岡山県庁 様

庁舎電話IP化の基盤となる音声ネットワークにアライドテレシスを採用

岡山県庁では庁舎の耐震改修工事にあわせ庁内電話のIP化を実施。音声ネットワークを導入し、電話機をIP多機能型に変更したことで、従来は複雑な作業が必要だった電話の増設や移動への対応が容易となった。音声ネットワークを構成するコア・スイッチやフロア・スイッチ、エッジ・スイッチなどの機器には、耐障害性や拡張性、調達スピードなどが評価され、アライドテレシスの製品が採用されている。(2022年5月公開)

業種・業務
自治体
ソリューション
スイッチソリューション VCS
導入製品
ネットワーク運用 コアスイッチ エッジスイッチ
導入目的
ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 安定稼働・安定通信 業務効率の向上 コスト削減 災害対策

名建築の意匠を残して耐震改修工事を進める岡山県庁

 岡山県の庁舎(本館)が完成したのは1957年。庁舎の設計者は建築家・前川國男氏だ。前川氏の著名な建築作品には、東京文化会館(1961年)や東京都美術館(1975年)、紀伊國屋書店本店(1963年)などがある。岡山県庁舎は前川氏の作品で、国際的な学術組織であるDOCOMOMOの日本支部により、日本におけるモダン・ムーブメントの建築にも選定されている。
 岡山県庁舎はすでに建築から半世紀を超え、本館および議会棟旧館は震度6以上の大地震に耐えられないことから、現在、耐震改修工事が施されている。
 「庁舎は、建築家 前川 國男氏による作品です。その意匠を維持した上で耐震化し、継続して使っていこうということで、耐震改修工事を行っています。工事は3期に分かれており、いわゆる“居ながら改修”となっています。令和6年(2024年)の3月に完了予定です」と話すのは、岡山県庁 総務部財産活用課 庁舎営繕班 主任の小林徹氏。居ながら改修とは、工事を行う区域と期間をずらし、業務を継続しながら改修工事を行う手法だ。

災害など緊急時の電話増設や移動をIP化で容易に

 岡山県庁では今回、業務で利用する電話をIP多機能型に更新した。これまで一部の防災用途でIP電話を導入することはあったが、一般執務室の電話は従来型のものが主流だった。
 今回音声用のネットワークを敷設して、IP多機能電話へ更新したきっかけの一つは、平成30年7月の豪雨災害での経験だったと小林氏は振り返る。この災害で岡山県は大きな被害を受けた。
 「岡山県庁では当時、県職員総出で対応を行いました。その時、レガシータイプの電話では臨時電話の増設や移動の要望に対応するのが非常に大変でした。そこで、設定したものを事前に用意しておいて、本庁舎の中であれば必要なときにどこでもケーブルを挿すだけで使えるよう改善したいと考え、更新のタイミングでIP電話への切り替えを提案しました。」と小林氏。
 災害などの緊急時にもすぐに増設や移動の要請に対応していきたいという意図でのIP電話導入だが、現在進めている庁舎の耐震改修工事で実施されることとなった。
 「耐震改修工事では、工区を3つに分けて居ながら改修を行っており、移転作業が必要となる電話がたくさんあります。このときにIP電話であれば、再設定の手間などを大幅に削減することができ、移転の自由度も増します。電話の移動に関するコストも抑えられると期待しています」と話すのは、岡山県庁 総務部財産活用課 県庁舎耐震化班 主任の船戸 寛之氏。

