学校法人 埼玉医科大学(埼玉医科大学病院、埼玉医科大学総合医療センター) 様
総病床2,000床を超える大学2病院が部門システム用仮想化基盤を最適化。高度なマルチ仮想サーバー移行を実現して大規模災害時のDR対策を推進!
埼玉医科大学が運営する埼玉医科大学病院、埼玉医科大学総合医療センターは、仮想化基盤の更新にあわせて、両病院に分散していた仮想化基盤を最適化するプロジェクトを実施。プロジェクトを任されたのがアライドテレシスだ。WAN越しでの移行に運用上の懸念も示されたが、アライドテレシスのきめ細やかな説明や、検証により懸念を払拭。Nutanix Moveを利用して両病院間の各部門システムの移行・最適化を行った。(2024年11月公開)
- 業種・業務
- 医療
- 導入製品
- システムインテグレーション ITサービス(Net.Service)
- 導入目的
- HCI(仮想化基盤) ICT活用 ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 運用・管理・監視の支援を外部に委託 業務効率の向上 コスト削減 災害対策
- 課 題
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・大学病院、総合医療センターに分散していた仮想化基盤の最適化
・地理的に離れた拠点間(WAN越し)の仮想サーバー移行と移行後の運用
- 採用ポイント
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・きめ細やかな提案、説明会により部門システムベンダーの不安を払拭
・ネットワーク以外のインフラ系にも強いITベンダーとしての安心感
- 効 果
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・仮想化基盤の集約によるライセンスコスト節約と管理の効率化を実現
・実例の少ないWAN越しのマルチ仮想サーバー移行を短時間、ノートラブルで実行
・大規模災害時のDR対策(WAN越しの2病院連携、将来的に3病院連携)
複数の仮想化基盤に部門システムが分散
埼玉医科大学は埼玉県内に複数の医療関連施設を運営している。埼玉医科大学病院(大学病院、入間郡毛呂山町)と埼玉医科大学総合医療センター(総合医療センター、川越市)、埼玉医科大学国際医療センター(国際医療センター、日高市)の3つの病院は規模が大きく、地域の中核病院の役割を果たしている。またそれら3病院は医療情報システムを専用線で接続し、夜間休日の電子カルテのサポートを大学病院から集中して行っている。
近年、多くの医療機関では仮想化技術を利用して複数の部門システムを仮想化基盤に集約し、集中管理に移行するケースが増えている。埼玉医科大学の病院でも部門システム用の仮想化基盤を取り入れて6~7年が経過している。
埼玉医科大学では従来、大学病院には2つの部門システム用の仮想化基盤(VMware/vSphere)と、増設した1つの仮想化基盤(Nutanix/AHV)の計3つがあり、総合医療センターには1つの部門システム用仮想化基盤(Nutanix/vSphere)が稼働していた。なお総合医療センターのNutanix基盤にvSphereを使用していたのは導入当時、部門システムがAHVでの稼動実績がなかったためだ。総合医療センターでも電子カルテ更新に伴い部門システムの更新が発生し、今まで載せていなかった部門システムも仮想化基盤に載せたいということでノードの追加を行った。そのノード追加の依頼を受けて担当したのがアライドテレシスだった。
ネットワークベンダーのイメージが強いアライドテレシスに仮想化基盤の作業を依頼したことについて学校法人埼玉医科大学 情報システム部 情報システム課川越キャンパス課長補佐の黒澤 洋志氏は、「アライドテレシスの担当者が以前から技術や対応内容を丁寧に説明してくれていたため、仮想化基盤のノード増設も安心して任せられました」と語る。アライドテレシスが埼玉医科大学の病院の仮想化基盤に関わった最初のきっかけである。
大学病院と総合医療センターに分散していた仮想化基盤を最適化
そうして仮想化基盤構築当初の想定より多くの部門システムサーバーが搭載されていったことで複数の仮想化基盤が存在していたが、それらの更新のタイミングが近づき、仮想化基盤を整理・最適化することとした。
