五島市役所 様
- 目 的
- 無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 公衆向けフリーWi-Fiの整備
- プロダクト・サービス
- 無線LANアクセスポイント 屋外無線LANアクセスポイント ルーター
- 規 模
- 10,000~49,999
世界遺産登録により観光客が増加する五島市
長崎県の西方海上に位置する五島列島。その南西部が五島市である。11の有人島と52の無人島で構成されている。2004年に福江市、南松浦郡富江町、玉之浦町、三井楽町、岐宿町、奈留町の1市5町が合併して生まれた。
五島市で今、大きな盛り上がりを見せているのが、2018年の第42回世界遺産委員会で「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が文化遺産として世界遺産登録されたことだ。長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産は、キリスト教が禁じられているなかで長崎と天草地方において日本の伝統的宗教や一般社会と共生しながら信仰を続けた潜伏キリシタンの信仰継続にかかわる伝統のあかしとなる遺産群だ。
構成される12の資産には、五島市の「久賀島の集落」と「奈留島の江上集落(江上天主堂とその周辺)」が含まれている。五島市地域振興部観光物産課主査の松井勇磨氏は、「世界遺産登録は大きな効果の一つだと思います。観光客数は増加しています。それにともないホテルなどの観光関連施設も増えています」と語る。
観光客数は、2017年の21万3千人から2018年には24万人と着実に増加している。五島市の魅力はそれだけではない。三井楽(みみらくのしま)、明星院(みょうじょういん)本堂、ともづな石といった文化庁の指定する日本遺産も、毎年多くの観光客を集めている。また、観光客とともに五島市へのUIターン、移住者も年々増加しているという。
観光客が自由に利用できる屋外公衆無線LAN環境を整備
このような環境のなかで、五島市はインバウンド誘致に積極的に取り組み、海外からの観光客増加を図っている。「世界遺産に登録されたのがキリスト教関係ということもあって、外国人観光客のなかには熱心な信者の方々もいらっしゃるように思います」と松井氏は語る。
外国人観光客の増加にともない、昨今の観光地では、案内などの多言語化のほかに公衆無線LAN環境を整備して、観光客にインターネットへ自由にアクセスしてもらえるようにしているところが多い。五島市でも情報化基本計画で観光拠点等へのWi-Fi無線環境の整備を目指すと指針を出しており、従来より公衆無線LAN設備の設置が進められてきた。
「これまでも島内観光地に公衆無線LANの設備を設置して運用しており、今回は3カ所の観光地について設備を設置することにしました」と松井氏。その3カ所は、「明星院」「辞本涯の碑(じほんがいのひ)」「牢屋の窄(ろうやのさこ)殉教記念教会」だ。明星院は江戸時代に五島列島全域を治めた五島藩の藩主五島家代々の祈願寺で、寺としては五島最古の歴史を持っている。すでに日本遺産にも選ばれている。
辞本涯の碑は、遣唐使にゆかりのある五島市三井楽町と、第16次遣唐使船(804年)で唐に渡った僧空海と深くかかわりのあることを広く紹介し、その偉徳を顕彰するために建立された碑。牢屋の窄殉教記念教会はキリシタン弾圧による殉教の地に建てられている。
アライドテレシスの屋外無線LANソリューションを採用
これら3カ所の観光地に公衆無線LAN設備を設置するにあたっては、既存の公衆無線LAN設備に増設することも検討されたが、屋外での利用シーンを踏まえて新設を行うことになった。そこで採用されたのが、アライドテレシスのネットワークソリューションを提案した有限会社イシマル五島の提案である。
「屋外用の無線LANアクセスポイントを提供しているベンダーのなかで、信頼性を重視してアライドテレシスの製品を提案しました。アライドテレシスとは以前から付き合いもあり、製品は安定して故障も少ないという実績があります」とアライドテレシスを提案した理由を話すのは、有限会社イシマル五島代表取締役の山戸裕樹氏だ。
提案について松井氏は、「屋外での安定した通信環境の実現や、機器の耐久性などの要件を満たしたうえで、コストパフォーマンスの高い提案をしてもらいました。対象となるエリアには、車やバスの駐車場などありますので、比較的広い範囲をカバーしてもらう必要がありました」と語る。
