日本赤十字社 福井赤十字病院 様

創立100周年を迎える福井市の基幹病院がセキュリティを大幅に強化して安心・安全に医療を提供できる環境を整備

福井県福井市の日本赤十字社 福井赤十字病院は、電子カルテシステムの更新に先駆けて、その基盤となるネットワークを更改した。アライドテレシスのソリューションを導入して、ネットワークの一元管理と見える化を実現。運用管理の負荷を軽減し、またリモートメンテナンス回線の統合や証明書認証の導入など、セキュリティを大幅に強化して、安心・安全に利用できるネットワーク環境を構築した。(2024年10月公開)

業種・業務
医療
ソリューション
ネットワーク運⽤ AMF Vista Manager シリーズ スイッチソリューション VCS 無線LAN AWC セキュリティ UTM&VPN PoE
導入製品
システムインテグレーション ネットワーク運用 コアスイッチ ディストリビューションスイッチ エッジスイッチ 無線LAN ITサービス(Net.Service)
導入目的
ICT活用 ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 高速通信 無線LANの簡単導入 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視の支援を外部に委託 業務効率の向上 コスト削減
課 題
・リモートメンテナンス回線の統合を中心としたセキュリティ対策
・ネットワーク運用管理面での簡素化と見える化
・データ量の増加に備えて無線LAN環境の強化
採用ポイント
・病院の課題に真剣に向き合う姿勢と高い提案力
・耐障害性に優れた止まらないネットワークの実現
・設計構築から24時間運用監視までのトータルサポート体制
効 果
・回線統合やUTMの常時監視、証明書認証導入によりセキュアな医療環境を整備
・ネットワークの運用管理性が大きく向上

福井市の基幹病院が電子カルテ更新前に基盤となるネットワークを更改

 日本赤十字社 福井赤十字病院は1925年に日本赤十字社福井支部病院として開院。2025年には創立100周年を迎える。式典や記念公開講座、記念誌の発行などが予定されるほか、次の100年に向けて福井赤十字病院の医療体制や長期ビジョンなどが示される見込みだ。
 「当院が近年とくに注力しているのは、地域の脳卒中の治療です」と話すのは、事務部 医療情報課長の櫻井 慎二氏。福井赤十字病院には脳神経外科と神経内科で構成される脳神経センターがあり、2019年に日本脳卒中学会の「一次脳卒中センター(PSC)」として、2020年には「地域においてコアとなるPSC施設(PSCコア施設)」として認定されている。地域の医療機関や救急隊からの要請に対し、24時間365日脳卒中患者を受け入れ、患者搬入後は可及的速やかに診療を開始できる体制を整え、屋上にはヘリポートも備えている。「脳卒中では最適な治療を少しでも早く判断し、開始することが重要です。各医療機関や行政機関との連携を強めながら、地域の脳卒中治療に貢献していきます」と櫻井氏。
 また地域の災害拠点病院として災害支援も積極的に行っており、有事には災害派遣医療チーム(DMAT)や赤十字救護班が現地に駆けつけ、医療活動を行う。「ヘリポートで被災地からの患者受入も行うなど、積極的に災害支援を行っています」と語るのは、事務部 医療情報課 情報処理係長の小川 貴司氏だ。
 福井赤十字病院は2024年の電子カルテ更新に向け、その基盤となるネットワークの更改を実施した。そのネットワークベンダーとして採用されたのが、アライドテレシスである。

セキュリティ強化とネットワークの運用管理が課題

 医療機関を狙ったサイバー攻撃は後を絶たない。ランサムウェアによる被害報道も数多く続いている。
 とくにリモートメンテナンス回線に対するセキュリティが不安だったと櫻井氏。「院内の多くのシステムにはリモートメンテナンス回線が接続されていますが、全容を把握しきれず、セキュリティ対策も万全とは言えませんでした。そのため回線を一本化したいと考えていました」と櫻井氏。各部門システムに直接繋がっている回線、サーバー室のシステムに繋がっている回線、合わせて数十の光回線がそれぞれに接続されていた。これを可能な限り集約化したいと考えていたのだ。
 またセキュリティとは別にネットワークの運用管理面でも課題があった。「ネットワーク管理が完全にできていたとは言えませんでした。何かあればベンダーに連絡をして、という状態でした」と小川氏。ネットワークは定期的に更改していたが、更改後のシステム追加やレガシーなシステムの残存など医療情報課では把握しきれず、またそれを見える化する仕組みもなかったという。「ネットワーク更改を機にネットワークを見える化したいと考えました」と櫻井氏。
 それに加えて、無線LAN環境の強化も必要だった。2024年の電子カルテ更新では、ソフトウェアのバージョンが上がり、画面や機能がリッチになることで通信量の増加も予測される。電子カルテ本体とともに端末となるノートパソコンの更新も予定されており、電子カルテ端末としてスムーズに利用するためには、無線LAN環境を強化しておく必要があった。
 これら課題の解消も目的に、電子カルテの基盤としてのネットワーク更改はスタートした。入札が実施され、アライドテレシスの提案が選ばれた。櫻井氏は「アライドテレシスはとても親身になって、我々の困っていることに向き合って提案をしてくれました。提案力や営業力の高さを感じましたし、アライドテレシスがパートナーになってくれてよかったと思います」と評価している。

