彦根市立病院 様

<医療セキュリティ>老朽ネットワークから3層防御体制へ─SOC/NOC×自動復旧で実現した“止まらない医療”を支えるIT基盤

医療機関に求められるIT基盤には「止めない」「すぐに復旧できる」「常に気づける」など、要件が年々高度化している。3層防御と自動復旧機能を備えた新たなIT基盤として先進的なモデルを導入した彦根市立病院だが、かつては老朽化した電子カルテネットワークが大きな負担となっていた。こうした状況を抜本的に改めるため、アライドテレシスが提案したSOC/NOCや10Gネットワークを組み合わせた新環境を構築。全国で相次ぐランサムウェア被害を契機に、「汗をかく覚悟で選んだ」という決断が、“止まらない医療”を支える「障害前提ではなく、障害を最小化する」攻めのITを実現している。

医療・福祉 近畿 許可病床数:419床
目 的
病院内Wi-Fiの整備 無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 通信の改善(高速化・帯域強化) 運用・管理の効率化 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視を外部委託 業務効率の向上
プロダクト・サービス
無線LANアクセスポイント AWC スイッチ VCS Vista Managerシリーズ AMF UTM&VPN Net.Monitor
規 模
100~499
課 題
・20年以上使い続けたネットワークのブラックボックス化による可用性の低下
・医療機関を標的とした相次ぐサイバー攻撃への危機感
採用ポイント
・現場に寄り添い“できる方法”を示す迅速で柔軟な提案姿勢
・自動復旧と多層防御を備えた先進的ネットワーク構成
効 果
・自動復旧”により、原因特定から復旧までの時間を短縮し運用負荷を軽減
・SOC/NOCで監視体制を強化してセキュリティレベルを向上

先進モデル実現の裏側にあった、ネットワーク老朽化という危機

 県内でも有数の先進的なIT基盤を備えている彦根市立病院。現在は、ふるまい検知・セキュリティ監視(SOC)・ネットワーク監視(NOC)を組み合わせた“3つの防御体制”に加え、AMF PLUS による自動復旧、さらには末端まで高速化された院内ネットワークを備えている。これらは単なる機能追加ではなく、「人が駆けつける前提」だった従来の運用から、「障害を検知し、原因を特定し、復旧までを短時間で完結させる」運用の実現を可能とした。地域の中核病院としての安全性と利便性を両立した環境は、院内外から高く評価されている。
 しかし、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。
 「以前は、正直どこがどうつながっているのかわからない状況でした」と企画経理課の茂籠 邦彦氏は振り返る。刷新前の電子カルテネットワークは20年以上前の構成で運用され、配線はブラックボックス化していた。図面も実態を反映していなかったという。
 障害対応は、まさに“走り回る”現場だった。職員は、まるで消防ホースのようにLANケーブルを肩にかけて病棟を往復。障害箇所の切り分けに時間がかかり、夜間は外部業者が来るまで数時間待つこともあった。院内には保守切れのスイッチも存在し、どこがボトルネックになっているのかも不明瞭。電子カルテは病院の“生命線”であるにもかかわらず、安定性が担保されていない状況が続いていた。
 ここに追い打ちをかけたのが、全国で相次いだ医療機関のランサムウェア被害だ。
 「他人事ではありませんでした。うちが止まれば地域の医療も止まる。その危機感が一気に広がりました」と企画経理課の居原田 敦史氏は語る。
 同じタイミングで電子カルテシステムの更新が決定しており、システム刷新の好機が重なった。
 「電子カルテを新しくするのに、ネットワークが旧態依然のままでは意味がない。むしろ“見直すなら今しかない”と判断したのです」(茂籠氏)
 こうして、老朽化したネットワークを抜本的に見直し、“止めないこと”“すぐに復旧できること”を前提とした基盤へ再設計する大規模な刷新プロジェクトが動き始めた。

現場に寄り添う提案力が、選定の流れを変えた

 ネットワーク刷新を検討し始めた当初、病院側は既存のネットワーク大手メーカーの製品を使うことを想定していた。実績も知名度も十分で、誰もが“本命”と考えた。しかし、この状況を変えたのが、アライドテレシスの営業が病院に直接足を運んだことだった。現場の悩みを丁寧に聞き、その場で具体策を提案していった。
 「返事がその日のうちに来るのは本当にありがたかったです。レスポンスが速く、話がスムーズに進みました」(居原田氏)
 アライドテレシスは、標準的な提案にとどまらず、現場の課題に踏み込んだ“実現可能な解決策”を示していった。構成案の提示も迅速で、「できない」ではなく「どうすればできるか」を一緒に考える姿勢が、病院側の信頼を確かなものにしたという。
 「レスポンスの速さ、親身な姿勢、柔軟性、価格優位性──すべてが当病院に合っていました」(茂籠氏)
 さらに、決め手となったのはアライドテレシスのAMF PLUSによる自動復旧と、トレンドマイクロ社のふるまい検知(Deep Discovery™ Inspector:DDI)を核に、SOC/NOCを組み合わせた“常時監視を前提としたネットワーク運用設計”だった。
 「電子カルテを扱う病院にとって、システムダウンしにくく、復旧も早いという安心感は非常に大きかったですね」(居原田氏)
 「今回の刷新は、“汗をかく覚悟”が必要でした。長年の継ぎ足しで複雑化し、実態が見えにくくなったネットワークを、一から整理して再構築しなければならなかったので。ただ、アライドさんならそれを一緒にやり切れると感じました」(茂籠氏)
 日本発のメーカーとしての信頼感も後押しとなり、アライドテレシスによる新ネットワーク基盤の導入が決まった。

