三芳町教育委員会 様

<GIGAスクール×校務DX> 全校同時アクセスでも“止まらない学び”を実現 ── 通信基盤の最適化でクラウド・AI活用を見据えた次世代教育環境へ

三芳町教育委員会は、GIGAスクール構想の定着と校務DXの推進を背景に、教育ネットワークの抜本的な再構築に取り組んだ。町内小中学校における通信環境の課題を見直し、Wi-Fi 6対応機器への更新やAllied SecureWANの通信帯域拡大、アライド光VPNによるネットワーク統合を実施。安定性と安全性を兼ね備えた教育インフラを整備した。学びと校務の両面を支える基盤は、地域全体の教育力を高める新たなステージへと進化している。(2025年12月公開)

小中高等学校 関東
目 的
無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 通信の改善(高速化・帯域強化) クラウドサービスの利活用 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視を外部委託
プロダクト・サービス
無線LANアクセスポイント AWC スイッチ Vista Managerシリーズ Net.AMF ルーター UTM&VPN Net.Monitor Allied SecureWAN アライド光
規 模
99以下
課 題
・通信遅延や接続不良による一斉学力検査や授業への影響
・回線構成の複雑化による運用負荷増大
・障害原因の特定に時間を要する運用体制
採用ポイント
・学校に寄り添った段階的な導入設計
・Allied SecureWANでの通信帯域強化
・Wi-Fi 6と光VPNによる高速・安定通信
効 果
・通信の高速化と安定性向上によりネットワーク環境を改善
・回線の統合と通信状況の可視化で運用負荷軽減
・遠隔監視によるトラブルの早期対応と運用効率化

三芳町における教育行政とIT活用の取り組み

 埼玉県入間郡三芳町は、教育行政重点施策を通じて教育大綱の理念を実現しようとしている。その中心に位置付けられているのが、町独自の教育政策「MOVEプラン」だ。MOVEプランは「Let’sMOVE──学びを進めよう、心を動かそう、未来を動かそう」を合言葉に、2024度から27年度までを対象とした中期計画であり、子どもたちの「学びに向かう力」を「みよしの力」として育成することを目的としている。「自分とつながる」「社会とつながる」「世界とつながる」の三つのプロジェクトを軸に、主体的で協働的な学びの実現を目指している。
 学校教育課 指導主事の長谷川 慎氏は次のように語る。「MOVEプランは、ICT活用を日常の授業にしっかり取り入れる方針を明確に示しています。研修については町が主体となって体系的に設計しており、先生方のレベルに合わせて初級・中級といった段階を設けています。自分に合った研修を選んで参加できるようにすることで、学校間や先生方の間でICT活用の差が生まれないように取り組んでいます」。
 こうした理念を支える基盤として、町はICT活用を教育行政重点施策の要に据えている。町内の小中学校では一人一台端末が整備され、ドリルアプリによる個別最適化や電子黒板を用いた意見共有、クラウドツールによる協働学習などが日常化している。探究学習や国際理解教育にもICTが組み込まれ、子どもたちが社会や世界と関わる機会が広がっている。

校務DXを支える安全で安定性の高いネットワーク基盤

 GIGAスクール構想の定着と校務DXの進展を背景に、三芳町教育委員会は2025年度に教育ネットワークの抜本的な更新を実施した。今回の更新は、教育現場を支える通信基盤を再構築するものであり、その中核をなすのが「ネットワーク機器の更改」「通信帯域の最適化」「セキュリティの強化」である。
「各学校で通信状況に差があり、時間帯によっては端末がつながりにくいこともありました。とくに一斉学力検査などでは、CBT(コンピューターを使ったテスト)の際にインターネット接続が不安定になることもあり、全校で安定してICTを活用できる環境を整える必要性を強く感じていました。」と長谷川氏は語る。
 そこでまず、無線LANをWi-Fi 6対応機種に、スイッチをマルチギガ対応機種に刷新。加えて、ネットワーク運用管理サービス(Net.AMF)を導入、ITインフラ管理機能として可視化機能(VistaManager EX)や無線コントローラー機能(AWC)を追加している。また、万一の障害に備え、運用支援サービス(Net.Monitor)による遠隔監視も強化している。
 なお教育委員会では以前から、統合されたセキュアで柔軟なWAN環境を実現するAllied SecureWANを用いての集中管理体制を採用しており、全校の通信を一元的に運用している。更新に際しては、この構成を維持したまま、専用線サービスを廃止しアライド光VPNに入れ替えたうえで、Allied SucureWANの通信帯域を従来の1Gbpsから3Gbpsへ拡大した。
 今回の更新では、教職員のテレワークやリモート会議を実現する基盤としての整備も求められていた。そのため、Allied SucureWANのクラウドUTMでアクセス制御と通信の常時監視も可能とし、校外からでも安全に校務システムへ接続できる環境を整えている。
 こうして、場所や端末を問わず安全にアクセスできる環境を整備することで、学びと校務の両面で柔軟かつセキュアなICT活用が可能となり、三芳町は教育DXを安定的に推進できる体制を整備した。