一元管理の実現、データ量の増加に備えた無線LANの強化

 アライドテレシスの提案に基づく新たなネットワークのポイントはまず“止まらないネットワーク”だ。ネットワークの経路と、さらにコアスイッチは機器と電源の冗長化を行うことで止まらないネットワークを構築するとともに、院内ネットワーク全停止につながるループ事故をループガード機能搭載スイッチで検知・防止する。「多くのネットワークに接続する機器がある場所、例えば手術室やICUなどでは、使い終わったらケーブルを抜いて機器を片付けることもあります。そうすると再接続のときにポートを間違えてループが起きることもありました。ループガード機能は必須です」と櫻井氏は言う。
 次に運用管理の負荷軽減だ。今回の更改では、ネットワークの一元管理を実現する「AMF(Autonomous Management Framework)」を導入。ネットワーク機器の一元管理が可能となり、マネジメントツール「AT-Vista Manager EX」からネットワークの見える化を実現する。また機器の故障時にはオートリカバリー(自動復旧)を行うことで予備機と入れ替えるだけで自動復旧が可能だ。「見える化により安心して運用ができるようになりました」と小川氏。
 無線LANは、安定した通信環境を実現する無線LANソリューション「AWC(Autonomous Wave Control)」を導入することで運用・管理の手間を削減。また無線LANアクセスポイントに、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)対応の「AT-TQ6702 GEN2」を採用することで、来たる電子カルテの更新、データ量の増加に備えている。
 これらネットワークの設計・構築から、導入後の24時間365日運用監視、製品保守を一括でアライドテレシスの「Net.Service」がサポートする。安心できるネットワーク環境を実現し、導入後の運用管理の負担を軽減する。「しっかり見守られている安心感があります。サポートが格段に手厚くなっていると感じます」と小川氏。

医療機関に求められるセキュリティを大幅に強化

 大きな懸案であったセキュリティについては多くの部分で強化を行っている。まずリモートメンテナンス回線の統合を行い、リモートメンテナンスのゲートウェイを次世代型ファイアウォールに統合、侵入経路の削減と統一したセキュリティポリシーでの保守通信を実現する。リモートメンテナンスを行っている各ベンダーに対しても依頼を進めており、「可能な限り一本化」(櫻井氏)を進めたい意向だ。
 同時に、新たに導入した「マネージドセキュリティサービス(MSS)」により、次世代型ファイアウォールを24時間365日有人監視している。リアルタイムに監視・分析し、精度の高いインシデント情報を報告する。
 そして無線LANでは電子証明書によるネットワーク認証を導入。認証サーバーから発行された電子証明書をキーにした認証により、無線LANに参加する端末を把握、制御する。「認証の導入は新しい電子カルテと端末が稼働するまで続きますが、新しい電子カルテはよりセキュアに、安心して利用できます」と櫻井氏。クライアント端末約1100台のほかスマートフォン約100台の導入を予定しているという。
 ひとまず電子カルテの基盤となるネットワークの更改を完了した福井赤十字病院は、今後も効率化やセキュリティ強化を続けていく。最後に櫻井氏に今後の展望を聞いた。
 「今後はEDR(Endpoint Detection and Response)やNDR(Network Detection and Response)の導入なども検討しています。よりセキュリティを強化して、安心して安全に医療が提供できる環境を構築していきます」と櫻井氏は語った。
 アライドテレシスはこれからも、福井赤十字病院のIT課題解決に向けて、製品や技術、サポートなどの提供を通じて、積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

福井赤十字病院
事務部
医療情報課長
櫻井 慎二氏

福井赤十字病院
事務部 医療情報課
情報処理係長
診療情報管理士 医療情報技師
小川 貴司氏

病院名
日本赤十字社 福井赤十字病院
所在地
福井県福井市月見2丁目4番1号
開院
1925年
代表
院長 小松 和人
許可病床
529床(一般520床、結核5床、感染4床)
URL
https://www.fukui-med.jrc.or.jp/
取り組み

大正14年(1925年)に日本赤十字社福井支部病院として開院。標榜診療科25科、職員数は1000名を超える。「人道・博愛の精神のもと、県民が求める優れた医療を行います。」の理念のもと、職員一同協力して取り組む。診療機能を充実し、地域と連携する切れ目のない医療を構築し、また病院職員が働きやすい院内環境の改善のため病院全体で力を注いでいる。

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