北海道旭川市 様

ローカルコンテナ型の仮想ブラウザ導入により、自治体に求められる高い安全性と容易な操作性を実現

北海道旭川市では、ネットワークの三層分離と仮想デスクトップ(SBC方式)を導入してセキュリティを担保してきたが、職員の業務効率や利便性、またSBCサーバーの管理工数にも課題が発生していたため、新たなシステムを検討。アライドテレシスの提案により、パートナー会社のインターネット分離仮想ブラウザを導入し、職員のインターネットやメール、無害化の使い勝手を大幅に向上。運用管理工数も軽減した。(2022年11月公開)

業種・業務
自治体
導入製品
ディストリビューションスイッチ エッジスイッチ 無線LAN
導入目的
ICT活用 VDI(仮想デスクトップ) 運⽤・管理の向上 環境の整備 安定稼働・安定通信 セキュリティの強化 業務効率の向上 コスト削減
課 題
SBC方式+無害化装置で利用者の業務効率に課題
SBCサーバーのリソース管理が限界に来ていた
採用ポイント
ローカルコンテナの分離環境で動作するため高いセキュリティを確保
無害化のために別のシステムを用意する必要がない
効 果
利用する職員の業務効率化、利便性向上
システムの運用管理工数を削減

市制施行100年を迎え、自治体DX推進にも積極的な旭川市

 北海道のほぼ中央に位置する旭川市は2022年8月、市制施行100年を迎えた。「市制100年を記念した式典やイベント、フェスティバルなども旭川市内各地で開催しています」と、旭川市 総務部 情報政策課の高橋 英輔氏はその盛り上がりを話す。
 旭川市では近年、自治体DX(Digital Transformation)の推進に力を入れている。「2022年4月には最高デジタル責任者(CDO)を外部よりお迎えして、さらにDXを推進しています」と話すのは、旭川市 総務部 情報政策課の山﨑 悠太氏。ソーシャルメディアなどを活用してDXの取り組み状況を積極的に発信するといった取り組みも行っている。
 また2023年11月には新庁舎が竣工する予定で、現在の総合庁舎に隣接する予定地では工事が進んでいる。「市民が気軽に訪れ、集うことができる、明るく開放的な親しまれる庁舎」を目指して、多目的に活用できる市民活動スペースや展望フロアなどの整備も計画している。庁内のICT構築・運用を担う情報政策課でも通常の業務に加え、移転に向けての準備を同時に進めているという。

SBC方式でのインターネット利用、運用の課題が顕在化

 旭川市では従来、総務省の強靭化ガイドラインに従って、ネットワークを三層分離して(αモデル)、セキュリティを担保している。SBC(Server Based Computing)方式の仮想デスクトップを導入し、LGWAN接続系とインターネット接続系の間でのメールのファイルのやり取りには無害化装置を利用し、無害化の処理を行った後にファイルをダウンロード/アップロードできるようにしていた。しかしこのやり方が利便性や効率性で大きな課題となっていた。
 「2021年度には各課においてインターネットを利用する業務が増えていました。SBC方式のシステムでは、いったんメールはインターネット接続系の端末に入りますが、添付ファイルをLGWAN接続系の端末でも利用したいという場合には、無害化装置から無害化した添付ファイルをダウンロードして使わなくてはなりません。また仮想デスクトップ経由ではWebサイトからのコピーなどもできず、設定上Web会議もできないということで、利便性や効率性に課題が発生していました」と高橋氏。この無害化装置については端末に紐付くライセンス形態であったため、利用できるのは職員のうち1/3程度で、利用できない職員については課の共有PCを利用してインターネット接続系にログインしなければならないなど、業務の効率を損ねていた。
 またSBC方式ではどうしてもファイルがサーバーに残ってしまうことがあるため、ハードディスクなどのリソース不足により動作が不安定になることもあり、サーバーの運用管理面も課題となっていたと言う。「すでにリソース管理が限界に近づいていたので、なんとかするしかないということで検討を進めました」と山﨑氏。
 そこで旭川市では、これらの課題を解決するために別システムの導入を検討し、さまざまな製品の比較検討を行った。入札などの手続きを経て最終的に採用となったのが、アライドテレシスが提案した、ジェイズ・コミュニケーション社の「RevoWorks Browser」だ。

