青森県つがる市 様

<自治体DX>仮想ブラウザを利用した三層分離対策で クラウドサービスを安全に利用できる行政ネットワークを実現

青森県つがる市は三層分離のセキュリティ対策の中で、SBC方式の仮想デスクトップを導入してLGWAN接続系からインターネット接続系を利用できるようにしてきた。しかし、インターネットの閲覧速度が落ちて利用に耐えなくなり、アライドテレシスが提案した仮想ブラウザソリューション「RevoWorks Browser」を導入。これによりインターネット閲覧は高速になり、無害化処理の時間も短縮、コストを半分に抑えて課題を解決した。(2025年1月公開)

官公庁・自治体 北海道・東北 人口:28,926人
目 的
自治体三層の対策 ネットワークの安定稼働 セキュアなインターネット接続 運用・管理の効率化 セキュリティの強化 業務効率の向上
プロダクト・サービス
Net.CyberSecurity
規 模
10,000以上
課 題
・インターネットの閲覧速度を改善
・ファイル転送や無害化処理に要する時間や工数を削減
・サーバー管理やライセンスコストの負担を軽減
採用ポイント
・ファイル転送と無害化機能が一体型
・端末リソースの活用でサーバー管理工数を軽減
・必要ライセンスは端末側のみ
効 果
・インターネット閲覧の高速化と無害化処理の時間短縮で業務効率が向上
・サーバーやリソース管理が不要になり、全体コストは従来比の半分程度に削減

デジタル化推進にも積極的なつがる市

 青森県つがる市は2005年、平成の大合併で1町4村が新設合併して生まれた。県の西部、津軽平野の北部中央に位置しており、農業が盛んな地域だ。
 「農業は本市の基幹産業です。中でもコメ、メロン、スイカ、トマト、リンゴ、ナガイモ、ゴボウ、ネギの8品目のブランド化を進めています。 高い食料供給力が強みです」と語るのは、つがる市 総務部 デジタル推進室 室長の横山 晃氏だ。
 また西部の日本海沿岸地域は日本有数の好風況地で、陸上風力発電として国内最大規模の大型風車が稼働しており、将来的には洋上風力発電の設置検討も進んでいるという。
 つがる市はデジタル化推進にも積極的で、2023年12月からは市役所に「スマート窓口」を設置。運転免許証やマイナンバーカードを使えばサインをするだけで住民票の謄本など証明書を取得することができ、窓口での支払いにはキャッシュレス決済が利用できる。
 「“書かない窓口”と“キャッシュレス決済”の2つの機能を合わせ、申請から支払までスマートに完了する窓口が“つがる市スマート窓口”です。利用率は着実に伸びています」と横山氏。

SBC方式の仮想デスクトップに課題

 つがる市では従来、総務省の「自治体情報システムのセキュリティ対策ガイドライン」にしたがって、自治体のネットワークを「マイナンバー利用系」「LGWAN接続系」「インターネット接続系」の3つに分離して利用してきた。いわゆる「αモデル」だ。
 職員のネットワーク活用の利便性を高めるために、SBC(ServerBased Computing)方式の仮想デスクトップを導入して、LGWAN接続系とインターネット接続系の間でのメール添付ファイルのやり取りに無害化装置を利用し、無害化処理の後にファイルのダウンロードやアップロードをできるようにしていた。しかしこうした処理は手間と時間がかかり、職員の利便性を損ねていた。「無害化の処理に時間がかかっていました。何とかしたいとは思っていましたが、当時は仮想デスクトップを他のものに変更するほどの課題ではありませんでした」と横山氏。
 しかし仮想デスクトップを導入して3年、それは喫緊の課題となった。「インターネットの閲覧速度が遅くなり、利用に耐えなくなったのです。仮想デスクトップのベンダーも調査をしてくれましたが、原因はよく分かりませんでした」と横山氏は振り返る。その後の調査で、仮想デスクトップがSBC方式のためファイルがサーバーに残ることがあり、ハードディスクのリソース不足などから動作が不安定になっていたことが原因だと判明した。加えて、Windows ServerのCAL(Client Access License)*などのライセンスコストや管理が負担になっていたこともあり、つがる市はこのSBC方式の仮想デスクトップをやめ、他の方式を模索することとした。


