京都中部総合医療センター 様
- 目 的
- 病院内Wi-Fiの整備 リモートアクセス回線集約 無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 通信の改善(高速化・帯域強化) サーバーの仮想化 運用・管理の効率化 統合ネットワークの構築 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 業務効率の向上
- プロダクト・サービス
- 無線LANアクセスポイント AWC スイッチ VCS Vista Managerシリーズ AMF UTM&VPN HCI
- 規 模
- 100~499
- 課 題
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・サーバー老朽化で管理負担が増大
・ハードウェア増設時のシステム停止による業務への影響
・ネットワークの分散管理
・院内Wi-Fiの接続が不安定
- 採用ポイント
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・HCIによる仮想化基盤の統合管理
・仮想化基盤とネットワーク統合、両方の構築スキルとサポート力
- 効 果
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・サーバー統合により運用負荷とコスト削減
・無停止でシステム拡張が可能に
・安定したネットワーク環境で医療業務を効率化
総務大臣賞も受賞した京都府南丹医療圏の中核を担う公的総合病院
京都中部総合医療センターは、亀岡市・南丹市・京丹波町の2市1町で構成される一部事務組合の国民健康保険南丹病院組合が運営する病院である。京都府南丹医療圏の中核を担う公的総合病院であり、地域住民に良質な医療を提供することを使命とする。464床の入院病床と人工透析設備を有し、31の診療科で高度専門医療を提供する。内科、外科、周産期、小児の各科で24時間365日の救急対応を確立し、ドクターヘリ搬送や災害医療にも積極的に取り組む。
がん診療や回復期・在宅医療にも対応し、地域包括ケアの拠点として機能している。また2018年には「地域医療支援病院」に承認され、地域医療との連携を強化。人材育成や医療の質の向上にも努めている。
さらに「地域医療への貢献が評価されて、2024年度自治体立優良病院総務大臣表彰を受賞しました」と語るのは、京都中部総合医療センター 医事課 主幹の中井 善能氏。この表彰は、地域の医療提供体制を支える自治体病院の中でも特に優れた実績を持つ施設に贈られるもので、同院の継続的な努力が認められた証である。今後も高品質な医療を提供し、地域の健康を支える役割を果たしていく。
HCIによるサーバー集約と基盤の統合管理
京都中部総合医療センターが仮想化サーバーを導入したのは約8年前。しかし物理サーバーの老朽化にともない、新たなプラットフォーム導入が求められていた。
「当時は3層構成の仮想化を利用していましたが、ハードウェア増強時にシステムを一斉停止する必要があり、業務に支障が出ていました」と中井氏。10以上の部門システムが稼働しており、一斉停止は大きな負担だった。
この課題を解決し、効率的なサーバープラットフォームを実現するため、HCI(Hyper-Converged Infrastructure)を検討。その中でNutanixに注目した。
アライドテレシスは事前調査を行い、NutanixのHCIを活用したサーバー集約と基盤統合管理を提案。従来、HIS(病院情報システム)、情報系、PACS(医用画像管理システム)は物理的に分離し、ベンダーも異なっていたが、HCIの導入で統合・集約し、無停止でサーバー拡張が可能になるとともに、基盤調達や管理の負担も軽減される。
「コスト面も試算し、HCI導入は病院に大きなメリットがあると判断しました」と中井氏。最終的にアライドテレシスの提案を採用した。
段階的なHCI導入と運用成果
HCIの導入は2回に分けて実施された。まず2022年にPACS系システムを3ノード構成のNutanixへ移行。その後、2024年にHIS系システムの基盤拡張として2ノードを追加した。PACS用の画像データは容量が大きいため、専用ストレージを導入することでコストの増加を抑える工夫も行われた。「ノードの追加も無停止で行えました」と中井氏は振り返る。
以降、5ノードのNutanixによる仮想化基盤は大きなトラブルなく、安定稼働している。UPSのトラブルによりノードが一時停止する事態もあったが、「仮想マシンが自動的に他のノードへ移行し、システム停止はありませんでした」と語るのは、運用パートナーの株式会社ソラスト 医療事業本部 運営統括部 関西エリアの久保 恵子氏。
仮想化基盤についての評価を中井氏は、「部門システムが個別管理されていた状況から、HCIにより統合管理が可能になったことが大きな成果です。運用の簡素化にもつながっています」と語る。またHCIに集約することで1ラックに機器が収まり、スペースや電力の節約にも繋がっているという。
仮想化基盤の提案から導入、運用、サポートに至るまでアライドテレシスの支援については、「問い合わせ対応も迅速で、非常に助かっています」と中井氏。ソラストの久保氏も「回答がとても速く解決能力が高いので、運用面で大きな安心感があります」と評価する。
院内ネットワークの統合と最適化
仮想化基盤導入と同時に、院内ネットワークも更新。アライドテレシスが機器更新を担い、従来分離していたHIS系と情報系ネットワークを統合した。
さらに統合管理技術「AMF PLUS」と無線LANの自律制御「AWC(Autonomous Wave Control)」を導入し、Wi-Fi環境を整備。「従来のWi-Fiは接続が悪く、中継器で対応していました」と中井氏。
ネットワークは「AT-Vista Manager EX」で仮想化基盤を含むネットワーク全体を見える化し、運用会社のソラストも活用しているという。
またセキュリティも強化し、機器更新に加えて端末認証(MACアドレス認証・802.1X認証)を設定。不正アクセスを遮断し、さらなる強化も予定している。
中井氏は「職員や看護師にとってネットワークはつながって当たり前。それが快適かつ安全に維持できていることが最大の成果」と評価した。
HCIによる仮想化基盤の構築と院内ネットワークの統合を行った京都中部総合医療センターは、新しい技術などを活用しながら、業務の効率化を進めていく。最後に中井氏に今後の展望を聞いた。「モバイル端末の活用とAIがキーワードです。これらを導入、さらに活用することで、より職員や看護師の業務負荷を軽減していきたいと思っています」と語った。なお昨今、医療機関の事業継続計画、いわゆるIT-BCPについても積極的に策定を進めており、年1回の訓練なども実施しながら職員の意識を高めていくという。
アライドテレシスはこれからも、京都中部総合医療センターの仮想化基盤、ネットワークを製品、技術、サポートなどの提供を通じて、積極的に支援していく。
導入ネットワーク構成イメージ図
導入企業基本情報
京都中部総合医療センター
医事課
主幹
中井 善能氏
株式会社ソラスト
医療事業本部
運営統括部
関西エリア
久保 恵子氏
- 病院名
- 京都中部総合医療センター
- 所在地
- 京都府南丹市八木町八木上野25
- 院長
- 病院長 辰巳 哲也
- 開設
- 1936年
- 病床数
- 464床
- 標榜診療科
- 計31科
- URL
- https://www.kyoto-chubumedc.or.jp/
京都府南丹医療圏(亀岡市、南丹市、京丹波町)における公的総合病院。高度専門的医療を実践するとともに、24時間365日の救急体制を確立。地域の拠点病院として、救急医療に幅広く対応しながら、災害医療にも積極的に取り組んでいる。患者中心の良質な医療を行い、地域に愛され信頼される病院を目指す。
※病床の内訳:一般450床・結核10床・感染4床)、人工透析56床