耐障害性や拡張性、調達スピードを評価してアライドテレシスを採用

 音声ネットワークの整備、IP電話への交換は、耐震改修工事の中で実施されることになった。音声ネットワークを整備するにあたっては、「特に重視したのは耐障害性です。電話ですのでシステム障害は行政業務の停止に繋がってしまいます。例えばコア・スイッチは2台で冗長構成など、耐障害性の高さを要件としました」と小林氏。
 音声ネットワーク機器に採用されたのがアライドテレシスのネットワークソリューションである。今回アライドテレシス製品を選定した理由について、OKIクロステック株式会社 中国支社 サポートサービス第二部 コンストラクション課の菅野 達也氏は、「今回の工事規模は非常に広範囲です。各建物で接続するフロア・スイッチの台数が非常に多い設計です。そのためコア・スイッチ側は本体の冗長性はもちろん、SFPポートの搭載数や光ファイバーを搭載できるスロットが多い製品が求められました。耐障害性と拡張性という部分でアライドテレシスを選定しました」と語る。
 また昨今は半導体不足や海外輸送の不安定からIT機器の品不足・納品遅れが続いているが、アライドテレシスは機器確保のスピードも早く、そうした面も評価したと菅野氏は付け加えた。
 今回の音声ネットワークのコア・スイッチには、アドバンスト・レイヤー 3・モジュラー・スイッチ「AT-SBx908 GEN2」を2台、冗長化して設置。AT-SB x908 GEN2は、ホットスワップに対応した電源が筐体内で二重化されており、耐障害性の高いモデルだ。
 フロア・スイッチには、レイヤー 2plus ギガビット・インテリジェント・スイッチ「x230シリーズ」が、エッジ・スイッチには、PoE対応のレイヤー 2plus ギガビット・インテリジェント・スイッチ「SH230シリーズ」が設置されている。今回設置したスイッチの総数は700台以上と大規模な導入となった。

緊急時の増設や移動での設定工数を削減

 今回の工事では、電話交換機を徐々に置き換えていく方法ではなく、一気に新しいIP多機能電話に切り替える方法で、2021年末に実施された。内線番号も新たに振り直し、緊急増設用のIP電話も用意した。職員が個々人で利用する電話を置き換えるとともに、会議室などには緊急時を見据えてIP電話用のネットワークモジュラーコンセントも設置している。
 従来の電話ではできなかった受発信番号のディスプレイ表示や電話帳登録、三者通話などの機能が利用できるようになったほか、すでに緊急での増設対応にもIP電話化の効果が出始めている。
 「2022年の1月、2月で新型コロナウイルス感染症への対応で会議室を執務室と活用する際、エッジ・スイッチとLANケーブルを準備し、カスケード接続も用いて、必要なIP多機能電話を素早く準備できました。従来の電話だったら配線など大変な作業が必要なところでした」と船戸氏は語る。カスケード接続はエッジ・スイッチを多段で接続していく手法で、従来の電話は1つの電話機に対して1本の専用線が必要だが、カスケード接続なら容易に多数の電話機を接続できる。
 また岡山県庁では定期的に災害訓練を実施しており、会議室を災害関係部署などに充てて増設電話の設置も行っている。今回IP電話に変更したことで、本庁舎内ならどこでも電話機を持ってきてケーブルを挿せばすぐに使えるようになった。「訓練が初めてという職員もすぐに電話を利用できるようになったことで、電話増設・移動のための準備が大幅に削減され、訓練で確認したいことに、より多くの時間を割くことができるようになっています。」と小林氏は言う。
 新たな音声ネットワークの導入以降、機器などに大きなトラブルはなく安定して稼働している。アライドテレシスではこれからも、製品や技術、サポートの提供を通じ、岡山県庁の音声ネットワークの安定稼働を積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

岡山県
総務部財産活用課
県庁舎耐震化班
主任
船戸 寛之氏

自治体名
岡山県庁
所在地
岡山市北区内山下二丁目4番6号
面積
7,114平方キロメートル
人口
1,868,369人(2022年3月1日現在)
URL
https://www.pref.okayama.jp/
取り組み

南は瀬戸内海をはさんで四国に、北は山陰地方に接し、東は兵庫県、西は広島県に接する中四国地方の交通の要衝。「晴れの国」とも呼ばれ、降水量1mm未満の日数が全国1位。

パートナー企業基本情報

お客様プロフィール

OKIクロステック株式会社
中国支社
サポートサービス第二部
コンストラクション課
菅野 達也氏

会社名
OKIクロステック株式会社
本社所在地
東京都中央区晴海1丁目8番11号
設立
1960年
従業員数
3,081名(2022年4月現在)
URL
https://www.oki-oxt.jp/
取り組み

沖電気工業株式会社(OKI)のグループ会社として、ICTシステムや電気設備の設計・構築・保守から、各種メーカー機器のカスタマーサポート運営まで多岐に渡る事業を展開。

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