医療法人社団 誠馨会 新東京病院 様

<24時間365日の監視体制>急性期医療の現場に寄り添う、ユーザーが意識せず使えるIT基盤へ

電子カルテや医療機器、部門システムなどがネットワークにつながる医療現場では、ネットワークは普段意識されにくい一方で、診療を支える重要な存在となっている。新東京病院は、2012年の本院開設時から利用してきたネットワークを対象に、導入以来初となる本格的な更改を段階的に実施。24時間監視体制の構築や運用負荷を軽減する自動復旧、無線LAN環境の統合・拡張、電子カルテ端末からの安全な外部アクセスなどを進め、医師や看護師、職員が安全かつ安定的に続けられるIT基盤を整えた。(2026年7月公開)

医療・福祉 関東 病床数:430床
目 的
病院内Wi-Fiの整備 無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 セキュアなインターネット接続 運用・管理の効率化 統合ネットワークの構築 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視を外部委託 業務効率の向上 BCP対策
プロダクト・サービス
無線LANアクセスポイント AWC スイッチ VCS Vista Managerシリーズ AMF ルーター UTM&VPN Net.Monitor
規 模
100~499
課 題
■導入開院以来約14年が経過したネットワーク機器の老朽化
■障害発生時の検知・初動対応の遅れ
■複数拠点運用における利便性と運用負荷の課題
採用ポイント
■ネットワーク基盤の段階的な更改
■24時間365日の監視体制とAMFによる自動復旧
■無線LAN環境の統合・拡張と安全な外部アクセス
効 果
■ネットワークの安定性を向上
■障害の早期検知と運用負荷・保守コストの抑制
■利便性とBCP対応力の向上、後方連携業務の効率化

急性期医療を支える、新東京病院と複数施設による医療提供体制

 医療法人社団 誠馨会 新東京病院は、千葉県松戸市に拠点を置く急性期病院である。地域の中核病院として、入院医療や救急外来を中心に幅広い診療を担っている。
 同院の大きな特徴の一つは、病院機能と外来機能を分けた運営体制にある。本院が入院医療や救急外来を担う一方、日常的な外来診療は駅前の新東京クリニック、新東京ハートクリニックなどが担う。複数の施設がそれぞれの役割を分担しながら、一体的な医療提供体制を築いている。
 こうした医療体制を支えるうえで、ネットワークは欠かせない存在だ。電子カルテや部門システム、医療機器、画像参照、音声通話など、院内の多くの業務がネットワークに依存しているためだ。システム課 課長補佐の臼井 貴志氏は「医療機器もほとんどネットワークにつながった状態で稼働しているのが当たり前になっているため、ネットワークが止まってしまえば、実際には診療ができない状況になります」と語る。

限られた人員で支えるIT基盤の課題と、段階的な更改計画

 こうした医療体制を支えるIT基盤の運用は、限られた人員で複数拠点を見なければならない難しさを抱えていた。
 新東京病院のシステム管理部門は、本院だけでなく、駅前のクリニックなども含めてIT基盤を支えている。体制は5名で、24時間稼働する本院と、月曜日から土曜日まで診療を行うクリニック側の双方を見なければならない。限られた人員で複数拠点のネットワークとシステムを運用する必要があり、同院のIT基盤運用には相応の負荷がかかっていた。
 こうした運用体制のなかで課題となっていたのが、障害発生時の検知と初動対応である。以前のネットワーク環境では、外部からの24時間監視が行われておらず、障害が発生しても、利用者からの問い合わせがあるまでシステム管理部門が気づけないことがあった。臼井氏は「問い合わせがない限り、ネットワーク障害にこちらで気づけず、初動が遅れてしまいます」と振り返り、夜間に障害が起きた場合、朝になってから対応を始めざるを得ず、初動が遅れるリスクがあったと言及している。
 新東京病院が今回進めたのは、院内および関連施設を含むネットワーク基盤のリプレースである。本院が開設された2012年の導入時から利用してきたネットワークを対象に、導入以来初となる本格的な更改を行った。
 リプレースの目的は、単なる機器更新ではなかった。24時間365日稼働する急性期病院において、より安定したネットワークを整備するとともに、障害の兆候や異常を早期に検知できる監視体制を整えることにあった。
 一方で、病院のネットワークを一度に全面更改することは容易ではない。規模が大きく、関連施設も含めた構成であることに加え、年間予算にも制約がある。限られた予算の中でネットワークだけに大きな投資を集中させることは難しかった。
 臼井氏は「規模的に、一度にすべてはできないということもありますし、投資を分散したいという意味合いもありました」と説明する。こうした状況を踏まえ、更改計画を1期・2期・3期に分け、段階的に整備を進める方針を採った。

病院業務への影響を抑え、院内外のネットワークを整備

 その計画に基づき、今回のネットワーク更改では、コア・スイッチやフロア・スイッチ、拠点間接続用のルーター、PoEスイッチ、無線LANアクセスポイントなど、多岐にわたる機器を順次更改した。病院業務への影響を抑えながら、複数拠点を結ぶネットワーク全体を新しい構成へ移行していった。
 あわせて、ネットワークの構成そのものも見直した。従来は、情報系と電子カルテ系のネットワークが物理的に分かれ、無線LANアクセスポイントも用途ごとに別々に設置されていた。今回の更改では、これらを統合的に利用できる構成へと改め、同じエリアで情報系と電子カルテ系の双方を利用しやすい状態を整えた。
 無線LANについては、単なる更新にとどまらず、利用範囲の拡張も行った。ロビーや救急外来の廊下にもアクセスポイントを追加し、災害時を想定し万が一、多くの患者がロビーに滞在する場合でも、カルテを参照しながら対応できるようにした。さらに、従来は医局内でしか利用できなかった医局用の無線LANも、院内の他の場所へ移動しても接続できるようにした。
 情報系と電子カルテ系を同じエリアで利用しやすくなったことに加え、無線LANの利用範囲が広がったことで、現場での使いやすさも高まった。臼井氏は「今回統合したことでかなり利便性が向上しました」と評価する。通常時の利用に加え、使いやすさ、BCP(事業継続計画)の観点からもネットワークを強化した点が特徴だ。
 こうして新東京病院は、老朽化した機器を更新するだけでなく、複数拠点を支えるネットワーク全体の構成を見直し、無線LANの利用範囲や災害時の対応力も含めて、院内外のネットワークを再整備した。

