独立行政法人 国立病院機構 名古屋医療センター 様

「患者の安全と病院経営に不可欠なデータマネジメント」を支える医療IT基盤の刷新で院内環境と運用管理性を向上!

愛知県の独立行政法人 国立病院機構 名古屋医療センターは2023年から24年にかけ、院内ネットワークを更新。高速で安定したネットワークを導入したほか、統合管理ソリューション「AT-Vista Manager EX」によりネットワークの可視化を実現。また「Net.Monitor」による24時間365日のリモート監視と運用支援を受け、安心できるネットワークを構築した。(2024年12月公開)

業種・業務
医療
ソリューション
ネットワーク運⽤ AMF AMF Cloud Vista Manager シリーズ スイッチソリューション VCS 無線LAN AWC セキュリティ UTM&VPN PoE
導入製品
システムインテグレーション ネットワーク運用 コアスイッチ ディストリビューションスイッチ 無線LAN ITサービス(Net.Service)
導入目的
ICT活用 ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 高速通信 無線LANの簡単導入 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視の支援を外部に委託 業務効率の向上 コスト削減 災害対策 クラウド利用
課 題
・Wi-Fi通信環境を改善して入院・通院時の快適性と利便性を向上
・障害発生時の工数削減や復旧時間の短縮
採用ポイント
・現行システムをベースとしたWi-Fi高速化や安定性を重視した構成
・直感的でわかりやすい操作性と高い運用性
効 果
・院内ネットワーク全体の統合管理と可視化を実現し、通信環境も高速化
・24時間365日のリモート監視で運用管理性が向上し、万一の障害発生時も迅速復旧で安心

病床数656床の大病院が電子カルテをクラウド版に移行

 独立行政法人 国立病院機構 名古屋医療センターは、地域の中核病院として高度医療を積極的に提供するとともに、臨床研究のセンター機能を備えた病院として、臨床研究を推進している。病床数は656床で、38の診療科を標榜する大病院だ。
 併設の臨床研究センターは、基礎的な医学研究成果を出し、さらにそれらを実際の医療に役立てるための架け橋となる研究を医学の各分野で進めている。重要な研究情報や個人情報なども有しており、「患者様の個人情報や診療情報だけでなく、研究の分野でも厳しくセキュリティ対策を行って、情報漏洩や流失などを防いでいます」と話すのは、医療情報管理部長で、整形外科医長の佐藤 智太郎氏。また名古屋医療センターは国立病院機構に属し、機構のSOC(Security Operation Center)も常にセキュリティ監視を行っている。加えて、職員のセキュリティリテラシーを高める取り組みも積極的に行っているという。
 名古屋医療センターは地域医療連携にも積極的で、主な取り組みの一つが電子カルテ閲覧システム「金鯱(きんしゃち)メディネット」だ。2009年から運用しているこのシステムでは、電子カルテやレントゲン、CTなどの画像情報を共有し、116施設が参加している。また2013年からは「愛知メディカルBCPネットワーク」も運用しており、名古屋医療圏内の6つの中核病院が協力して、災害時はクラウドにバックアップした診療情報を共有する仕組みを構築している。「これにより南海トラフ地震などの災害時にも医療の継続が可能です」と佐藤氏は語る。
 今回の更新では電子カルテを従来のオンプレミスからクラウド版に移行している。電子カルテのクラウド利用については、海外ではすでに医療でのクラウド利用が進んでおり、国内では名古屋医療センターも診療情報のバックアップデータをクラウドに上げて被災時に共同利用する取り組みを進めている。「ITは基本的にクラウド化の方針です。愛知メディカルBCPネットワークのクラウド利用実績や耐震性、安定性なども評価し、本部の承認を経てクラウド版への電子カルテ移行が決定しました」と話すのは、企画課 契約係長の鈴木 雅和氏だ。鈴木氏は外部との窓口や仕様書の作成、契約関連を担っている。セキュリティへの懸念については、「インフラのセキュリティ対策を万全にして運用をしっかりとすれば、クラウドとオンプレミスの差はありません」と佐藤氏は言う。

