日本赤十字社 金沢赤十字病院・福井大学医学部附属病院 様
<プロジェクトレポート> 診療体制の維持に向けた遠隔読影基盤整備
─放射線科医不足という共通課題に向き合い、地域医療を支える新たな読影体制を構築─
石川県内で放射線科医不足が深刻化する中、金沢赤十字病院では読影体制の維持が、福井大学医学部附属病院では地域医療機関への支援継続が課題となっていた。両院は、ビットブレインの医療専用閉域ネットワーク「WCI」とアライドテレシスのSD-WANルーター「ARX200Sシリーズ」を活用し、安全な通信環境のもとで遠隔読影基盤を整備。地域医療を支える新たな読影体制の構築に取り組んでいる。(2026年10月公開)
- 目 的
- バックアップ SD-WAN 閉域網 ネットワークの安定稼働 データ保全 セキュリティの強化
- プロダクト・サービス
- ルーター
- 規 模
- その他
- 課 題
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■放射線科医不足で読影体制維持が困難
■医師派遣に伴う移動負担が増大
■医療情報を安全に共有する環境が必要
- 採用ポイント
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■医療専用閉域ネットワークで安全に接続
■遠隔読影に必要な通信性能を確保
■事前設定済みルーターで導入負荷を軽減
- 効 果
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■遠隔から読影支援できる体制を構築
■医師の移動時間を削減し業務効率化
■地域医療を支える連携基盤を整備
放射線科医不足を背景に、読影体制の維持が課題に
金沢赤十字病院は243床を有し、地域急性期医療と地域包括ケアの双方を担う。大学病院などが集まる石川中央医療圏で、広域の高度急性期医療や重症医療を担う医療機関と役割を分担しながら、地域の患者を支えてきた。
同院の放射線科では、CTなどの画像を読影し、診療に必要な情報を担当医へ提供している。院内診療に加え、近隣の診療所からの画像診断依頼にも対応しており、読影件数は月間約700件に上る。
金沢赤十字病院 院長の寺﨑氏は、同院における画像診断の役割について次のように語る。「外来では、患者さんがお帰りになるまでに画像を読影し、診断結果をご説明できるようにしています。救急医療においても、必要なときに速やかに読影結果を返せる体制は欠かせません」
画像診断の結果は、患者の状態把握や診療方針の決定に欠かせない。地域の診療所からの依頼にも応える同院にとって、読影体制の維持は地域医療を支えるうえでも重要な課題だった。
金沢赤十字病院では、これまで常勤の放射線科医2名によって読影業務を担ってきた。しかし、そのうち1名が定年を迎えたことで、従来と同じ体制を継続することが難しくなった。
定年後も勤務日数を変更して診療を継続したが、従来の診療枠をすべて補うことは難しい。そこで同院は、外部支援を組み合わせながら必要な読影体制を維持する方法を検討した。
背景には、地域全体の放射線科医不足がある。新たな採用だけでは解決が難しく、限られた医療資源をどう組み合わせて診療を継続するかが問われていた。
寺﨑氏は当時の状況を振り返る。「石川県内でも放射線科医は慢性的に不足しています。常勤の放射線科医を複数確保すること自体が簡単ではありません。私たちにとって最も重要だったのは、どのような方法であっても読影体制を維持することでした」
医師の移動負担を抑え、地域支援を継続する体制へ
一方、福井大学医学部附属病院にとっても、地域医療機関への支援継続は重要なテーマだった。大学病院として地域医療を支える役割を担う中で、限られた人員を有効に活用できる体制づくりが求められていた。
現地へ医師を派遣する支援には、診療時間に加えて移動時間も必要になる。支援先が遠方になるほど負担は大きく、院内診療と地域支援を両立しやすい新たな方法が必要だった。
福井大学医学部附属病院 放射線科の竹内氏は次のように話す。「大学病院として、地域の医療機関を支援していく役割があります。一方で、放射線科医の数には限りがあります。そのなかで、どのように支援を継続していくかを考えなければなりません」
福井大学医学部附属病院の山下氏は、遠隔環境の必要性について次のように説明する。「地域の病院から支援を求められても、医師の数には限りがあります。こうした要請に応えるためにも、医師が移動しなくても診療を支援できる環境を整えていくことが重要です」
こうした課題に対し、遠隔読影の体制を整えたことで、医師の移動が不要となり、大学病院内で診療に関わる業務へ充てられる時間が増えた。これは単なる効率化ではなく、院内診療と地域支援を両立しやすくするための体制づくりでもある。
竹内氏は、業務面での変化として「移動がなくなったことで、大学病院にいる時間を増やすことができました。その時間を、検査をどのように撮影するかという指示の入力など、読影以外の業務にも使えるようになっています」と、遠隔読影による効果を語る。
WCIとSD-WANルーターで、安全な通信基盤を構築
遠隔読影基盤の整備では、医療情報を安全に取り扱える通信環境が前提となる。病歴、検査結果、画像など高い機密性が求められる情報を扱うため、診療上の利便性や通信性能だけでなく、情報漏えいリスクを抑える仕組みが欠かせない。
今回、金沢赤十字病院と福井大学医学部附属病院を結ぶ通信基盤には、ビットブレインが提供する医療専用閉域ネットワーク「WCI(WiresConnect Intelligence)」を採用した。
WCIは、通常のインターネットと切り離された通信経路で複数の医療機関や関連事業者を結ぶ医療専用の閉域ネットワークである。遠隔読影をはじめ、大容量の医療データを医療機関間で共有する基盤として設計されている。
WCIによる医療専用閉域ネットワークへの接続には、アライドテレシスのSD-WANルーター「AT-ARX200S-GT」および「AT-ARX200S-GTX」が対応している。
両製品は、多様なアプリケーションやサービスに対応するSD-WANルーターで、ファイアウォール機能や多重構造によるセキュリティ機能を備える。
「AT-ARX200S-GTX」は10Gの高速通信にも対応し、医療機関の高スループットかつ安全なWAN環境を支える。
こうした取り組みの背景には、アライドテレシスとビットブレインが2026年6月より開始した協業がある。その第一弾として両ルーターがWCIに対応し、遠隔読影や電子カルテ連携など、医療機関間のデータ活用を支える通信環境を提供している。
専任の情報システム担当者やネットワーク技術者を十分に配置しにくい医療機関でも導入しやすいよう、今回のプロジェクトでは事前設定済みのルーターを設置し、現場で複雑なネットワーク設定を行わずに利用を開始できるようにした。
福井大学医学部附属病院の山下氏は、導入時の負荷を抑える重要性について次のように話す。「医療機関によって、情報システムやネットワークの体制はさまざまです。どのような現場でも安全に導入し、継続して使えることが大切です。現場に過度な負担をかけない仕組みにすることが、地域に広げていくうえでも重要になります」
地域医療を支える遠隔読影基盤の今後
両院を結ぶ遠隔読影基盤は、読影業務の補完にとどまらず、地域医療を継続していくための連携のあり方にもつながっている。
金沢赤十字病院 院長の寺﨑氏は、遠隔読影基盤の意義について次のように話す。「私たちが求めていたのは、患者さんが帰る前に読影結果を返せる診療体制を維持することです。今回、遠隔でも読影をお願いできる体制が整ったことは、今後に向けた備えになると考えています」
福井大学医学部附属病院の山下氏も、地域医療を支援し続けるためには、医師が現地へ行く方法だけでは限界があると指摘する。「遠隔からも安全に支援できる仕組みが必要です。こうした環境を、医療機関ごとの体制に合わせて使いやすくしていくことが重要だと考えています」
今回の取り組みは、遠隔化や業務効率化そのものが目的ではない。遠隔読影は放射線科医そのものを増やす仕組みではないが、限られた人材と時間を地域全体で有効に活用し、離れた医療機関同士が協力して診療体制を維持するための選択肢となる。
WCIとアライドテレシスのSD-WANルーターを組み合わせることで、医療情報に求められる安全性、遠隔読影に必要な通信性能、医療現場への導入のしやすさを備えたネットワーク環境を構築できる。医療情報を扱ううえでは、制度やガイドラインを踏まえた確認は今後も必要となるが、WCIは、医療機関間で安全に情報を連携するための基盤として、今後さらに活用の場を広げていく可能性がある。
両院を安全な医療専用閉域ネットワークでつなぐ今回のプロジェクトは、福井大学医学部附属病院にとって地域支援を継続する選択肢であり、金沢赤十字病院にとって診療体制を守る手段である。
同時に、遠隔読影を起点として、地域全体で医療資源を生かす新たな連携基盤としての役割も期待される。
導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