イシマル五島では電波強度や、無線LANアクセスポイントをどこに設置すれば効率が良いかなどを検証したうえで提案を行った。「観光客用の公衆無線LANでは、観光客が実際にインターネットを使うのは、史跡などのその場所というよりも、その周辺の駐車場やトイレ、休憩施設の前などが多くなりますので、機器の設置場所はそうしたことも前提に検討する必要があります」と山戸氏。
台風シーズンを迎えてもトラブルなく安定して稼働
今回、屋外公衆無線LAN環境構築のためのソリューションとして導入したのは、IEEE802.11a/b/g/n/ac対応の屋外用無線LANアクセスポイント「AT-TQ4400e」に、収容盤内にはルーターや認証装置、光回線終端装置(ONU)などを収納する構成だ。無線LANアクセスポイントは建屋の壁面などに取り付け、収容盤は休憩施設内などの屋内に設置した。
AT-TQ4400eは、防塵・防滴性能は保護等級IP67に対応しており、公衆無線LANサービスエリア、イベント会場などの無線LANサービスの提供に適している。公衆無線LANを利用するためにアクセスするウェブページなどもイシマル五島が制作した。「外国人観光客が利用することも想定して五カ国語に対応したページにしています。
注意事項などに同意すればすぐに利用できるようになっています」と山戸氏。今回の屋外公衆無線LANサービスは2019年4月1日から正式にスタートし、以降とくにトラブルもなく安定して稼働しているという。
「利用者からの繋がりにくい、切れてしまうといった声は聞かれていません。既存の公衆無線LANでは接続のトラブルも多少ありますので、それらと比較してもとても安定しています」と松井氏は評価する。この夏はいくつか大きな台風が来たこともあり心配したそうだが、そのような状況でも影響は出ていないと話す。イシマル五島の山戸氏も、「問題はとくに出ていません」と話す。
観光客が使いやすい公衆無線LANサービスを
公衆無線LANサービスの稼働開始後、2019年の観光ハイシーズンも無事に越えた。「大きな観光バスですと40名ほどの観光客が乗ることになります。このような多くのお客様が利用しても、問題があったという声は聞いていませんので満足しています」と松井氏は話す。
観光物産課では、今後は公衆無線LANの利用促進にも力を入れていく方向だ。この夏の利用ログなども精査して、必要であれば細かな調整などを行っていくことも検討している。
さらに、既存の公衆無線LANについても再検討を行わなくてはならないと松井氏。「既存の公衆無線LAN環境では、アクセスポイントによっては接続性や速度などに問題のあるところもあります。基本的な構成なども含めて、再検討する必要があると思っています」と話す。五島観光の玄関口ともなる港の待合室などは接続性を強化したいとも付け加えた。
今回、新たな屋外公衆無線LAN環境の増設を完了した五島市。今後も状況を見ながら、観光客の使いやすい公衆無線LAN環境を目指していく。「今回の増設については満足しています。将来的にはアクセスポイントを一元的に管理できるような仕組みも検討する必要性があると思っています」と松井氏は語った。アライドテレシスではこれからも、製品や技術、サポートの提供を通じて、五島市の公衆無線LAN環境の充実を支援していく。
導入企業基本情報
五島市
地域振興部 観光物産課
主査
松井 勇磨氏
- 地域名
- 五島市
- 所在地 (五島市役所)
- 長崎県五島市福江町1番1号
- 面積
- 420.10平方キロメートル
- URL
- https://www.city.goto.nagasaki.jp/
- 人口
- 37,131人
長崎県の西方海上約100キロメートルに位置し、11の有人島と52の無人島で構成される。世界遺産、日本遺産を擁する、古くからの伝統と文化が魅力の島々。企業やスポーツ合宿などの誘致、創業支援なども積極的に実施している。2020年には「2020国際ツバキ会議・全国椿サミット五島大会」が開催される。
※人口は、2018年3月末日現在の情報
パートナー企業基本情報
有限会社イシマル五島
代表取締役
山戸 裕樹氏
- 会社名
- 有限会社イシマル五島
- 本社
- 長崎県五島市上大津町1131-1
- 設立
- 1996年
- URL
- http://www.ishimarugoto.co.jp/
長崎県五島市と新上五島町で、OA機器・家具・サプライ等の販売からメンテナンスまでオフィス全般にわたる幅広いサービスを提供。オフィスの「困った」を解決する。