日本ホイスト株式会社 様

<製造業DX>クレーン工場が挑む!ペーパーレス×自動化による 稼働力最大化を目指してITインフラ基盤を刷新

2024年、広島県福山市に多層階の新工場を竣工した日本ホイスト。産業用クレーン・ホイストの製造現場では、広いフロアを自在に行き交うクレーンや周辺機器などを支えるため、安定したネットワークが欠かせない。従来の有線運用は取り回しや情報管理に限界があり、コロナ禍で遠隔検査の需要も高まったことから無線化が急務となった。同社が採用したのは、アライドテレシスの無線LANソリューション。自動で電波環境を最適化する「AWC」や集中管理を可能にする「AMF」、さらにネットワーク全体の可視化を実現する「Vista Manager EX」を組み合わせ、工場全体で「つながって当たり前」の環境を構築。現場の声を丁寧に反映した導入プロセスは、新拠点の挑戦を支える確かな基盤となっている。(2025年10月公開)

製造業 中国・四国 従業員数:523名
目 的
工場のIoT化 無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 IoT活用 運用・管理の効率化 業務効率の向上
プロダクト・サービス
無線LANアクセスポイント AWC スイッチ Vista Managerシリーズ AMF
規 模
500~999
課 題
・工場内配線の取り回しの難しさとレイアウト変更・拡張の柔軟性不足
・紙管理による紛失・誤記リスクと情報共有の遅れ
・遠隔立ち会い・検査ニーズへの対応
採用ポイント
・製造現場の課題解決と作業効率化に役立つ無線LANソリューション
・安定稼働実績と国内メーカーの安心感
・綿密な現地調査と課題に沿った提案・迅速サポート
効 果
・無線化によるレイアウト自由度向上と現場稼働力の強化
・ハンディ端末を活用したペーパーレス化と自動化により作業効率向上
・安定稼働により障害件数が大幅減少

巨大クレーンが行き交う工場を支える“見えない基盤”の課題

 天井を走る巨大なクレーンが動き、整理整頓されたフロアには精密な部品や製品が行き交う――。2024年に稼働を開始した福山本社の新多層階工場は、日本ホイストのものづくりを象徴する舞台とも呼べる。国内有数の産業用クレーン・ホイストメーカーとして、全国に製造拠点を展開し、社会インフラを支える設備を数多く提供している同社。その技術力と信頼性は長年の実績に裏打ちされている。設計から製造、検査までを担う福山本社工場は、まさにその屋台骨を支える重要拠点だ。
 しかし、以前はこのダイナミックな現場を支えるネットワークは、有線中心の運用にとどまっていた。
「クレーンが天井を走る工場なので、有線だとどうしても取り回しが難しいです。設備の追加やレイアウト変更のたびに工事が必要になり、現場の柔軟性が損なわれていました」と情報つなぐ部 S氏は振り返る。
 紙伝票やラベルに依存した情報管理も課題であった。紛失や剥がれによって確認作業が滞り、思わぬ遅れを招くことがあったという。
 「もっとパソコンを活用したい、情報をタイムリーに共有したいという声は以前からありましたが、環境が整わず実現できていませんでした」と情報つなぐ部 A氏も語る。
 さらにコロナ禍により、遠隔での立ち会いや検査への対応が求められるようになった。従来の仕組みでは対応が難しく、ネットワーク基盤の刷新は避けられない課題となっていた。

段階的な無線化の先に――新多層階工場で実現したネットワーク安定化

 課題を解決するため、日本ホイストはまず2022年から工場ネットワークの無線化に踏み出した。福山本社工場を皮切りに、新たに生産拠点として建設された東北、北海道の新工場にも順次展開を進め、確かな効果を実感していった。
 そして2024年、竣工した新多層階工場では、アライドテレシスのソリューションを導入。電波環境を自動で最適化する「AWC」、拠点をまたぐネットワーク機器を一元管理できる「AMF」、さらにネットワーク全体を可視化してトラブルの早期発見を支援する「Vista Manager EX」を組み合わせ、工場全体を安定して運用できる環境を整えた。
 導入の背景には、アライドテレシスへの長年にわたる信頼がある。
 「過去の導入でも安定して稼働しており、機器の堅牢性やサポート対応に不安を感じたことはありませんでした。国内メーカーならではの安心感も大きかったですね」とA氏は語る。
 検討段階では他メーカーの製品も比較したが、アライドテレシスの信頼性と実績が決め手となった。さらに、アライドテレシスの営業担当者が、現地調査を重ね、工場の状況を丁寧に把握し、最適な提案を行ったことも大きな後押しとなった。S氏は「細かな課題まで一緒に考えてくれる姿勢に、安心して任せられると感じました」と振り返る。
 こうして日本ホイストは、新多層階工場を含めた全社的なネットワーク基盤を、アライドテレシスと共に整備することとなった。