ハイパーバイザーやライセンス料の高騰を考慮して、2病院で最適化できるような仮想化基盤の構成についての提案をアライドテレシスとパートナー企業である富士フイルムビジネスイノベーションジャパンに依頼。提案を受けて、埼玉医科大学は2024年、『部門系仮想化基盤更改プロジェクト』を実施することとした。大学病院と総合医療センターに分散していた仮想化基盤を最適化するプロジェクトだ。
なお両病院は1Gbpsの専用線で接続されているため、部門システムのサーバーが別の病院にある仮想化基盤上で稼働しても問題無いという前提で検討、提案を行った。これについて学校法人埼玉医科大学 情報システム部 情報システム課日高キャンパス課長補佐の大久保 英紀氏は、「川越と毛呂山間のような離れた距離感で集約しているケースは少ないと部門システムベンダーからも言われたことがあり、不安がありました」と語る。部門システムベンダーにとっても初めてのことで、レスポンスなどに不安を持っていたという。
これについてはプロジェクトのスタート時点で、アライドテレシスと富士フイルムビジネスイノベーションジャパンは説明会を複数回にわたって実施し、埼玉医科大学及び部門システムベンダーの不安を解消していった。「詳しい説明を受け、当院とベンダーも十分に理解を深めました。事前にQA表を作成し問題点を洗い出し、対応策を講じたおかげで、作業中も安心して任せることができました」と語るのは学校法人埼玉医科大学 情報システム部 情報システム課毛呂山キャンパス課長補佐の馬場 秀泰氏。
今回のプロジェクトでは部門システムの仮想サーバー移行に『Nutanix Move』を利用することとなった。Nutanix Moveは、ハイパーバイザー間の仮想サーバーの移行ツールで、既存の仮想化環境からNutanix環境への移行を実施する機能だ。
計画当初は、WAN超えでサーバーを配置することについて部門システムベンダーからは他での事例がないため動作保証は難しいと回答があったが、十分なテストを行うと説明し、最終的には各部門システムベンダーからも協力を得ることができた。
WAN越しでのハイレベルな移行プロジェクトを成功
部門系仮想化基盤更改プロジェクトは、2024年3月にキックオフ会議を実施。フェーズを大きく3つに分けてスタートした。第1フェーズは大学病院に新たなNutanix基盤を作成(ハイパーバイザーはAHV)。今まで他の仮想化基盤で動いていた部門システムのサーバーを新基盤に移行した。また一部の種類のデータベースを使用している総合医療センターの部門システムの内、2つを試験的に大学病院の新基盤に移行した。これは、大学病院の仮想化基盤に置いた部門システムを総合医療センターから利用して問題ないことを確認したうえでプロジェクトを進めるためだ。
「移行する前と後では全く変わらないというか、とくに変わったことすら感じない程のレスポンスで動いています。試験的に移行した2システムとも病院の根幹となる大きなシステムで、少しでも止まると患者様の診療に大きな影響を及ぼすため、若干不安もありましたが、問題なく稼働しています」と黒澤氏。なおシステム移行に関してもシステムの停止時間は15分程度、動作検証を入れても30分程度で現場はシステム利用が可能となった。この成功を受けて、現場の協力も得やすくなり、スケジュール調整も順調に進んだという。
その後の第2フェーズでは総合医療センターの一部の種類のデータベースを使用している残りのシステムを大学病院の仮想化基盤へ移行。第3フェーズでは大学病院ですでにスモールスタートしていたNutanix基盤のノードを取り外し、総合医療センターのNutanix基盤に接続。総合医療センターの一部の種類のデータベースを利用していない部門システムはNutanix基盤で動いている。
今回の移行では、50を越える部門システムが移行対象となったが、とくに大きな問題もなくプロジェクトは完了した。
3病院の仮想化基盤を最適化、連携して拠点間DR構想を推進
プロジェクト完了後、最適化された仮想化基盤は大きな問題もなく安定稼働し、WAN越しの運用も問題はないという。