福井大学医学部附属病院
医療情報部
副部長・特命准教授
山下 芳範氏

福井大学
医学部 放射線医学
助教
竹内 聖喬氏
- 病院名
- 福井大学医学部附属病院
- 所在地
- 福井県吉田郡永平寺町松岡下合月 23-3
- 開院
- 1983年 (福井医科大学医学部附属病院として)
- 代表
- 病院長 藤枝 重治
- 病床数
- 600床(一般559床、精神41床)
- URL
- https://www.hosp.u-fukui.ac.jp/
「最新・最適な医療を安心と信頼の下で」を基本理念に掲げ、福井県内唯一の特定機能病院として高度で先進的な医療を提供。次世代を担う医療人の育成や臨床研究にも取り組み、地域医療の発展に貢献している。

日本赤十字社
金沢赤十字病院
院長
寺﨑 修一氏
- 病院名
- 日本赤十字社 金沢赤十字病院
- 所在地
- 石川県金沢市三馬2-251
- 院長
- 寺﨑 修一
- 開院
- 1925年(日本赤十字社石川支部産院として)
- 病床数
- 一般病床243床
- URL
- https://kanazawa-rc-hosp.jp/
「思いやりの心」をもって、「信頼される医療」 を提供し、「地域に貢献」することを理念に掲げ、金沢市南部・野々市市を中心に、地域に密着した医療と入院から退院まで切れ目のない支援を提供している。