機器更新とクラウド管理で安定性と運用効率を両立

 Wi-Fi 6対応機器への更新により、従来課題となっていた通信の遅延や接続の不安定さは解消された。とくに一斉学力検査など、多数の端末が同時にアクセスする場面でも通信が途切れにくくなり、授業を止めることなく進行できるようになった。
 さらに、Net.AMFとVista Manager EXを活用したクラウド管理により、教育委員会が全校ネットワークを一元的に監視・制御できる体制を構築。AWCによる無線LANの自動調整やNet.Monitorによる遠隔監視も加わり、障害発生時の切り分けや復旧が迅速化された。
 財政デジタル推進課の白鷹 慎氏は次のように語る。「以前は学校から連絡を受けてから状況を確認していましたが、今は複数の担当者がリアルタイムで状況を把握できます。問題の切り分けや対応が早くなり、現場の先生方も安心して端末を使えるようになっています」。
 加えて、セキュリティ面では、Allied SecureWANを活用し、クラウドUTMによるアクセス制御と通信の常時監視に加え、ゼロトラストネットワークの考え方を採用。利用者や端末ごとに信頼を検証する仕組みを導入することで、校外からの接続時も高い安全性を確保した。これにより、テレワークやリモート会議にも対応できる柔軟な基盤が整い、学びと校務の両面でセキュアなICT活用が可能となっている。

通信基盤の最適化によりシンプルで強固なネットワーク構成へ

 通信経路そのものの最適化も図られた。既存の通信経路を整理し、アライド光VPNを採用することで、全校を結ぶネットワークをシンプルかつ堅牢な構成へと再設計した。
 アライド光VPNは、高品質なインターネット回線を利用し、VPN技術により教育委員会と各学校を安全に接続するサービスである。この導入により、通信経路の冗長化と回線管理の一元化が進み、障害発生時の影響範囲を最小限に抑えることが可能となった。また、IPv6対応によって通信の安定性と拡張性が高まり、クラウド活用の拡大にも柔軟に対応できる設計となっている。
「これまでは回線構成が複雑で、保守や障害対応に時間がかかることもありました。しかし、今回の構成変更で管理が整理され、対応が迅速になりました。通信の信頼性が高まったことで、安心して次の施策に進める基盤が整ったと実感しています」と白鷹氏は語る。
 今回の更改は、建て替えを予定している藤久保小学校を除く町内7校を対象として実施された。これらの学校では、機器更新と通信基盤の統合が同時に行われ、校内外のネットワークが一体的に運用できる体制が整った。藤久保小学校については、新校舎の完成に合わせて次年度以降に、同様の構成で整備が予定されている。

学びと地域を支えるネットワークへ

 今回の更改により、三芳町の教育ネットワークは、町全体で安定性・安全性・運用効率を高い水準で両立する環境へと進化した。これまで整備してきた通信基盤は、単に授業や校務を支えるだけでなく、町全体の教育DXを持続的に推進するための土台となっている。
 今後は、この堅牢なネットワークを活用し、校務DXのさらなる効率化や、クラウドを活用した協働学習、在宅研修、生成AIの活用などの環境整備を段階的に進めていく方針だ。また、学習環境の拡張などにより、さらに自由度の高い教育活動を実現していく可能性も考えられる。
「個人的な考えではありますが、将来的には校庭など校舎外でもWi-Fiが利用できるようになれば、学びや校務の幅が広がるのではないかと感じています。非常時に地域の通信拠点として活用する仕組みについても、長期的な視点で検討できれば理想的だと思っています」と長谷川氏は語った。
 教育と地域、平常時と非常時をつなぐ基盤として、三芳町のネットワークは進化を続けている。その姿勢は、教育行政のデジタル化を単なる効率化ではなく、「地域に開かれたインフラづくり」として捉える、同町ならではの取り組みを示している。
 アライドテレシスはこれからも、製品や技術、サポートの提供を通じて、三芳町のIT課題の解決を積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

三芳町
学校教育課
指導主事
長谷川 慎氏

三芳町
財政デジタル推進課
白鷹 慎氏

名称
三芳町教育委員会
役場所在地
埼玉県入間郡三芳町大字藤久保1100番地1
代表者
教育長 古川 慶子
URL
https://www.town.saitama-miyoshi.lg.jp/

教育大綱を策定し、基本理念の実現に向け、様々な取組を推進している。この計画を実効性あるものとするため、計画の基本目標と施策に応じた重点的に実施する取組を定め、三芳町教育行政重点施策として毎年策定し、本町教育の振興に取り組む。

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