
エンハンスド・カテゴリー5ケーブルと
カテゴリー6ケーブルの違い | 基礎知識
エンハンスド・カテゴリー5ケーブルとカテゴリー6ケーブル
エンハンスド・カテゴリー5ケーブルとカテゴリー6ケーブルの大きな違いは伝送に使用する周波数の帯域幅にあります。周波数※とは、伝送信号の1秒あたりのサイクル(周期)数を表します。サイクル数が多い程、多くの情報を伝送することができます。
カテゴリー6ケーブルでは、エンハンスド・カテゴリー5ケーブルより優れた伝送性能を保証するため、伝送特性の基準値がより厳しく規定されています。その厳しい基準値を満たすために、アライドテレシスのケーブルでは各ペアの間に十字介在を挿入しています。
また、カテゴリー6ケーブルは、10GBASE-Tにも対応しているのも大きな特徴です。ネットワークインフラの高速化が進む現在、将来の配線システムを踏まえたシステム配線が求められています。10/100/1000BASE-T、10GBASE-Tに対応したカテゴリー6ケーブルを今敷設しておくことで、将来のケーブルのリプレース等にかかるコストが少なくてすみます。
※ 周波数の帯域幅は通信ケーブルの情報伝送容量として定義されています。
カテゴリー別におけるケーブル規格値(TIA/EIA)
[TIA/EIAによる規格値](数値は20±3℃での測定値を示す)
カテゴリー | エンハンスド・カテゴリー5 | カテゴリー6 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
帯域幅 | 1~100MHz | 1~250MHz | ||||||||
100BASE-TX | 対応 | 対応 | ||||||||
1000BASE-T | 対応 | 対応 | ||||||||
10GBASE-T | 未対応 | 対応(最大55m) | ||||||||
パラメーター | 挿入損失 | NEXT | PSNEXT | ELEFEXT | PSELFEXT | 挿入損失 | NEXT | PSNEXT | ELEFEXT | PSELFEXT |
0.772MHz | 1.8以下 | 67.0以上 | 64.3以上 | 66.0以上 | 63.0以上 | 1.8以下 | 76.0以上 | 70.0以上 | 70.0以上 | 67.0以上 |
1MHz | 2.0以下 | 65.3以上 | 62.3以上 | 63.8以上 | 60.8以上 | 2.0以下 | 74.3以上 | 72.3以上 | 67.8以上 | 64.8以上 |
4MHz | 4.1以下 | 56.3以上 | 53.3以上 | 51.7以上 | 48.7以上 | 3.8以下 | 65.3以上 | 63.3以上 | 55.7以上 | 52.7以上 |
8MHz | 5.8以下 | 51.8以上 | 48.8以上 | 45.7以上 | 42.7以上 | 5.3以下 | 60.8以上 | 58.8以上 | 49.7以上 | 46.7以上 |
10MHz | 6.5以下 | 50.3以上 | 47.3以上 | 43.8以上 | 40.8以上 | 6.0以下 | 59.3以上 | 57.3以上 | 43.7以上 | 44.8以上 |
16MHz | 8.2以下 | 47.3以上 | 44.3以上 | 39.7以上 | 36.7以上 | 7.6以下 | 56.3以上 | 54.3以上 | 39.8以上 | 40.7以上 |
20MHz | 9.3以下 | 45.8以上 | 42.8以上 | 37.7以上 | 34.7以上 | 8.5以下 | 54.8以上 | 52.8以上 | 41.7以上 | 38.7以上 |
25MHz | 10.4以下 | 44.3以上 | 41.3以上 | 35.8以上 | 32.8以上 | 9.5以下 | 53.3以上 | 51.3以上 | 39.8以上 | 36.8以上 |
31.25MHz | 11.7以下 | 42.9以上 | 39.9以上 | 33.9以上 | 30.9以上 | 10.7以下 | 51.9以上 | 49.9以上 | 37.9以上 | 34.9以上 |
62.5MHz | 17.0以下 | 38.4以上 | 35.4以上 | 27.8以上 | 24.8以上 | 15.4以下 | 47.4以上 | 45.4以上 | 31.8以上 | 28.7以上 |
100MHz | 22.0以下 | 35.3以上 | 32.3以上 | 23.8以上 | 20.8以上 | 19.8以下 | 44.3以上 | 42.3以上 | 27.8以上 | 24.8以上 |
200MHz | – | – | – | – | – | 29.0以下 | 39.8以上 | 37.8以上 | 21.7以上 | 18.7以上 |
250MHz | – | – | – | – | – | 32.8以下 | 38.3以上 | 36.3以上 | 19.8以上 | 16.8以上 |
用語解説
- 挿入損失
-
挿入損失とは、減衰とも呼ばれ、送信機/受信機間に、配線またはコンポーネントを挿入した結果、発生する信号の損失を測定したもので、入力パワーと受信機における信号パワーの比です。
- NEXT(近端漏話)
-
NEXT(近端漏話)は、通信ケーブル内のあるペアに信号が伝送されたときに、その他のペアに通り抜ける信号(漏話)パワーの計測値であり、あるペアの送信機から発した信号の入力パワーと他ペアの受信機が受ける近端漏話のパワーの比です。
このエネルギーは、同じ端の受信機ではノイズとなるため、通信ケーブル特性の中でも重要なパラメーターです。NEXTが大きい程、近端漏話の影響が小さい、つまり伝送性能がよいといえます。
- PSNEXT(電力和近端漏話)
-
PSNEXT(電力和近端漏話)は、複数ぺアが同時に作動しているとき、残りの非アクティブなペア上で測定できる漏話パワーの総和です。NEXT同様に、PSNEXTが大きい程、ノイズの影響が小さい、つまり伝送性能がよいといえます。
- ELFEXT(等レベル遠端漏話)
-
ELFEXT(等レベル遠端漏話)は、FEXTから長さに依存する減衰の成分を取り除いて正規化したものであり遠端漏話の特性を示す指標として有益な規格値です。FEXT同様に、ELFEXTが大きい程、伝送性能がよいといえます。
※ FEXT(遠端漏話)は、近端で隣接するペアに結合した不要な信号を遠端で測定したものですが、長さに依存するため有益な規格値でありません。FEXTが大きい程、遠端漏話の影響が小さい、つまり伝送性能がよいといえます。
- PSELFEXT(電力和等レベル遠端漏話)
-
PSELFEXT(電力和等レベル遠端漏話)は、複数ぺアが同時に作動しているとき、残りの非アクティブなペア上で測定できる総漏話パワーの規格値です。FEXT、ELFEXT同様に、PSELFEXTが大きい程、ノイズの影響が小さい、つまり伝送性能がよいといえます。
IEEE 802.3規格におけるピンアサインと伝送方式
各規格の概要
- 100BASE-TX
-
100BASE-TXは、4芯のみを使用して通信を行い、最大100Mbpsの通信を実現します。
- 1000BASE-T
-
1000BASE-Tは、各ペアで250Mbpsの双方向通信を行うことで、最大1000Mbpsの通信を実現します。
- 10GBASE-T
-
10GBASE-Tは、各ペアで2500Mbpsの双方向通信を行うことで、最大10Gbpsの通信を実現します。
10GBASE-Tにおけるケーブルの種類と伝送距離
ケーブル | 伝送距離 |
---|---|
Class E / Category 6 | 55m to 100m |
Class E / Category 6 : unscreened | 55m |
Class E / Category 6 : screened | 100m |
Class F | 100m |
Class EA / Augmented Category 6 | 100m |