久慈市教育委員会 様
<NEXT GIGAを見据えて> 「つながらない」「原因が分からない」を解消──市内21校と教育委員会を一元管理・可視化し、AIを活用した学びの安定運用を実現
岩手県久慈市教育委員会では、市内の小中学校で1人1台端末の活用を進める一方、「つながらない」「遅い」といった通信トラブルが頻発していた。学校ごとに配線や機器、建物といった条件が異なるうえ、市域が広いため、原因を確認するために現地へ出向くことも担当者の負担となっていた。そこでアライドテレシス製品を採用し、有線/無線ネットワークを一元管理・可視化。導入パートナーである株式会社システムベー スの遠隔監視や運用支援と組み合わせ、学校からの接続に関する問い合わせが週1回以上からほぼゼロへ減少した。現在はAIドリルやデジタル教科書などの活用を支える安定した教育ICT基盤として定着している。(2026年11月公開)
- 目 的
- GIGAスクール構想 無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 通信の改善(高速化・帯域強化) 運用・管理の効率化 校務DX セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視を外部委託 業務効率の向上 働き方改革
- プロダクト・サービス
- 無線LANアクセスポイント AWC スイッチ VCS Vista Managerシリーズ AMFPLUS CLOUD ルーター UTM&VPN
- 規 模
- 99以下
- 課 題
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■接続不良や遅延が頻発する通信環境
■構成把握と障害原因の特定が困難
■安定通信を前提とするICT活用に制約
- 採用ポイント
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■ネットワークの一元管理と可視化
■遠隔監視・運用支援体制
■無線LAN環境の管理・最適化
- 効 果
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■週1回以上の問い合わせがほぼゼロに
■遠隔切り分けにより障害対応を迅速化
■AIドリルやデジタル教科書を日常活用
教室を移動して接続テスト。市内各校で顕在化した通信課題
岩手県北東部に位置する久慈市では、GIGAスクール構想による児童生徒1人1台端末の整備が完了し、学校現場でのICT活用が進んでいた。しかしその一方で、同市はネットワーク環境に関する課題に直面していた。久慈市教育委員会の谷川氏は、当時の状況を次のように振り返る。
「学校からは『子どもたちのパソコンがネットワークにつながらない』『速度が非常に遅い』といった声が多く寄せられていました。実際に学校へ確認に行っても、配線がどうなっているのか、どこに原因があるのかを探すのが難しい状況でした」(谷川氏)
こうした声は特定の学校に限らず、市内の多くの小中学校から寄せられていた。無線LANアクセスポイントが廊下に設置され、教室まで電波が届かないケースがあるなど、原因はさまざまだった。全国学力・学習状況調査に向けた事前接続テストを実施できず、接続可能な別の教室へ移動して対応した学校もあった。さらにネットワーク構成や配線状況の把握が難しく、障害が起きても原因を特定しにくいため、対応に時間やコストがかかっていた。
「個別に機器を交換しても、すぐに『今度はこちらが』と次の問題が出てきます。GIGAスクール構想で今後さらに多様なICT活用が進むことを見据えると、部分的な改修では到底追いつきません。そのため、市内の学校ネットワーク全体を抜本的に見直す必要があると判断しました」(谷川氏)
新たな環境整備にあたり教育委員会が最も重視したのは、「安定して使えること」、そして「障害発生時に原因を特定し、すぐ対応できること」だった。こうした課題を解決するため、同委員会は株式会社システムベースに相談し、新たなネットワーク環境の検討を開始した。
市内21校と教育委員会の計22拠点を一元管理、約2か月半で展開
この2つの要件に応える形でシステムベースが提案したのは、ネットワーク機器をアライドテレシス製品に統一することだった。ルーターからスイッチ、無線LANアクセスポイントまでを同一メーカーでそろえることで、有線/無線を横断して全体をまとめて把握・管理できる。管理基盤には統合管理アプライアンス「VST-APLシリーズ」を採用し、「AMF PLUS」でネットワーク機器を一元管理。「AWC」によって各校の無線LAN環境を管理・最適化する構成とした。各校にはWi-Fi 6対応無線LANアクセスポイント「AT-TQ6602 GEN2」を設置している。
システムベースでプロジェクトリーダーを務めた高橋氏は、アライドテレシスを採用した理由を次のように語る。
「今回、ネットワークを根本的に見直すにあたっては、一元管理を重視しました。ルーター、スイッチ、無線LANアクセスポイントまで一元的に管理できる点が、久慈市の環境に合っていると考えました」(高橋氏)
機器の導入に際しては、大規模校と小規模校の2校を先行整備し、LAN配線を引き直す場合と既存配線を活用する場合の手順を検証。その結果をもとに作業を標準化し、2チーム体制で週末ごとに2~3校を更新した。2024年10月の着手から12月の完了まで、約2か月半で市内の小学校13校、中学校8校(*)と教育委員会の計22拠点への展開を完了した。
今回の刷新における大きなポイントは、アライドテレシス製品の採用で実現した「可視化」と、システムベースの「運用体制」を組み合わせたことだ。システムベースのデータセンターに管理環境を置き、同社の学校専任SEチームが市内各校のネットワーク状態を遠隔から一元監視。トラブル発生時も、「どこまでは正常に通信できていて、どこから先に問題があるのか」を遠隔から速やかに切り分けられる体制を整えた。