監視・自動復旧・安全な外部アクセスで運用負荷を軽減

 今回のネットワーク更改では、運用管理の効率化も大きなポイントとなった。新東京病院では、アライドテレシスのネットワーク統合管理アプライアンスであるVista APLシリーズを導入し、ネットワーク全体の状態を把握しやすい環境を整備。さらに、24時間の監視を実現するNet.Monitorを活用し、障害や異常の兆候を早期に把握できる体制を構築した。
 そのうえで、機器交換時の復旧力を高める仕組みとして活用されているのが、AMF(Autonomous Management Framework)機能である。従来はネットワーク機器のハードウェア保守に大きなコストがかかっていたといい、臼井氏は「以前はハードウェア保守に年間1000万弱かかっていました。結局10年以上使ったので、保守費用だけでも1億円以上になっていると思います」と振り返る。
 AMFの活用で、予備機をスタンバイしておき、障害時には機器を交換することで自動復旧できる体制を整えた。高額な保守費用を払い続けるのではなく、必要なときに迅速に復旧できる仕組みを持つことで、コストと運用性の両面で合理的な体制を実現したのである。
 また、ネットワーク更改とあわせて、ソリトンシステムズ社のセキュアブラウザ「Soliton SecureBrowser」も活用し、電子カルテ端末から安全に外部情報へアクセスできる運用を始めている。たとえば、入院患者の転院先を探す後方連携の業務では、カルテを確認しながら外部の共有サイトを利用する必要がある。従来は電子カルテ端末とインターネット用端末を並べて作業していたが、現在は電子カルテ端末を利用した必要な情報確認や連携業務を行えるようになった。複数の端末を行き来していた業務を電子カルテ端末のみで進めやすくなったことは、業務効率の向上にもつながっている。
 “ネットワーク”は便利になっても、現場で強く意識されるものではない。しかし、どこでも自然に、安全に情報へアクセスできる状態は、医療現場の業務を支えるうえで欠かせない。Vista APLシリーズによる可視化、Net.Monitorによる24時間監視、AMFによる運用性の向上、安全な外部アクセスの仕組みは、そうした状態の実現を後押ししている。

安定運用を土台に、利便性とセキュリティをさらに高めていく

 こうした取り組みは、新東京病院が目指す「ユーザーが意識することなく、安全・安心・安定的にシステムが使える状態」に近づくための土台となった。
臼井氏が重視してきたのは、医師や看護師、職員がネットワークやシステムの存在を意識せず、日常業務を安全かつ安定的に続けられること。その当たり前を支えることが、今回のネットワーク更改の根底にある考え方でもある。
 今回のネットワーク更改により、新東京病院は、本院と関連施設を結ぶネットワークの安定性や運用性を高めた。病院業務への影響を抑えながら、24時間稼働する医療現場に必要な仕組みを再整備できたこときたは、今後の利便性向上やセキュリティ強化にもつながっていく。
 一方で、医療機関を取り巻くIT環境は今後さらに変化していく。医療機器や部門システムのクラウド連携が進み、診療に必要な情報を外部サービスから取得する場面も増えている。新東京病院ではこの動きに加え、患者用Wi-Fi環境の整備など、サービス向上に向けた取り組みを進めていく考えだ。
 今後の重要なテーマとなるのが、セキュリティのさらなる強化である。医療機関を狙うサイバー攻撃が相次ぐなか、ネットワークの安定稼働だけでなく、異常を早期に検知し、被害を拡大させない仕組みが求められている。臼井氏はNDR(Network Detection and Response)の検証にも取り組んでおり、ネットワーク上の不審な通信を把握できる体制づくりを進めていきたい考えを示している。
 医療現場におけるネットワークは、普段は意識されにくい存在である。しかし、電子カルテや医療機器、部門システム、外部サービスとの連携を支えるものとして、その重要性はますます高まっていく。アライドテレシスはこれからも、新東京病院の止まらない医療を支えるネットワーク基盤の整備と運用を支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

新東京病院
システム課
課長補佐
臼井 貴志氏

病院名
医療法人社団 誠馨会 新東京病院
所在地
千葉県松戸市和名ヶ谷1271番
院長
院長 兼 心臓血管センター長 中尾 達也
開設
1968年(東京外科内科病院として開設)
病床数
430床
標榜診療科目
24診療科
URL
https://www.shin-tokyohospital.or.jp/

当院は、急性期医療を中心とした体制を整え、循環器、消化器、整形外科、脳神経領域など幅広い分野で専門性の高い医療を提供。体への負担が少ない治療やロボット支援手術なども積極的に導入し、高齢の方や重症の患者さんにも対応できる体制を整えている。「No Refusal Policy(断らない医療)」のもと、緊急性の高い患者にも迅速に対応できる体制を維持。各診療科の専門性が連携し、患者一人ひとりに最適な医療を提供する。

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