株式会社三工社 様

<スマートオフィス>老舗信号機メーカーが全館Wi-Fiと運用監視アウトソースでフリーアドレス化と業務効率化を実現

1926年の創業から100周年を迎える株式会社三工社は、鉄道や交通インフラを支える高信頼機器を長年にわたり提供してきた老舗の機器メーカーである。2025年の本社新社屋完成を機に、老朽化していたネットワーク環境を全面的に刷新。全館Wi-Fi化とともに、運用負荷の軽減を見据えた監視体制を導入して、業務効率と信頼性の向上を実現。アライドテレシスの技術と支援のもと、フリーアドレスにも対応する安定したネットワーク環境が構築され、今後の段階的なIT基盤強化に向けた土台が築かれている。

企業 関東
目 的
無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 通信の改善(高速化・帯域強化) セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視を外部委託 業務効率の向上
プロダクト・サービス
無線LANアクセスポイント AWC スイッチ VCS Vista Managerシリーズ ルーター UTM&VPN Net.Monitor
規 模
100~499
課 題
・Wi-Fiが使える場所が限られていて通信が不安定
・ベンダー混在でネットワーク保守や運用が煩雑化
採用ポイント
・自律型無線LANを全館に導入
・一社で統合可能な機器構成と設計構築や工事スキルの高さ
・運用監視まで一貫した支援体制
効 果
・全館に安定したWi-Fiを導入して業務効率を向上
・ベンダー統一で運用効率アップと管理負荷の軽減
・リモート監視により常時安心運用

創業100周年に向けて、交通インフラを支えるものづくりを推進

 株式会社三工社(以下、三工社)は、鉄道や交通インフラ向けの信号・制御機器を中心に開発から製造、販売までを一貫して手がける専門メーカー。1926年の創業以来、鉄道信号保安装置や鉄道車両用品、道路交通信号機、踏切保安装置、監視・制御装置など安全性と信頼性が求められる分野で高品質な製品を提供し続けている。とくに鉄道分野では、国の基幹インフラを支える要素技術としてその製品が数多く採用されており、長年にわたり業界内で確かな地位を築いてきた。
 企業理念として掲げるのは、「進歩する科学技術の成果を常に積極的に導入・応用した創意あるものづくりを通じて、安全で、人に優しい社会の形成に貢献する。」という言葉である。創業100周年を迎える2026年を見据え、時代の変化にも柔軟に取り組んでいる。「100周年の際にはイベント開催なども予定しています」と語るのは、三工社 事務統括本部 総務部長 兼 情報システム室課長の窪田 康彦氏。
 こうした理念と製品を支える生産拠点として1990年に操業を開始した甲府事業所では、製造から加工、組立、出荷までの全工程を一貫して担っている。培ってきたものづくりの経験と先進技術への挑戦を通じて、社会インフラの安全と安定に貢献する企業として、今後もその役割を果たしていく。
 さらに2025年3月には、本社の新社屋が完成。より働きやすく、効率的な業務環境の整備が進められている。「旧社屋は建物自体が老朽化していたことに加え、ネットワーク機器や情報系インフラにも不具合が出始めていました。そのため新社屋ではインフラ全体を刷新する必要がありました」と窪田氏は語る。

ネットワーク刷新における課題解決とパートナー選定の決め手

 新社屋への移転にあたっては、旧社屋で浮き彫りになっていたインフラ課題の解決が求められた。
 旧社屋では一部のエリアにしかWi-Fiが整備されておらず、接続が不安定で、安定した通信環境を十分に確保できない状況だった。とくに新社屋では営業部門がフリーアドレスを採用しており、場所を選ばず安定してネットワークに接続できることが業務効率に直結する。このため全館をカバーするWi-Fiの導入は、快適な業務環境の実現に不可欠な要素だった。
 またネットワークやサーバー機器の運用においても、トラブル時の対応や保守の負担が大きな課題となっていた。
 こうした背景から快適で安定したWi-Fi環境の整備と運用支援体制の強化が重要な検討ポイントとなった。
 ネットワーク選定に際しては、各ベンダーから情報を収集。その中で最も重視したのが「ベンダーの一元化」だったと窪田氏は語る。「保守の観点でも、機器ベンダーが複数だと対応が煩雑になるため、できるだけベンダーを統一することで窓口を一本化したいと考えていました。そのほうが改善や更新の相談も一括で行えるので効率的です」。
 そうした思いからパートナー選定を進めた結果、選ばれたのがアライドテレシスである。同社が提案したのは、「AWC(Autonomous Wave Control)」対応のWi-Fi全館導入と、ネットワークやサーバー機器の保守や運用監視を支援するサービス「Net.Monitor」の組み合わせであった。AWCは、無線LANアクセスポイント同士が連携して最適な電波環境を自律的に構築・維持する技術であり、安定した通信を実現する。一方のNet.Monitorは、ネットワークの死活監視や障害の早期検知・通報を行うサービスで、トラブル発生時の迅速な対応を支援する体制を整える。
 窪田氏はアライドテレシスの採用についてこう語る。「相談にも気軽に応じてくれるためとても安心感があります。私たちの利用環境を理解したうえで、提案から設計構築、施工まで一貫して対応してくれる点に満足しています」。

