豊島岡女子学園中学校・高等学校 様

<教育ICT>老朽化した複数台の物理サーバーをシンプルに集約─ ハイブリッドクラウド時代の仮想化基盤による最適化と 24時間監視で「入試も授業も止めない」環境を実現

豊島岡女子学園中学校・高等学校は、老朽化し年々増えていった7台の物理サーバー運用に課題を抱えていた。システムごとの分散運用が限界を迎え、同時に入試関連システムを支えるサーバーでのトラブルも経験。授業も入試も止められない教育現場に求められたのは、派手な先進性ではなく、“確実に動き続ける”IT基盤だった。同校はアライドテレシスと共に、Azure Stack HCI(現:Windows Server HCI)を軸としたシンプルな仮想化基盤と24時間監視の運用体制を整え、盤石なIT環境を構築している。

小中高等学校 関東
目 的
ネットワークの安定稼働 サーバーの仮想化 クラウドサービスの利活用 運用・管理の効率化 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 業務効率の向上
プロダクト・サービス
スイッチ ルーター UTM&VPN HCI Net.Monitor
規 模
1,000~4,999
課 題
・7台の物理サーバー分散運用による運用負荷の増大と老朽化の懸念
・Active Directoryサーバーを中心とした基幹系サーバーの不安定化
・障害原因未特定のまま継続する運用リスク
採用ポイント
・仮想化×冗長化(HA構成)による高信頼性と高運用性
・24時間365日の常時監視体制による予兆検知と迅速通知
・学校の実情に即した現実的かつ実効性のある提案内容
効 果
・サーバー集約による運用負荷の大幅軽減
・基幹系サーバーの負荷分散による安定稼働の実現
・常時監視による運用リスクの確実な低減

入試も授業も止められない──分散したサーバーがもたらしていた不安

 首都圏有数の進学校として知られる豊島岡女子学園中学校・高等学校。高い学習意欲を持つ生徒の学びを支え、教職員が質の高い教育活動に専念するためにも、IT基盤は“止まらないこと”が何よりも重要な前提条件となっていた。
 同校では以前、7台の物理サーバーを分散構成で運用していた。サーバーに障害が発生した際には、どの機器に問題が起きているのかを特定するため、1台ずつ確認する必要があった。年々増えるサーバー台数に比例して、UPSや電源、ラックスペース、電力コストなどの運用負荷も増大していた。
 なかでも基幹系サーバーは、Active Directory(AD)サーバーとプリンターサーバーを同一環境で運用していたことから負荷が集中しやすく、頻繁にフリーズが発生していた。サーバー更改の決断は下されたものの、更改前のタイミングであった入試直前には、入試関連システムを支えるサーバーが起動しなくなるトラブルも発生したという。
 化学教員として授業を担当しつつ、情報システムも兼務する中村 皓一先生は、当時を次のように振り返る。
 「障害が発生しても原因を特定できない、という不安が常にありました。ハードディスクのエラーは専門知識がなければ判断が難しく、保守業者に連絡しても原因不明とされることもありました。こうした状況から、サーバーの老朽化対策にとどまらず、運用そのものを見直す必要性を感じていました」。
 サーバー環境のリプレースにおいて同校が重視したポイントは、特定の製品や技術ありきではなく、「学校の実情に即した改善ができるかどうか」という点だった。その見直しの過程で出会ったのが、アライドテレシスである。
 「営業担当の方は、表面的な提案ではなく、現場の状況や悩みを丁寧に聞き取り、課題を言語化したうえで整理してくれました。打ち合わせには技術担当の方も同席し、学校が抱えていた不安や制約条件を、専門的視点から直接共有できたことも安心につながりました」(中村先生)
 製品や構成の一方的な提案ではなく、学校が抱える「困りごと」から出発し、現実的な解決策を共に考えるアライドテレシスの姿勢が評価され、刷新プロジェクトの推進が決まった。

すべてをクラウドにしないという選択。学校ITに求められた“無理のない構成”

 同校では、日々の授業はもちろん、入試や成績管理といった重要な業務が年間を通じて発生するため、システム停止が許されない場面が多い。加えて成績や進学、入試に関わる情報など、取り扱うデータの多くが機微情報であることから、セキュリティや運用の確実性が強く求められる。
 こうした背景から、IT環境は長らく学校側で管理・運用するオンプレミス環境で構築されてきた。しかし近年は、メールや一部の業務系システムを中心にクラウドサービスの活用も進めており、現在はオンプレミスとクラウドを併用している。すべてを一気にクラウドへ移行するのではなく、用途や情報の性質に応じて使い分けるという判断である。
 「すべてをクラウドに移せばよい、という話ではありませんでした。扱っている情報や業務の流れを考えると、校内に残すべきものはきちんと残す必要があると考えていました」。(中村先生)
このような考え方のもと、同校はAzure Stack HCI(現:Windows Server HCI)を導入。分散していた7台の物理サーバーを2台に集約し、仮想化基盤上で複数のサーバーを稼働させる構成とした。これにより、片系に障害が発生しても、もう一方で運用を継続できる設計となっている。
 今回構築したサーバー環境の特徴として、複数ドメインによる運用も挙げられる。教員向けの業務系、成績管理、会計など、用途ごとに役割が分かれたドメインとサーバーが存在し、それぞれが学校運営を支えている。特に成績管理で利用されるSQLサーバー(学校情報を扱うデータベース)は、校内業務との連携が密接であることから、現時点ではオンプレミスでの運用が前提となっている。
 あわせて導入されたのが、アライドテレシスを採用する上で大きな決め手となった運用支援サービス(Net.Monitor)だ。24時間365日の監視体制によりサーバーや周辺機器の状態を常時チェックし、障害や予兆を検知した際にはメールで通知される仕組みとなっている。
 今回の構成は、最新技術を前面に押し出すものではない。あくまで、学校ITとして無理のない範囲で、安定した運用を実現することを重視した設計である。この“現実解”ともいえる構成こそが、同校のIT基盤刷新を支える土台となっている。

