石巻市立病院 様
- 目 的
- 病院内Wi-Fiの整備 無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 運用・管理の効率化 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視を外部委託 業務効率の向上
- プロダクト・サービス
- 無線LANアクセスポイント スイッチ VCS ルーター UTM&VPN Net.Monitor アライド光
- 規 模
- 100~499
「被災地における医療復興のシンボル」として新病院を開院
東日本大震災で甚大な被害を受けた石巻市立病院は2016年9月、JR石巻駅前に新病院を開院した。震災にともなう津波により以前の石巻市立病院の建物は全壊し、以降は仮診療所を開設して診療を継続してきた。開院した新病院は「被災地における医療復興のシンボル」として新たな一歩をスタートした。
新病院は地上7階建てで、災害にも強い構造を採用している。石巻市立病院医療技術部長薬剤科部長の片山潤氏は、「新病院の敷地も震災の際には1メートルほど浸水しました。そのため、1階部分はすべて駐車場とし、病院機能は2階以上に置いています。1階と2階の間に免震層を設け、万一大きな地震が発生しても診療を継続できるようにしています」と新病院の建物の特徴を話す。
屋上には搬送用のヘリポートも備え、災害時医療体制を整えた病院となっている。新病院の病床は一般病棟140床(うち20床は緩和ケア病床として整備)に、療養病棟40床。内科、外科、整形外科、放射線診断科、麻酔科、リハビリテーション科の計6診療科で、基本理念である「市民に愛される病院。市民に信頼され、市民が満足する質の高い医療の提供」を目指し、医療サービスを提供している。
将来を見据えたネットワークを構築
石巻市立病院では新病院の建設にあたり、電子カルテシステムおよびその基盤となるインフラも新規で導入した。今回、その基盤となるネットワークやサーバー、端末など、病院に必要となるさまざまなIT機器、システムの導入を一元して行ったのがアライドテレシスである。石巻市病院局経営企画室長兼石巻市立病院医療情報管理センター副センター長の中村仁美氏は、「以前の石巻市立病院でも電子カルテシステムを導入していましたが、新病院でも導入すべく、インフラとあわせて時間を掛けて検討を行ってきました」と話す。
基盤となるネットワークについて片山氏は、「とくにネットワークについては、最初にしっかりしたものを導入しようということで検討しました。以前の病院のネットワークは追加で拡張を行っていたため複雑になってしまい、運用にも苦労していました。将来的なことも見据えたネットワークを構築したいと考えました」と語る。
電子カルテの基盤はトラブルが起きると診療も停止してしまうため、高い可用性が求められることはもちろん、患者の大切な情報を預かるという観点からセキュリティーについても厳しい要件が求められた。中村氏は、「証明書を導入し、証明書のない端末は接続できないようにしています。手間は増えますが、セキュリティー面を考えると必要です」と話す。同時に、情報漏えい対策のためのクライアント運用管理ソフトウェアなどの導入も要件のひとつとなった。
ITシステムの基盤をアライドテレシスがトータルに導入
検討の後、医療情報システム構築業務事業者選定公募型プロポーザルなどの手続きを経て、電子カルテシステムは株式会社ソフトウェア・サービスが、その基盤となるネットワークやサーバー、ストレージ、端末などはアライドテレシスがトータルで導入を行うことと決定した。
ネットワークについては、コア・スイッチとして「Centre COMx930シリーズ」を2台、VCS(Virtual Chassis Stacking)機能を使って冗長化して設置。フロア・スイッチやサーバー・スイッチには「CentreCOMSH510シリーズ」が採用され、さらに、無線LANアクセスポイントには「ATTQ3400」が導入されている。
なお、フロア・スイッチ、サーバー・スイッチもコア同様にVCSを使って2台のスイッチをスタックすることで可用性を高めている。ネットワーク上の仮想基盤は、アライドテレシスのサーバー設計・構築サービス「EtherGRID」により構築されている。EtherGRIDは、サーバーの設計から構築までを提供するソリューションだ。なお、電子カルテシステムの基盤についても、クラスター化により耐障害性を向上した構成となっている。
