AGC株式会社 相模工場 様
工場の制御系ネットワークをAMF、AWCで統合管理
世界的ガラスメーカーであるAGC株式会社 相模工場では、工場内の制御系ネットワークのリプレースを実施。統合管理と万一の際の素早い復旧が可能な、アライドテレシスのAMF(Autonomous Management Framework)によるネットワークと、AWC(Autonomous Wave Control)による常に最適な環境を維持する自律型無線LANを構築した。(2019年11月公開)
- 業種・業務
- エンタープライズ
- ソリューション
- ネットワーク運⽤ AMF Vista Manager シリーズ スイッチソリューション VCS 無線LAN AWC
- 導入製品
- コアスイッチ 無線LAN
- 導入目的
- ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 無線LANの簡単導入 ネットワーク監視の強化 業務効率の向上 コスト削減
新たな価値を創造し続けるグローバル素材メーカー
AGC株式会社は、ガラス・電子・化学品・セラミックスの4つの事業領域でグローバルに事業活動を展開している。2018年7月1日に旭硝子株式会社から社名を変更して、AGC株式会社に生まれ変わり、グループのメッセージ発信の軸としてブランドステージメント"Your Dreams Our Challenge"を制定。「人々の暮らしがより豊かで快適になる製品を提供し、世の中の発展に貢献するためにAGCは挑戦していく」という想いが込められたこのブランドステートメントとともに、人々の生活を豊かにするために研究開発、技術革新を進めている。
AGCグループは、日本・アジア、欧州、米州、3極体制をベースに、30を超える国と地域でグローバルに事業を展開している。今回、制御系ネットワークのリプレースを実施した相模工場は、関東地方の自動車メーカーに供給する自動車用安全ガラスの総合生産工場として1972年に操業を開始。
工場敷地内に技術開発部門があり、生産部門と連携して活動していることも特徴となっている。「相模工場では自動車用のガラスを生産しています。フロントガラスからサイド、リアに至る自動車で使用するすべてのガラスの生産を担っています。
当社で自動車用ガラスを生産しているのはここ相模工場と愛知工場の2拠点です」と話すのは、AGC株式会社設備技術課電気保全班主任の児玉久則氏だ。今回、AGC相模工場では、3つの建屋に分かれた工場の制御系ネットワークをアライドテレシス製品にリプレースした。
高まるデータの重要性に対応したネットワークを
AGC相模工場では従来、制御用のネットワークを導入、運用してきたが、管理面での課題があったという。「それぞれのラインごとに固有の制御系ネットワークを有しており、統合的な管理ができていませんでした。昨今ではビッグデータの活用やIoTといった話も出てきていますが、従来のネットワークではそうしたことを実現するのは不可能でした。
まずはラインごとのネットワークをまとめて管理できるようにしなくてはならないと考えました」と児玉氏。工場ではガラスを加工する際の熱や圧力など、さまざまなデータを常にモニタリングしている。そうしたデータを将来的にシミュレーションなどにも活用することも考えられるという。
「データの重要性が高まる中で、そうしたデータを集めるにはどうすれば良いのかというところから検討が始まりました」と児玉氏は振り返る。他の部門の担当者にも話を聞くなど情報を収集し、検討しているなかで出会ったのがアライドテレシスである。「他社も検討しましたが、アライドテレシスの提案を採用しました。AMF(Autonomous Management Framework)やAWC(Autonomous Wave Control)といった機能が私たちのやりたいことの実現を助けてくれると感じました。とくにAMFの自動復旧機能は魅力でした。
ネットワークに詳しい担当者がいないことが新しい技術などを採用する障壁になっていた部分もありましたが、自動復旧があればその障壁も乗り越えられます。背中を押してくれました」と児玉氏は採用の理由を語る。加えて、アライドテレシスの機器はすでにOA系のネットワークでも一部導入されていることもあり、現場の人間が使い慣れているということも決め手の一つになったという。
AMFとAWCにより有線、無線LANを統合管理
今回のリプレースでは、AMFのマスターとしてコア・スイッチ「AT-x930シリーズ」を設置。3つの建屋に設置したディストリビューション・スイッチやPoEスイッチ、無線LANアクセスポイント(AP)などを統合管理する仕組みを導入した。ネットワーク管理には、ユニファイド・ネットワークマネージメント・ソフトウェア「AT-Vista Manager EX」も採用されている。
