医療法人財団 荻窪病院 様

電子カルテ用の仮想化基盤導入と統合監視サービスにより、高い耐障害性と運用業務の効率化を実現

東京都杉並区の医療法人財団 荻窪病院では従来、物理サーバーで電子カルテを利用してきたが、サーバーの保守期限が限界に来たことに加えて耐障害性にも問題があったため、電子カルテを仮想化基盤HCI(Hyper-Converged Infrastructure)で稼働させることを決定。その設計構築、運用支援環境の導入などのプロジェクトを任されたのがアライドテレシスだった。同時に運用支援・監視サービスの「Net.Monitor」も導入し、基盤の常時監視を実現している。(2024年12月公開)

業種・業務
医療
ソリューション
スイッチソリューション VCS
導入製品
システムインテグレーション ネットワーク運用 ディストリビューションスイッチ ITサービス(Net.Service)
導入目的
HCI(仮想化基盤) ICT活用 ネットワークの新規構築 運⽤・管理の向上 環境の整備 安定稼働・安定通信 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視の支援を外部に委託 業務効率の向上
課 題
・物理サーバーの障害起因などによる電子カルテの長時間利用停止を改善
・物理サーバーの容量問題や拡張性
採用ポイント
・医療機関目線での提案と親身な姿勢
・問題が起きた際にも迅速に気付ける運用・監視サービス体制
効 果
・仮想化基盤の構築により耐障害性や拡張性が向上し、日々の不安も解消
・問い合わせ窓口をアライドテレシスに一本化して業務を効率化

新技術導入にも積極的な東京都杉並区の地域医療支援病院

 医療法人財団 荻窪病院は東京都杉並区にある二次救急の急性期病院だ。25診療科、8センター、252床を有し、地域医療支援病院として救急医療や紹介患者の受け入れに尽力するとともに、東京都災害拠点病院、東京都急性大動脈スーパーネットワーク緊急大動脈重点病院でもある。
 「当院はできるだけお断りせずに救急の患者様を受け入れています。当院では診られないような重症患者様の場合には、三次救急にご紹介させていただいております」と語るのは、総務課 情報システム担当の中尾 誠希氏。
 荻窪病院では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や新しい技術の取り入れにも積極的で、その一つに2022年には“AI問診票”のシステムを導入。タブレットを用い、初診時の問診やカルテ作成にかかる時間を削減している。「電子カルテとの直接連携はしていませんが、回答内容を電子カルテ側からPDF形式で呼び出せるようになっていますので、ある程度情報を収集した上で診察を開始できます」と中尾氏。
 電子カルテの導入は2008年。その後更新を経てきたが、2023年から2024年にかけて電子カルテの更新とともに、そのインフラにHCI(Hyper-Converged Infrastructure)を導入した。その基盤導入プロジェクトの管理や設計、調達から導入、設定作業に至るまでを一貫して担ったのがアライドテレシスである。

Azure Stack HCIの導入を決定、プロジェクトにはアライドテレシスを採用

 荻窪病院の電子カルテは従来、物理サーバーで稼働していた。ただ長く利用してきたためさまざまな課題が生まれていた。「利用してきた物理サーバーの保守期限が限界に近づいていたことに加え、何らかの不具合でメインサーバーが動かなくなった際に、冗長構成でしたが自動で切り替わりませんでした。どんなに急いでも手動の切り替えだと時間がかかり、その間は電子カルテが一切使えなくなるので、その状況を改善したいと考えていました」と中尾氏。不具合が起きても自動修復してくれるような機能を導入したいと考えていたのだ。また物理サーバー自体の容量も限界に近づき、いつ枯渇するかわからない状況だったという。
 そこで荻窪病院は電子カルテメーカーに相談したところ、インフラにHCIを導入することを勧められ、Azure Stack HCIを導入することとした。電子カルテシステムを仮想化し、耐障害性の高いAzure Stack HCI上の仮想化基盤で稼働させることを決めた。
 Azure Stack HCIの導入ベンダーを選定するにあたり、荻窪病院は複数のベンダーから提案を受け、検討を行った。その導入プロジェクトを担うこととなったのがアライドテレシスだ。「ネットワーク専業メーカーのイメージでしたが、こうしたサーバー構築も可能と聞き、プロジェクトをお願いすることにしました。当院の状況をよく分かっていて、親身になって相談に乗っていただき、医療機関目線で話をしてくれたことが良かったです」と中尾氏は選定理由を語った。
 またアライドテレシスが提案した運用支援・監視サービス「Net.Monitor」も「問題が起きた際に迅速に気付ける仕組みを求めていたので、常時監視は要件としていました」と高く評価。さらに、サーバーやネットワークに関わらず何か起きた際には、問い合わせ窓口をアライドテレシスに集約できる点も評価した。