安定と可視化で変わる現場――AWC・AMF・Vista Manager EXの力

 新多層階工場に導入された無線LANは、広大なフロア全域をシームレスにカバーし、ハンディ端末やノートPCが移動しても通信が途切れない環境を実現している。 アライドテレシスの「AWC」が電波干渉を自動調整し、端末が常に最適なアクセスポイントに切り替わる仕組みだ。
 「以前は、機器を置く場所が限られてしまい、無理にケーブルを通すと作業動線に干渉していました。今は端末の設置場所を選ばなくなり、現場の自由度が格段に上がりました」とS氏は語る。
 また、「AMF」により、複数階層にわたる工場内のスイッチやアクセスポイントを集中管理。構成変更や障害発生時にも自動調整が行われるため、管理担当者が現場に足を運ばずとも即座に状況を把握し、必要な対応が可能になった。さらに「Vista Manager EX」による可視化で「どの端末がどこに接続しているか」をリアルタイムで確認でき、トラブルの芽を早期に摘み取れるようになった。
 「今では本当に、何も問題なく使えているというのが一番の感想です。特に気にしないでも使えている、というのが一番のメリットですね。つまり、ネットワークが途切れる心配をせず、空気のように“あるのが当たり前”として使えるようになっています。従来は端末の接続不良や遅延が業務に影響する場面もありましたが、そうした不安が解消され、現場は通信を意識せず本来の作業に集中できるようになりました」とA氏も手応えを語る。
 加えて、運用面での同社独自の工夫も見逃せない。新多層階工場のサーバールーム内にスイッチを収納できるスペースは限られていたが、同社の従業員がブラケットを自作し、機器を効率的に収めたという。「現場の知恵を生かしながら、省スペースで管理性の高い環境を整備できました」とS氏は笑顔を見せる。こうした発想と実行力は、ものづくりに秀でた従業員を抱える日本ホイストならではの強みともいえる。

“紙”から“端末”へ――ネットワーク刷新がもたらした効率化

 安定した無線ネットワークを土台に、現場の働き方も大きく変わった。ハンディ端末を活用することで、工場内のどこからでもシステムにアクセスでき、作業場所を選ばず入力や確認が行えるようになったのである。
 「以前は紙の伝票を使っていて、どうしても紛失や記載ミスといったリスクがありました。今は端末に直接入力できるので、そうした心配がなくなりました」とS氏は説明する。
 伝票を持ち歩き、後からまとめてシステムに入力する手間も不要となり、作業のスピードと正確性は飛躍的に向上した。現場で入力された情報はすぐに共有されるため、工程間の連携もスムーズに進む。
 「情報がタイムリーに反映されるようになり、現場全体で効率が上がったと実感しています」とA氏も手応えを語る。
 ネットワークの刷新は、単なるインフラ整備にとどまらず、現場の仕事の進め方そのものを変えるきっかけとなったのである。

障害件数は大幅減、20年稼働の実績が裏付ける安定性

 福山市の新多層階工場だけでなく、全国に展開する拠点も含めてネットワークを集中管理できるようになったことは、大きな変化だ。アライドテレシスの「AMF」により遠隔地の状況を一元的に把握できるため、トラブル発生時にも即座に対応が可能となり、復旧までの時間は大幅に短縮された。
 「以前は不具合があると現地に出向いて確認する必要がありましたが、今は『Vista Manager EX』の管理画面を見れば状況が把握でき、指示もすぐに出せます。時間も労力も大きく削減できました」とS氏は語る。
 さらに、ネットワーク障害の件数自体が大幅に減少し、従業員からは「意識しないほど安定している」という声が上がっている。通信環境を気にせず作業できることが、現場の生産性を下支えしているのだ。
 この安定性を支えているのが、アライドテレシス製スイッチをはじめとする機器の堅牢性である。中には20年以上稼働を続けた実績もあり、その耐久性は「国内メーカーならではの壊れにくさ」という安心感につながっている。S氏も「安定して長く使えるので、計画的に更新できる点も大きなメリットです」と信頼を寄せる。
 今後についても、日本ホイストは工場ネットワークのさらなる進化を見据えている。
既存の古い工場についても順次無線化を進め、全社的に統一された環境を整える計画だ。また、ファイルサーバーのクラウド移行を進めつつ、その先の活用として生成AIの可能性についても試験的な取り組みを検討している。セキュリティ教育やサプライチェーン対策も重要なテーマに掲げ、安定と安心を両立する基盤づくりを進めていく方針だ。
 そうした新たな挑戦の根底には、アライドテレシスへの長年にわたる信頼がある。
現地調査を重ね、課題を丁寧に共有しながら最適な提案を行ってきた。トラブル発生時にも迅速に対応し、安心感を裏打ちしている。A氏とS氏はそろって、「国内メーカーとしての安心感に加え、壊れにくく長期にわたって保守が続く点は非常に大きい。何より“当たり前に動く”という安定性こそが最大の信頼につながっています」と語る。
 安定して当たり前に動くインフラ――。その基盤づくりには、アライドテレシスの技術とパートナーシップが静かに寄り添っている。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

日本ホイスト株式会社
情報つなぐ部 A氏

日本ホイスト株式会社
情報つなぐ部 S氏

日本ホイスト株式会社
情報つなぐ部 Y氏

会社名
日本ホイスト株式会社
所在地
広島県福山市津之郷町津之郷258-4
設立
1950年1月(村上工機製作所として発足)
従業員数
523名
代表者
代表取締役会長 村上 正士 / 代表取締役社長 溝上 正美
URL
https://www.nipponhoist.co.jp/

製品・安全性・コストに配慮したクレーン/ホイストと関連機器を幅広く提供し、企画・設計から製造、据付、アフターサービスまでを一貫対応する体制を持つメーカー。国内市場ではトップクラスのシェアを有し、全国の製造業や社会インフラの一翼を担う主要企業として知られている。国内複数拠点に加え、海外代理店網や中国の合弁会社を通じて販路を展開している。

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