今後も、製品やサービス、サポートなどを通じて、丸亀市のIT課題解決を積極的に支援していく。
導入ネットワーク構成イメージ図
導入企業基本情報
丸亀市
市長公室デジタル活用推進課
課長
樽本 誠司氏
丸亀市
市長公室デジタル活用推進課
副主任
田村 直樹氏
- 自治体名
- 香川県丸亀市
- 市役所所在地
- 香川県丸亀市大手町二丁目4番21号
- 行政面積
- 111.83平方キロメートル
- 人口
- 107,405人
- 世帯数
- 47,479世帯
- URL
- https://www.city.marugame.lg.jp/
香川県の海岸線側ほぼ中央部に位置し、北は瀬戸内海国立公園、南は讃岐山脈に面する、豊かな自然に恵まれた市。国の伝統的工芸品に指定されている丸亀うちわの産地として全国的に知られ、香川を代表するご当地グルメ「骨付鳥」発祥の地でもある。さらに猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)のような文化施設も有し、歴史と現代アートが調和した魅力あるまちである。
人口は、2025年5月1日現在の情報
パートナー企業基本情報
- 会社名
- 大塚商会
- 本社
- 東京都千代田区飯田橋2-18-4
- 設立
- 1961年
- 代表
- 代表取締役社長 大塚 裕司
- URL
- https://www.otsuka-shokai.co.jp/
システムインテグレーション事業とサービス&サポート事業の両事業を「ワンストップソリューション」で連携することで、顧客の抱える課題や要望に対し総合的な解決策を提供し、事業のフェーズに即した戦略的なIT活用を継続的に支援する。