仮想化と常時監視がもたらした、運用負荷の軽減と安定性

 以前は、障害の兆候があるたびにサーバー室へ足を運び、機器を一台ずつ確認する必要があった。しかし、仮想化基盤へ集約してからは、そうした作業が大幅に減少した。再起動や設定変更なども仮想環境上で完結するため、対応にかかる時間と手間が軽減され、運用効率の向上につながっている。
 こうした負荷軽減がもたらした価値の一つが、授業や行事の最中に生じる「突発的なトラブル対応」の負担解消だ。以前は中村先生が即座の対応を求められる場面も多かったが、現在はシステム運用に追われるリスクが抑えられ、教育活動へ集中しやすい環境が整いつつある。
 また、仮想化基盤の整備により、運用状況の把握や異常検知の精度向上も実現した。その一例が、瞬間停電時の対応だ。「自分たちでは気づけない部分まで監視してもらえます。何かあれば連絡が来るというだけで、運用に対する安心感が明確に変化しました」(中村先生)。
 当時、サーバー自体は稼働していたものの、サーバー室のエアコンが停止し、室温が上昇する事態が発生した。Net.Monitorによる常時監視でその兆候が検知され、メール通知を通じて異常を早期に把握できたことで、迅速な対処につながったという。
 「以前の環境だったら、サーバーが動いている限り異変に気づくことは難しかったと思います。通知が来たことで、すぐに状況を確認できました」。(中村先生)
 サーバー集約による効果は、運用面だけにとどまらない。空いたラックスペースには、Sky株式会社が提供する授業支援システム(SKYMENU Pro)の管理サーバとソフトを導入。情報教室(PC教室)の約50台の端末の利用状況や設定、更新を一元的に管理できる環境を構築することができた。
 こうした変化は、属人的だった運用からの脱却を後押しするとともに、次のIT施策を検討するための確かな土台づくりにもつながっている。

フルデジタルを目的としないICT活用。教育効果を軸にした取捨選択

 豊島岡女子学園中学校・高等学校が掲げているICT方針は明快である。授業や試験の基本はあくまで紙を中心とし、ICTは必要なところに、必要なものだけ取り入れるという考え方だ。すべてをデジタルに置き換えるのではなく、ICTを学習の質や教育効果を高めるための手段として位置付けている。
 一方で、ICT活用を抑制しているわけではない。探究活動、CAD、3Dプリンターの活用、デジタル採点など、教育効果が高いと判断した分野については積極的に導入してきた。重要なのは「新しいから使う」のではなく、「教育に資するかどうか」を基準に取捨選択している点だ。「先進校=フルデジタルではない」という姿勢は、今回のIT基盤刷新にも一貫している。
 こうした方針は、サーバーやネットワークを含むIT基盤の設計や、今後の改善検討にも反映されている。オンプレミスとクラウドの役割分担については引き続き議論が進んでおり、オンプレミスのADとクラウドのMicrosoft Entra ID(旧称:Azure AD)の連携、ファイルサーバーの運用方針などが検討テーマとして挙がっている。
 また、L3スイッチ更新時のセキュリティ強化や、LANケーブルが配線されていないエリアへの無線LANアクセスポイントの設置など、現場の実情に即した改善も視野に入れている。
「できることを増やす」よりも、「無理なく、確実に運用できること」を優先する──。その判断は、学校ITを継続的に運用していくうえでの現実的な選択であり、アライドテレシスは今後も同校の教育活動を支えるICT活用とIT基盤の運用を、継続的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

豊島岡女子学園中学校・高等学校
教論 教務部理科科
ICT委員会 主任
中村 皓一氏

学校名
豊島岡女子学園中学校・高等学校
所在地
東京都豊島区東池袋1丁目25-22
開校
1892年
代表者
校長 竹鼻 志乃
URL
https://www.toshimagaoka.ed.jp/

1892年、裁縫教育を目的とした私塾として創立。時代とともに教育内容を発展させ、現在は中高一貫の女子校として、高い学力と自立心を育む教育を実践している。伝統と革新を併せ持つ進学校として、首都圏で高 い評価を受けている。

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