可用性と安全性を両立した、10G×AMF PLUS×多層防御の新基盤

 アライドテレシスの採用が決まり、いよいよ新ネットワーク基盤の構築が本格的に動き出した。刷新後のネットワークは、コアを10G化し、Wi-Fi 6Eによる高速無線環境、AMF PLUSによる自動復旧、そしてふるまい検知(DDI)、SOC/NOCを組み合わせた多層防御を中核に据えた構成となった。
 これにより、通信量の増加や端末の多様化、サイバー攻撃の高度化といった複合的なリスクに対しても、性能・可用性・セキュリティを同時に確保できる基盤が整った。
 「電子カルテも画像診断も、すべてがネットワーク上で動く時代です。10G化はもちろん、セキュリティと可用性の強化は必須でした」(居原田氏)
 導入後、効果を実感したものの一つがAMF PLUSの自動復旧だった。「現場からWi-Fiが使えないという連絡があり、同時にNOCからも障害通知が届いたことで、すぐに原因が判明しました。そのおかげでPoEスイッチを交換するという判断ができ、我々でスイッチを交換しスピード復旧することができました」と企画経理課の渡邊 篤志氏は評価する。
 AMF PLUSは、同院が抱えていた“夜間・休日の障害対応負担”を大きく軽減しており、消防ホースのようにケーブルを担いで院内を走り回っていた頃とは、まったく状況が異なっている。
 セキュリティ面では、「検知」「監視」「即時把握」という役割を分担した次の3つの防御体制が整備された。①ふるまい検知(DDI)で未知の脅威や不審な通信をネットワークレベルで検知。②SOCでセキュリティ専門チームが24時間365日体制で監視。③NOCでネットワーク障害を常時監視し、異常を即座に通知。
 「怪しい通信はまずDDIが検知し、その後はSOCとNOCが状況を確認して連絡してくれます。多層的に監視されているという安心感は確かにあります」(渡邊氏)
 全国的なランサムウェア被害の増加を背景に、こうした“気づける仕組み”は病院にとって欠かせない存在となっている。
 なお、滋賀県彦根市は冬季の積雪が多く、病院へのアクセスが限られる日もある。そのため、ネットワークの自動復旧は、他の地域以上に価値があるという。
 「大雪の日に障害が出ても、すぐに作業員に駆けつけてもらうことができません。AMF PLUSであれば、病院職員が予備機に交換し、早期に復旧させることが可能です。雪国の病院に適した機能だと思います」(茂籠氏)

堅牢な基盤が拓く次の一歩――運用改善からAI活用への展望まで

 自動復旧と監視体制が整ったことで、担当者の業務は“駆けつける”から、“状況を見ながら最適に判断する”方向へ転換した。
 「担当者が現地に駆けつける前に、障害箇所や状況が分かるようになりました。以前のように、“どこで止まっているのか”を探し回る場面はほとんどなくなりました」(茂籠氏)
 こうした改善は、院内のセキュリティ意識にも影響を与えた。DDIをはじめとする多層的な防御により、日々のネットワーク状態が“見える化”されたことで、職員の間でもセキュリティ意識は向上している。IT-BCPはすでに策定済みで、現在は訓練シナリオの作成など、運用フェーズに向けた準備を進めている。
 刷新後のネットワークは、他の医療機関から「安全性と利便性の両立」という観点で高い関心を集めており、その変化に担当者たちも手応えを感じている。
 今後については、既存環境の強化に加え、医療ICTの積極的な導入による業務改善にも期待が寄せられている。音声入力やAIの導入による業務改善はすでに始まっており、今後はさらなる改善に取り組む予定だ。「病院運営を支える新たな選択肢」として、前向きな議論が進んでいるという。ただし、同院が重視しているのは、“活用ありき”ではなく、「医療現場に本当に必要か、実効性があるか」を見極める姿勢だ。
 堅牢なネットワークを土台に、運用負荷の軽減、医療安全の向上、職員の意識改革──。彦根市立病院の取り組みは、単なるネットワーク刷新にとどまらず、“地域医療を止めない”ための新たな道筋を示している。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

彦根市立病院
企画経理課 課長補佐
経営戦略室 副主幹
居原田 敦史氏(いはらだ あつし)

彦根市立病院
企画経理課 副主幹
経営戦略室 副主幹 
渡邊 篤志氏(わたなべ あつし)

彦根市立病院
企画経理課
茂籠 邦彦氏(もろ くにひこ)
臨床検査技師・認定臨床微生物検査技師
感染制御認定臨床微生物検査技師・臨床工学技士

病院名
彦根市立病院
所在地
滋賀県彦根市八坂町1882
事業管理者
金子 隆昭
院長
中野 顯
許可病床数
419床
標榜診療科目
28科
開設
1891年(彦根町立病院として開設)
URL
https://www.municipal-hp.hikone.shiga.jp/

1891年(明治24年)に彦根町立病院として開設された、滋賀県彦根市の歴史ある地域の中核病院。長年にわたり地域医療を支え続け、現在は急性期医療を中心に内科、外科、脳神経外科、循環器内科など幅広い医療を提供している。地域の医療機関と連携し、医療ICTを積極的に推進して安全で質の高い医療を提供。地域住民の健康と医療水準の向上に貢献している。

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