提案から構築、運用に至るまでのアライドテレシスと富士フイルムビジネスイノベーションジャパンへの評価を3人に聞いた。大久保氏は「プロジェクトの進め方が丁寧で、メールや資料も非常にわかりやすかったです。移行時には仮環境で検証して進めてもらい、安心感がありました」と語る。黒澤氏は「常に病院優先で、スケジュール調整もしやすい環境を作ってもらえてすごく助かりました」と言う。馬場氏も「プロジェクトの中で当院側が気付かないことも指摘してくれ、Move以外のことも色々とアドバイスしてもらえました」と評価している。
埼玉医科大学では今回、大学病院と総合医療センターの2病院の仮想化基盤の整理を行った。さらに国際医療センターも加え、次期更新のタイミングでは3病院の仮想化基盤をトータルで最適化したいという。また一方に障害が発生した場合に他の仮想化基盤上で部門システムが継続的に稼動できるような環境ができれば、大規模災害等の時のDR(ディザスタリカバリ)* 対策になるのではないかという。「災害に強いシステムを作っていきたいと考えています」と馬場氏は最後に力強く語った。
アライドテレシスはこれからも、埼玉医科大学病院や総合医療センター、国際医療センターの課題解決を、ネットワークにとどまらずさまざまな面から積極的に支援していく。
*災害時のシステム障害を素早く復旧・修復を行うための仕組みや体制
導入ネットワーク構成イメージ図
導入企業基本情報
お客様プロフィール
学校法人埼玉医科大学
情報システム部
情報システム課
川越キャンパス
課長補佐
黒澤 洋志氏
学校法人埼玉医科大学
情報システム部
情報システム課
毛呂山キャンパス
課長補佐
馬場 秀泰氏
学校法人埼玉医科大学
情報システム部
情報システム課
日高キャンパス
課長補佐
大久保 英紀氏
- 病院名
- 埼玉医科大学病院
- 住所
- 埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38
- 病院長
- 篠塚 望
- 開設
- 1972年
- 許可病床数
- 961床
- URL
- https://www.saitama-med.ac.jp/hospital/
取り組み
医学教育を行うとともに、埼玉県西部の地域医療を担う中核病院。“For Patients(患者さんのために)”を合い言葉に患者さん第一の診療を実践して、「断らない病院」を目指し、地域医療の最後の砦として、「安心で安全な質の高い医療」を提供できるよう、全職員が一丸となって努力する。
お客様プロフィール
- 病院名
- 埼玉医科大学総合医療センター
- 住所
- 埼玉県川越市鴨田1981番地
- 病院長
- 別宮 好文
- 開設
- 1985年
- 許可病床数
- 1,053床
- URL
- http://www.kawagoe.saitama-med.ac.jp/
取り組み
埼玉医科大学2番目の病院として1985年、川越市に開設。基本理念に「安全で質の高い医療を提供し、地域から信頼される医療機関を目指します。」を掲げ、その実現のために、埼玉医科大学グループの病院として、地域の病院や診療所との連携を密にして地域医療に貢献し、社会環境の変化に柔軟に対応し、埼玉県のみならず本邦の医療の発展に大きく貢献していく。
パートナー企業基本情報
お客様プロフィール
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社
埼玉支社 メジャー営業部 メジャー営業三グループ
医療専任
前川 一樹氏
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社
埼玉支社 メジャー営業部 メジャー営業三グループ
グループ長
千本 俊明氏
- 会社名
- 富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社
- 本社
- 東京都江東区豊洲2丁目2番1号
- 創立
- 2021年
- 社員数
- 9,902名(2024年3月現在)
- URL
- https://www.fujifilm.com/fb/company/fbj
取り組み
業務改善のノウハウ・価値提供を体系化したソリューションブランド「Bridge DX Library」を通じて、顧客のDX推進を強力にサポート。