統合管理が可能で運用管理の負荷を軽減できるネットワークへ更新

 名古屋医療センターは今回、院内ネットワークの全面的な更新を行った。従来利用してきたネットワークにはいくつか課題があったという。
 まず無線LANの通信状態だ。「上手く通信ができなかったり、ネットワーク機器を更新しないと接続できなかったりしました」と話すのは、医療情報管理部の森田 智成氏。医療センターには白血病で入院している子供も多く、遠隔授業で使えないことなども問題となっていた。
 また管理面でも、統合的な管理ツールがなかったことが課題だった。「なにか問題が起きるたびに直接機器のところまで行って対応、復旧までに時間がかかっていました」と森田氏は振り返る。
 そこでアライドテレシスは、既存の現行システムをベースに、無線LANの速度や安定性を重視した構成で、直感的に把握できるような統合管理が可能で運用管理の負荷を軽減できるネットワークを提案した。
 名古屋医療センターはその提案を採用。まずネットワークを一元管理する「AMF Plus(Autonomous Management Framework Plus)」によりネットワーク全体を仮想的な単一基幹網とすることで、集中管理と運用の自動化を実現し、運用性が格段に向上。同時にネットワーク統合管理ソリューション「AT-Vista Manager EX」により、ネットワーク全体を可視化する。
 無線LANには「AWC(Autonomous Wave Control)」を導入して、アクセスポイントが最適な電波出力・チャンネルの自動調整を自律的に行う。アクセスポイントはWi-Fi 6(IEEE802.11ax)対応の「ATTQ6702 GEN2」を計210台設置。高速で繋がりやすく、安定した無線LAN通信を実現する。
 また運用支援サービス「Net.Monitor」を導入し、インフラを24時間365日遠隔監視することで、何か起きた際にはアライドテレシスの監視センターから素早く連絡を行い、障害発生時にはリモートから切り分けを行うことで、迅速な復旧を支援する。
 採用決定後、調査や検証などが始まり、ネットワーク更新は2024年2月に無事完了した。更新工事は無事進行したが、工期の調整には苦労したという。「この時間帯は難しい、といった現場からの意見に沿って予定を組み直してもらうなど、スケジュール調整には少し苦労しました」と振り返るのは、医療情報管理部の大羽 和代氏だ。

ネットワークを統合、可視化して安心・安全なネットワークを実現

 ネットワーク更新以降、大きなトラブルなどは発生していないという。「無線LANは多少繋がらないなどはありましたが、業務停止するようなトラブルは起きていません」と森田氏。
 こうしたことも含めて、Net.Monitorから名古屋医療センターに連絡を入れるケースもあれば、逆にご相談などで連絡を受けるケースもあるという。「何かあれば連絡をいただける、また逆に相談できることは、安心感に繋がっています」と森田氏は言う。
 新しいネットワークの運用については、AT-Vista Manager EXを導入したことがメリットとしては大きいと森田氏。「可視化できるようになったことで、管理対象機器の場所や状態変化をマップ上で把握でき、大変便利です」と言う。
 また今回電子カルテがオンプレミス版からクラウド版に移行したことについて、「導入時にはレスポンスが悪くなることを心配しましたが、逆に速くなりました」と大羽氏。基盤となるネットワークが速くなったことや、新しい電子カルテがクラウドに最適化されていることがレスポンス速度が向上した要因ではないかと考えているという。
 最後に佐藤氏に今後の展望を聞いた。「データマネジメントは患者の安全を守り、病院経営の健全化にも欠かせません。地域連携も重要ですが、データをスムーズに流し、ダッシュボード形式で管理・可視化できる状態を整えることが今後の病院運営の鍵です。データの可視化と活用が、病院の生き残りにとって重要なポイントです。また、少子高齢化が進む中で、看護師の数は減り、業務は増加していきます。ウェアラブル端末などの新技術を活用し、業務効率化を図る必要があります。データ量は無線LANを通じてますます増加していくでしょう」と佐藤氏は語った。
 アライドテレシスはこれからも、製品や技術、サポートの提供などを通じて、名古屋医療センターのインフラを支え、課題解決を支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

独立行政法人 国立病院機構
名古屋医療センター
医療情報管理部長
整形外科 医長
佐藤 智太郎氏

独立行政法人 国立病院機構
名古屋医療センター
企画課 契約係長
鈴木 雅和氏

独立行政法人 国立病院機構
名古屋医療センター
医療情報管理部
森田 智成氏

独立行政法人 国立病院機構
名古屋医療センター
医療情報管理部
大羽 和代氏

病院名
独立行政法人 国立病院機構 名古屋医療センター
所在地
名古屋市中区三の丸四丁目1番1号
院長
小寺 泰弘
創設
1878年
病床数
656床(一般618床、精神38床)
標榜診療科
計38科
URL
https://nagoya.hosp.go.jp/
取り組み

地域の中核病院として救急を中心とした急性期医療を提供しつつ、国立病院機構の中でも臨床研究のセンター機能を備えた病院として、高度医療や臨床研究を積極的に推進するべき役割もある。「病む人の立場に立って、安全でより質の高い医療を提供します。」を病院理念に、重要な使命をしっかりと果たせるように尽力している。

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