AMFは、複数のネットワーク機器の一括設定や一括アップデート、遠隔地からの管理・設定変更、事前設定不要の機器交換といった運用を可能とするアライドテレシスが独自開発した機能だ。AMFの導入により運用・管理工数とコストの大幅な削減、障害時の自動復旧を実現する。AWCは、無線の利用状態を定期的に収集して、各端末が隣接のAPへ接続できるように電波出力とチャンネルを分析してAPへ適用。
この動作を継続的に運用することで利用環境に最適な自律型無線LANを実現する。「生産機械を構成するネットワークは信頼性が第一ということで、従来はほとんど無線が入っていませんでした。
しかし、海外の工場なども視察して、充分に安全に利用できると確信し、今回は生産設備への無線LANも導入しました」と児玉氏は語る。2017年5月のゴールデンウイーク中にリプレース作業が実施され、無事完了した。「事前検証などもしっかりとやっていましたので、切り替え時もとくに問題は発生しませんでした」と児玉氏。
制御系ネットワーク運用管理の工数軽減も実現
新ネットワークが稼働を始めて1年あまり。大きな問題もなく安定して稼働しているという。新たな導入となった無線LANについても、チューニングなどを進めることで快適な利用環境を構築できている。「無線のAPについてはサーベイなどもせずに当社の方で設置したため、当初は接続に濃淡もありましたが、調整を進め、AWCの自律調整機能も活用して、現在では問題なく快適に利用できています」と児玉氏は言う。
運用についても工数削減の効果が現れている。「ネットワークの設定変更なども以前より容易になりました。加えて、末端でループが発生した際なども、すぐにアラートが出て、素早い対処ができています」と児玉氏。以前の環境では、ループが発生すると現場まで移動して場所を探さなくてはならなかったが、新たなネットワークでは対応の時間が大幅に短縮できているという。
2019年4月には工場のネットワークなどを管理する専門の部署も立ち上がり、Vista Manager EXを使った運用管理がさらに強化されている。今回のリプレースについて児玉氏は「有線、無線LANの統合的な管理が実現でき、しっかりとしたものができました」と評価する。また、提案から構築、運用を支援するアライドテレシスについても、「丁寧に話を聞いてくれて、思い描いていたネットワークを現実にできたととても感謝しています。
また、ハンズオンセミナーなどにもたくさん参加しましたが、そのおかげでネットワークや製品についての理解が進み、とても助かりました」と評価している。
さらなる信頼性、安全性の向上を目指して
工場の制御系ネットワークのリプレースを完了したAGC相模工場では、児玉氏が「ネットワークは信頼性が第一」と言うように、今後も信頼性をさらに高めていく。「これは相模工場だけではありませんが、工場のネットワークには高い信頼性が必要です。今回の導入では機器の冗長化もしていますし、回線もリンクアグリゲーションで二重化していますが、さらに信頼性を高めるためにネットワークの構成をリング型にするなどの対応も検討していこうと思っています。
同時に、ネットワークには高い安全性も求められますので、アライドテレシスの提案に期待しています」と児玉氏は語る。最後にAGC相模工場のネットワークについて今後の展望をお聞きした。「国内で自動車用ガラスを生産しているのは相模工場と愛知工場の2拠点ですが、設備相互効率の指標を使って、両工場の効率化を進めていきたいと考えています。
生産設備の稼働効率をお互いに開示して、優れているところ、足りないところを見せ合えられるようにデータを整える活動をしています。そのためには従来型の数字の管理だけではなく、さまざまなデータをリアルタイムで監視して収集しなければなりません。今回作ったのはそのためのインフラでもあります。
メーカーが目指すのは究極の生産性です。そのための情報整備を円滑にできるようにシステムを構築していきたいと思っています」と児玉氏は力強く語った。アライドテレシスではこれからも、製品や技術、サポートなどの提供を通じて、AGC株式会社のネットワークを積極的に支援していく。
導入ネットワーク構成イメージ図
導入企業基本情報
お客様プロフィール
AGC株式会社
設備技術課
電気保全班主任
児玉 久則氏
- 会社名
- AGC株式会社
- 所在地
- 東京都千代田区丸の内一丁目5番1号
- 設立
- 1907年
- 代表者
- 代表取締役 兼 社長執行役員 島村 琢哉 代表取締役 兼 専務執行役員 平井 良典 代表取締役 兼 専務執行役員 宮地 伸二
- URL
- https://www.agc.com/
取り組み
1907年に板ガラスの国産化を目指し兵庫県尼崎市で創業。世界トップレベルの技術とノウハウを強みに、建築用ガラス・自動車用ガラスをはじめ、ディスプレイ用ガラス、電子機器用部材、化学品やセラミックスといった高機能素材など、多種多様な製品を幅広い産業の顧客に提供するとともに、素材メーカーならではのソリューションを提案。豊かな社会を実現する新たな価値創造に挑み続けている。