*CAL(Client Access License) :クライアントPCからWindows Serverに接続するためのライセンス

仮想ブラウザソリューションを導入し半分のコストで課題を解決

 つがる市のみならず、昨今の業務にインターネットは欠かせない。そこでつがる市は、これらの課題を解決するために別システムの導入を検討し、さまざまな製品の比較検討を行った。入札などの手続きを経て最終的に採用となったのが、アライドテレシスが提案した仮想ブラウザソリューション「RevoWorks Browser」だ。
 RevoWorks Browserは、ローカルコンテナ技術を活用して、高 い安全性と容易な操作性を提供するインターネット分離(Web分離)仮想ブラウザである。つがる市は検討にあたり、アライドテレシスの協力のもと、RevoWorks Browserの実機を使ったPoC*検証なども実施した。
 PoC検証では一番の懸案だったインターネット閲覧速度を改善できることが分かった上に、ファイル転送機能とファイル無害化機能が備わっているため別に無害化装置を用意する必要がない点、また端末のリソースを利用できることでサーバー管理工数を軽減できる点、ライセンスが必要なのはクライアント側の端末のみ(RevoWorks Browserライセンスのみ)などもメリットとして評価できた。
 「この金額でできるのかととても驚きました。利用料なども含めて、全体的にコストは半分になりました」と横山氏。
 導入は500ライセンス。RevoWorks Browserの導入はスムーズに進み、2022年の4月には全職員がこの新しい方式を利用できるようになった。なおアライドテレシスからRevoWorks Browserを導入した自治体ユーザーはつがる市が最初であり、ファーストユーザーである。


*PoC(Proof of Concept):概念実証。テクノロジー視点での実現性の検証、 利用者視点での価値があるかの検証。

セキュリティと利便性のバランスが重要

 導入当初は多少不安定なところもあったものの、アライドテレシスの迅速な協力により、その後は問題なく業務にRevoWorks Browserを利用している。
 「職員からは、インターネット閲覧も速くなり、無害化処理に何分もかかるようなこともなくなったと評価の声が上がっています。我々運用している側も、コストを抑えて課題を解決でき、また運用にもまったく手がかかっていません」と横山氏は評価する。
 「セキュリティ対策は利便性とのバランスが重要です」と横山氏は語る。セキュリティ対策を厳しくすればするほど利用者の利便性は損なわれる。「だからといって利便性のためにセキュリティを緩めればいいわけではありません。RevoWorks Browserのようなインターネット分離仮想ブラウザはちょうど良い選択肢だと思います」と横山氏は言う。
 つがる市では現在、市の自治体ネットワークの安定運用、セキュリティ対策を行いながら、ガバメントクラウドへの移行を進めている。ガバメントクラウドは各自治体の情報システムを集約・標準化することを目的としており、2025年度末までの移行を目指している。
 「ガバメントクラウド移行のため、フィット&ギャップで業務フローを見直しています。2024年12月には先行していくつかのシステムが標準システムに移行する予定です」と横山氏は語った。
 アライドテレシスはこれからも、つがる市のITインフラの課題解決を、製品や技術、サポートなどの提供を通じて、積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

つがる市
総務部 デジタル推進室
室長
横山 晃氏

自治体名
青森県つがる市
所在地
青森県つがる市木造若緑61番地1
行政面積
253.55平方キロメートル
URL
URL
人口
28,926人
世帯数
13,425世帯

青森県の西部、津軽平野の北部中央から西に位置し、気候は典型的な日本海側気候。米や野菜の作付けに適している地域とされる。2024年6月には市総合体育館「伊藤鉱業アリーナつがる」がグランドオープン、また10月には青森県沖日本海南側の海域が、国が洋上風力発電を優先的に整備する促進区域に正式に指定された。

人口は、2024年9月末日現在現在の情報

ソリューション・製品 ラインナップ

まずはお気軽にご連絡ください !お問い合わせはこちら

一覧に戻る

Language