その他にも、クライアントPCやプリンタ、デジタルサイネージ、さらに、Sky株式会社のクライアント運用管理ソフトウェア「SKYSEA Client View」などについてもアライドテレシスが一元で導入しており、導入に関する石巻市立病院の負担を大きく軽減している。片山氏は、「新設の建物ですのでさまざまなITを導入する必要がありましたが、これをそれぞれ違うベンダーにお願いしていたのでは大変です。一元化でき、導入の手間を大幅に効率化できました」と話す。
市内の医療機関と結ぶネットワークも刷新
インフラの設置工事は、新病院の工事完了にあわせてスタートし、予定通りに完了した。「短いスケジュールでしたが、アライドテレシスは柔軟に対応してくれて助かりました」と片山氏は評価する。2016年9月、新病院は無事開院を迎え、新ITは大きなトラブルもなく、安定して稼働している。今回、石巻市立病院に加え、石巻市の医療機関である4つの医療機関(石巻市立病院開成仮診療所、石巻市立牡鹿病院、石巻市雄勝診療所、石巻市寄磯診療所)でも、IT機器の更新を行うとともに、ネットワークを接続。
各医療機関から石巻市立病院の電子カルテシステムを利用できるようになっている。なお、この医療機関を結ぶインターネットVPNは、アライドテレシスが提供する「アライド光」である。「4つの医療機関と結ぶ以外にも、さまざまな業者がリモート保守に利用するなど、何本ものインターネットVPN回線が必要ですが、これらをアライド光で一本化できました。コストはもちろん運用面でも効率化が図れ、とても良かったと思います」と中村氏は話す。石巻市立病院では今回、開院後のインフラ保守・運用に、アライドテレシスのIT運用支援サービス「Net.Monitor」を導入している。
Net.Monitorは、障害発生時の切り分け支援を基本に、アライドテレシスの運用センターで24時間365日、リモート監視を行い、障害の早期検出・予兆検出を行うサービスだ。異常が発生した際にはアラートおよびメール送信で通知する。中村氏は、「何か起きた際には連絡をもらえますので、安心して運用できています。当院にはインフラ専任の部署がありませんので、Net.Monitorはとても助かります」と言う。
ネットワークカメラもインフラ上に導入
新病院のスタートを切った石巻市立病院。片山氏は、「基盤となる部分については、しっかりとできたと評価しています。充実したネットワークが構築できました」と評価している。石巻市立病院では今後、みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会の運営する医療情報ネットワーク「MMWIN(エムエムウィン)」とも連携して、地域住民に対する医療・介護・福祉支援にも注力していく。
中村氏は、「今年度中にはMMWINとの接続を実施する予定です。電子カルテシステムのデータは、院内以外にも電子カルテベンダーのサーバーにもバックアップを保管していますが、MMWINに加入することでさらにバックアップを強化できます」と話す。加えて、アライドテレシスでは、開院後に病院からの依頼を受け、監視カメラの設置も行っている。「構造上、受付から待合室が見えないところがあり、ネットワークカメラを導入しました。カメラ用にまたネットワークを引いて、モニターも設置してというのでは手間が大きすぎますが、ネットワークに追加する形で容易に導入できて良かったです」と中村氏は話す。
最後に片山氏に今後の展望を聞いた。「今回のIT導入では、満足いくものができたと思います。今後は利用しながら、新しいものなども検討していきます。物理セキュリティーのさらなる強化なども考えていきたいと思いますので、引き続きアライドテレシスには支援を期待しています」(片山氏)アライドテレシスではこれからも、技術や製品の提供、サポートの充実などを通じて、石巻市立病院の医療サービスの基盤全体を支援していく。
導入ネットワーク構成イメージ図
導入企業基本情報
石巻市立病院
医療技術部長 薬剤科部長
片山 潤氏
- 病院名
- 石巻市立病院
- 所在地
- 宮城県石巻市穀町15番1号
- 診療科目
- 6診療科
- 病床数
- 180床
- URL
- http://ishinomaki-city-hospital.jp/
1998年開設。市の運営する市立病院。地域医療に貢献し、地域の皆様が満足する質の高い医療を提供する。
※病床数の内訳:一般病棟140床(うち20床は緩和ケア病床)、療養病棟40床