新たな仮想ブラウザソリューションの導入により課題解決を目指す

 RevoWorks Browserは、ローカルコンテナ技術を活用して、高い安全性と容易な操作性を提供するインターネット分離(Web分離)仮想ブラウザソリューション。旭川市では、検討にあたり、アライドテレシスの協力のもと、RevoWorks Browserの実機での動作検証なども実施した。
 「RevoWorks Browserは端末上のローカルコンテナの分離環境で動作するため、高いセキュリティが確保されていることが一番の評価ポイントです。ファイル転送機能とファイル無害化機能が備わっているため、これまでのように別のシステムを用意して無害化する必要がなく、また端末のリソースを利用するため、サーバー管理の工数を軽減できることも良いと思った点です」と高橋氏。RevoWorks Browserのライセンスは同時接続数で管理されるため有効活用ができる点も良かったと言う。
 RevoWorks Browserの導入はスムーズに進み、2022年の5月には全職員がこの新しい方式を利用できるようになった。「導入当初は少し動作が不安定になる部分がありましたが、アライドテレシス、ジェイズ・コミュニケーションの迅速な協力により問題なく全庁展開することができました」と高橋氏は振り返る。

職員の使い勝手向上と運用管理工数を低減

 RevoWorks Browserの導入以降、利用する職員からは「インターネットが閲覧できるようになり、業務が改善された」「ファイルのダウンロードやアップロードが楽になって、すごくありがたい」などの声があるという。とくに観光課など、外部とのやり取りが多く発生する部署ではかなりの効果を感じているという。また端末のスペックによってはWeb会議も自席で利用できることがわかったため、今後はさらなる活用を見込んでいるという。
 運用管理を行う情報政策課でも、「SBCサーバーのリソース管理が無くなったため負担が軽減しています。これまでは週に1回程度はサーバーに残った不要ファイルを消すなどのメンテナンスを行っていましたが、そうしたことは必要なくなりました。運用管理の工数はかなり減らせていると思います」と山﨑氏。システムの不具合などもなく、管理画面の確認もないとのこと。
 提案から導入、運用のフェーズにわたり支援を行ってきたアライドテレシスについては、「細かい質問などにも迅速に対応いただいています。導入して良かったと思います」と高橋氏は評価している。アライドテレシスは北海道にも支社があり、東京など遠方から駆け付けるよりも早い対応が可能となっているため、運用の安心感もあると言う。
 今後については、まずは新庁舎への移転が2023年11月に控えているため、それが最優先となる。「しばらくの間は新庁舎と旧庁舎を同時稼働しなければなりませんので、ネットワークについても構成を大きく変更することなく、安全な移転を目指します。2024年度にはネットワークの更改時期となりますので、現在のαモデルからβ、β’モデルへの移行なども含め、今後検討していきます」と山﨑氏。
 高橋氏は、「行政サービス向上や業務効率化を進めるために、デジタル化の推進は必要不可欠です。ICTを活用して行政サービスの向上を進めるため、アライドテレシスにはネットワークを中心としたさまざまなICTソリューションについて、積極的な提案を期待しています」と今後の展望とアライドテレシスへの期待を語った。
 アライドテレシスではこれからも、セキュリティやネットワーク機器、技術、サポートなどの提供を通じ、旭川市の課題解決やDX推進を積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

旭川市
総務部 情報政策課
高橋 英輔氏

自治体名
北海道旭川市
市役所所在地
北海道旭川市6条通9丁目
行政面積
747.66平方キロメートル
世帯数・人口
178,146世帯・325,360人(2022年9月1日現在)
URL
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/
取り組み

北海道のほぼ中央に位置し、年間・昼夜の寒暖差がともに大きく、四季が明瞭で特に冷涼な気候が特徴。2022年8月に市制100年を迎えた。第8次旭川市総合計画のもと、目指す都市像「世界にきらめく いきいき旭川~笑顔と自然あふれる 北の拠点~」の実現に向けて、「人口減少の抑制」と「魅力的な地域づくり」を効果的かつ集中的に推進している。

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