「例えば、ある学校から『電波が届きにくい場所がある』とのお問い合わせをいただきました。その際も、管理画面から無線LANアクセスポイントの電波状況を確認して原因を絞り込み、遠隔から電波強度を調整して解消できました」(高橋氏)
このように、可視化された情報をもとにまずは電話や遠隔操作で迅速に対応し、必要に応じて現地へ赴くというサポート体制が、久慈市の学校ネットワークの安定運用を支えている。
万一、対象機器が故障した際の交換作業を効率化するのが、AMF PLUSのオートリカバリー機能だ。あらかじめ取得したバックアップを利用し、交換機へファームウェアや設定情報を復元できるため、機器交換時の作業負担と復旧時間の軽減が期待できる。現在に至るまでアライドテレシス製品に起因するネットワーク障害は発生していないが、管理画面による原因切り分けとあわせ、万一への備えを整えている。
*2025年度末の学校統廃合に伴い、2026年度から市内の小中学校は16校。
問い合わせは週1回以上からほぼゼロへ、現地対応の負担も軽減
新たなネットワーク環境への刷新後、最も大きく変化したのは、学校からの問い合わせ件数だ。以前は少なくとも週1回以上、「つながらない」「遅い」といった相談が教育委員会に寄せられていたが、現在はほとんどなくなっている。
「更新前には『つながらない』『何とかしてほしい』という問い合わせが多くありました。それが今ではほぼなくなり、むしろ『つながることを前提に、どうすればもっとよく使えますか』という相談に変わっています。一段階先に進んだと実感しています」(谷川氏)
教育委員会の運用負荷も軽減した。市域の広い久慈市では、以前はトラブルの確認に学校へ出向くことも多く、遠方の学校では移動だけで30分以上かかる場合もあった。現在はまずリモートで端末やネットワークの状況を確認し、必要に応じてシステムベースと連携しながら原因を切り分けられるため、現地対応を抑えられるケースが増えている。
例えば、ある学校の職員室の一部で特定のサイトに接続できない事象が発生した際も、現地に出向く前に管理画面から上位スイッチまでは正常に通信していることを確認。そのうえで、原因候補をハブやポート、電源系統に絞り込み、必要な確認作業へつなげることができた。
こうした安定した通信環境は、AIドリルやデジタル教科書、電子黒板などの日常的なICT活用も支えている。ネットワーク刷新と同時期にAIドリルやデジタル教科書の導入が進み、従来ほとんど設置されていなかった電子黒板も、現在では普通教室にほぼ1台ずつ配置された。学校現場からも「安定して使えている」との声が寄せられており、授業の中でICTを使いやすい環境が整いつつある。
ネットワーク刷新後の2025年度には、谷川氏自身が市内全校を訪問して通信環境の状況を確認した。以前問い合わせの多かった学校を含め、ほぼすべての学校から「問題なく使えている」との声が得られたという。
“つながること”を前提に、一人ひとりに合った最適な学びと働き方改革へ
現在、GIGAスクール構想第2期(NEXT GIGA)のもと、全国で1人1台端末の更新が進められている。一方で、端末の活用を支えるネットワーク環境の改善は、多くの教育委員会に共通する課題だ。文部科学省が2026年3月に公表した調査によると、2025年12月1日時点で「必要なネットワーク速度」を確保している公立学校は63.9%だった。
久慈市では今回の刷新により、端末活用を支える安定したネットワーク基盤を整えた。今後はこの基盤を生かし、クラウド活用の進展を見据えたセキュリティ対策を講じながら、児童生徒一人ひとりに応じた学びや教職員の働き方改革へとICT活用をさらに広げていく考えだ。
「まず大切にしたいのは、現在の安定したネットワーク環境を維持しながら、セキュリティをしっかり管理していくことです。その上で、ICTをさらに活用し、児童生徒一人ひとりに合った教育や教職員の働き方改革にもつなげていきたいと考えています」(谷川氏)
システムベースで営業を担当する藤原氏は、久慈市の地理的特性を踏まえ、遠隔監視の重要性を次のように語る。
「久慈市は海から山まで市域が広く、学校も広い範囲に点在しています。各校で安定したICT活用を進めていただくためには、遠隔からネットワークの状態を把握し、必要なときに迅速に対応できる体制が欠かせません」(藤原氏)
同市の取り組みは、広い市域に複数校が点在し、限られた人員で教育ICT環境を支える自治体にとって、ネットワークの可視化と遠隔運用を組み合わせる有効性を示す参考事例といえる。アライドテレシスはこれからもシステムベースと連携し、久慈市の教育ICT環境を継続的に支援していく。
導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

久慈市教育委員会
教育総務課 学校事務係
谷川 佳澄(たにがわ よしずみ)氏
- 名称
- 久慈市教育委員会
- 所在地
- 岩手県久慈市川崎町1番1号
- 代表者
- 教育長 坂川 孝志
- URL
- https://www.city.kuji.lg.jp/kosodate_kyoiku/ kyoikuiinkai/1/4452.html
岩手県久慈市の教育行政を担い、学校教育や生涯学習、文化振興などを推進。学校教育では「生きる力」の育成を目指し、ICT機器の効果的な活用を進めるなど、児童生徒の学びを支える教育環境の充実に取り組んでいる。
パートナー企業基本情報

株式会社システムベース
システム1部 営業グループ
主任
藤原 大貴氏

株式会社システムベース
システム1部 2グループ
チーフ
高橋 元氏
- 会社名
- 株式会社システムベース
- URL
- https://www.systembase.co.jp/
岩手県北上市に本社を置く総合情報サービス企業。システム開発やクラウドサービス、IT機器の販売・保守、ネットワーク構築支援などを幅広く展開。公共・文教分野でも、導入から運用まできめ細かなサポートを提供している。