スムーズな移行と安定運用、そして業務効率の着実な向上

 新ネットワークの導入にあたっては、新社屋の稼働開始と同時にネットワークも本格稼働させることを目標に構築と移行の計画が進められた。移転期間中は旧社屋と新社屋を物理的にケーブルで接続し、一時的にカスケード構成を採用。どちらの拠点でもネットワークが利用できる状態を確保して段階的な移行を可能にするとともに、業務への影響を最小限に抑える工夫がなされた。
 また「床下配線などもとても綺麗に施工してもらえました」と語るのは、三工社 事務統括本部 情報システム室長の木野 嘉人氏。見た目の整備性だけでなく、将来的なメンテナンス性にも配慮された設計であったことを評価する。
 新ネットワークは稼働開始から約3カ月が経過した現在も、大きなトラブルもなく安定した状態で稼働している。全館に導入されたWi-Fi環境については、「つながらない」「遅い」といった社員からの声はほとんどなく、快適に利用できているという。
 今回導入されたAWCは、無線LANアクセスポイント同士が自律的にチャンネルや出力を調整し、最適な電波環境を維持する技術。ただ、今回の導入ではチャンネルや出力はあえてほぼ固定とし、安定性を重視した設計を採用した。「導入前にアライドテレシスが入念に電波調査(サーベイ)を実施し、電波干渉が起きにくいよう配慮してくれた結果だと思います」と木野氏は語る。
 Net.Monitorについても、現在のところトラブルによるアラートは発生していないが、「一度サーバーをシャットダウンした際にも監視センターからすぐに連絡があり、しっかり監視されていることを実感できました」と木野氏は振り返り、その運用体制に対しても、「安心して任せられる」と高く評価している。
 さらに、ネットワーク刷新の成果についても次のように語る。「移転にともない機器構成を見直したことで、無駄が減り、通信速度も向上しました。小さな改善の積み重ねが業務効率の向上につながっていると感じます」と、木野氏はその効果を実感している。

クラウド活用を慎重に見極めつつ、省力化と計画的な刷新を推進

 近年、多くの製造業でもクラウドサービスの活用が一般化しているが、三工社では情報保護の観点から、現時点ではクラウドや外部サービスの導入をあえて控えているという。
 今回、本社新社屋のネットワーク構築をひとまず完了した三工社。木野氏はその成果について、「期待どおりでした。“業務を止めず、事故なく新しいネットワークを構築する”という目標のとおりに実現できました。施工も私たちの希望にしっかり応えていただき、非常に満足しています」と語った。
 最後に今後の展望について聞いた。窪田氏は、「ネットワークの導入や運用は省力化していきたいですが、コストの問題もあるので、少しずつ段階的に進めていくつもりです」と、今後の方針を示した。それを受けて木野氏も、「今後は、甲府事業所と本社のファイアウォールの更新に加えて、甲府事業所内のコアスイッチや無線LANアクセスポイントの入れ替えなど、ネットワーク環境の改善に向けて取り組んでいきます」と語り、計画的な刷新に意欲をみせた。
 アライドテレシスは今後も、製品や技術、そして支援体制を通じて、三工社のネットワーク基盤を継続的に支えていく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

株式会社三工社
事務統括本部
情報システム室長
木野 嘉人氏

株式会社三工社
事務統括本部
総務部長 兼 情報システム室課長
窪田 康彦氏

会社名
株式会社三工社
本社
東京都渋谷区幡ヶ谷2-37-6
設立
1926年
代表
代表取締役社長 加藤 尚志
URL
https://www.sankosha-s.co.jp/

2026年に創業100周年を迎える鉄道信号機器の老舗メーカー。「機械工学」「電気工学」「化学工学」の3つのテクノロジーに磨きをかけて暮らしの安心を築く。 これからも創意あるものづくりを追求し、優れた技術で未来の礎となれるよう進んでいく。

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