仮想化基盤導入プロジェクトを無事完了

 電子カルテ用仮想化基盤導入プロジェクトは大きな問題もなく順調に進み、2024年3月には無事切り替えを完了した。アライドテレシスはプロジェクト管理から設計、調達、導入や設定作業に至るまで幅広く支援を行った。
 7月には電子カルテアプリケーションの更新を行い、停止することなくその更新も完了している。「HCI導入後、ハードウェアに関しては一度もトラブルは起きていません。電子カルテが停止したこともありません。常時監視していただいてるのでたまにアラートが上がることはありますが、UPSの自動メンテナンスなどでのアラートが出るだけで問題はありません」と中尾氏。なお容量的にも増設はしやすい基盤ではあるが、将来を考慮して余裕はもたせていると言う。
 電子カルテの基盤を耐障害性の高いAzure Stack HCIの仮想化基盤に移行したことについて中尾氏は、「稼働からまだ1年目なので、今後何か問題が起きたときにどの程度の手間が削減されるかというのは未知数ですが、以前のようにいつ壊れるかわからない不安をずっと抱えてきた旧サーバーから更新できたのは、一番安心に繋がっています」と言う。
 仮想化というと集約や省スペースなどの効果も期待されるが、「基盤のサーバー数自体は物理サーバーの時と変わりません。しかし、今まで物理サーバーのスペックでは入れられなかったシステムをいくつか仮想化して追加で入れることができ、性能比では電子カルテとして全体的に省スペース化できていると思います」と中尾氏は仮想化の効果を語った。

電子カルテ以外の部門システムも仮想化を検討

 運用に入ってからもアライドテレシスはNet.Monitorで監視を続けているほか、その他の課題解決の相談にも応じるなど、積極的に支援を続けている。パートナーとしてのアライドテレシスへの評価について、中尾氏は、「不満に思うところは一切なく、よくやっていただけていると評価しています。質問にも迅速に適切な回答がいただけていて助かっています」と語った。
 電子カルテ基盤のHCI導入を完了した荻窪病院は、今後もさまざまな効率化や改善を進めていく。その一つが部門システムの仮想化だ。「いくつかの部門システムはすでに仮想化されていますが、物理サーバーを利用したものもまだ多くあります。仮想化への移行が難しいシステムもありますが、可能な限り物理サーバーは全て仮想化したいと思っています」と中尾氏。加えて、部門システムについても電子カルテと同様に統合的な監視を導入して業務を効率化したいと言う。
 「部門システムは電子カルテとは異なり数も容量も変化するため、基盤は拡張性を重視しています。HCIにするかどうかも含めて検討中です。さらにリモートメンテナンス回線の集約も進めたいと思っています」と中尾氏は語った。
 アライドテレシスはこれからも、荻窪病院の課題解決に対し、製品や技術、サポートなどの提供を通じ、医療機関目線での支援を行っていく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

医療法人財団 荻窪病院
総務課 情報システム担当
中尾 誠希氏

病院名
医療法人財団 荻窪病院
所在地
東京都杉並区今川3丁目1番24号
理事長
村井 信二
病院長
布袋 祐子
開設
1933年
許可病床
一般252床
URL
https://www.ogikubo-hospital.or.jp/
取り組み

設立当初から、杉並・練馬地区を中心に地域を支える病院として、急性期医療を提供。2017年8月には地域医療支援病院の承認を受ける。また災害拠点病院として、平時は急性期・救急医療を提供し、大規模災害が発生したときは災害医療を提供することを使命とする。

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