株式会社ソミックマネージメントホールディングス 様

<製造業DX>大規模製造拠点を結ぶERPとWi-Fi安定稼働を実現した全社ネットワーク再構築

静岡県磐田市のソミックマネージメントホールディングスは、創業100年を超える自動車部品メーカー、ソミック石川をはじめとするグループを統括している。「製造業を変革し、創造する」というアイデンティティのもと、ERP導入を契機に、ネットワークの抜本的な再構築に踏み出した同社は、アライドテレシスをパートナーに選択。内製化を志向しつつ、安定した運用と将来の展望を見据えた取り組みは、製造業のDXを支える基盤づくりの象徴といえる。(2025年11月公開)

製造業 中部
目 的
工場のIoT化 無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 IoT活用 運用・管理の効率化 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 業務効率の向上
プロダクト・サービス
無線LANアクセスポイント AWC スイッチ EPSR VCS Vista Managerシリーズ AMFPLUS CLOUD
規 模
1,000~4,999
課 題
・全社ERP導入に向けたネットワーク基盤刷新
・リモートワーク拡大と工場Wi-Fi需要急増への対応
・属人化と外部ベンダー依存による運用スピード不足
採用ポイント
・内製化を支えるシンプルで扱いやすい運用基盤
・一元管理とWi-Fi最適化による安定運用
・導入から運用まで伴走する信頼の共創パートナー
効 果
・ERPとWi-Fi基盤の安定稼働により業務を効率化
・全工場ワイヤレス化達成でネットワーク品質が向上
・属人化を解消して少人数でも対応可能な運用体制の確立

理念とアイデンティティで未来を創るソミックマネージメントホールディングス

 ソミックマネージメントホールディングス(以下、ソミックMHD)は、自動車の足回り部品であるボールジョイントにおいて世界トップシェアを誇るソミック石川を中心に、グループ各社を統括する。「人のつながりを大切にし、力いっぱいの努力で世の中の役に立ち、愛される会社となる」をグループ理念に掲げ、パーパスには「次世代へ笑顔をつなぐ」を定めている。そしてアイデンティティを「製造業を変革し、創造する」とし、最新技術や外部パートナーとの協業を通じて新たな生産のかたちを描き出している。「私たちは理念を軸に、次の世代へ価値をつなぐことを常に意識しています」と語るのは、グローバルITシステム部 部長の池島 丈博氏。
 グループの代表的な製品であるボールジョイントは、自動車の操舵や走行の安全性を左右する重要保安部品であり、国内外の自動車メーカーから高い信頼を獲得している。絶対的な品質と耐久性が求められる分野において、長年にわたって培った開発力と現場力によりトップシェアを維持し続けている点は、グループの技術的優位性を示すものである。
 さらに環境と社会に資する活動にも積極的である。カーボンニュートラルの実現に向けた電力使用の可視化、次世代に安心して住める社会を残すことを目的とした森林再生の取り組み、そして単なる慈善活動に留まらず事業として利益を生み出す形へと昇華させる新しい社会貢献のあり方を追求している。こうした活動を通じて、ものづくりの枠を超え、持続可能な未来を築く企業としての姿勢を明確にしている。
 また「ソミックMHDの事業」としてグループ経営の統括にとどまらず、新規事業の創出や多様な業種のパートナーとの協働を推進し、社会課題の解決に貢献する取り組みにも力を入れている。「新規事業を担うソミックトランスフォーメーションでは、作業支援ロボット『SUPPOT』の開発にも取り組んでいます。作業現場で発生する資材や部品の運搬を担い、作業効率を向上させます。人とロボットの共存を実現し、製造業の新しい姿を創造しようとしています」と話すのは、グローバルITシステム部 ICTインフラサービス室 ネットワークの間宮 涼翔氏。

ERP導入と急増するWi-Fi需要に応える内製化とパートナー選定

 ソミックMHDが全社ネットワークの再構築に踏み切った背景には、いくつもの要因があった。大きな契機はグループ全体で利用するERP(統合基幹業務システム)の導入であり、クラウドとオンプレミスをまたぐハイブリッド環境に対応できる基盤が求められた。同時に、グループ会社ごとに異なるベンダー製品を使い分けてきたため、ネットワークは複雑化し、運用負荷も増大していた。管理者も限られた人員に偏っており、対応力に限界が見えていた。
 さらにコロナ禍を契機としたリモートワークの拡大や工場でのタブレット活用により、Wi-Fi需要が急増したが、業務エリアで導入したWi-Fi環境は安定せず、有線LANから脱却できない状況も残っていた。
 「ネットワークは外部ベンダーに任せて構築・運用してもらっていましたが、コロナ禍で職場分散やリモートワークが急速に求められ、早急な対応が必要になりました。そのときに最も課題となったのが対応スピードです」と間宮氏。
 この経験から内製化を進める方針を固めた。属人化とベンダー依存を解消し、誰でも扱えるシンプルな仕組みを整えることで、変化に素早く対応できる体制を構築することを重視したのである。新人社員でも短期間の教育で運用に携われるようにすることで、リスク分散と安定運用を両立させる狙いがあった。
 再構築のパートナーとして選ばれたのがアライドテレシスである。採用の決め手となったのは、ネットワーク製品を統一できることに加え、「AMF Cloud」による自動復旧やEPSRリングネットワークによる障害検出と経路切り替えといった堅牢性、そして「AWC」によるWi-Fi最適化の事前検証で高い評価を得た点であった。さらに海外拠点でも同一製品を調達可能であり、国内で培ったノウハウを展開できることも将来を見据えた安心材料となった。「アライドテレシスは単に機器を販売するだけでなく、設計や運用の仕組みづくりまで含めて伴走してくれる心強い存在でした。パートナーとして共に考え、対等に議論できる関係を築けることが決め手になりました」と池島氏は言う。

計画通りの導入でERPとWi-Fiを安定稼働させたAMF CloudとAWCの効果

 ネットワーク再構築プロジェクトはソミックMHD本社に加え、ソミック石川のテクニカルセンター、浜松市・磐田市の7工場、さらにソミックアドバンスやアスキーなどグループ会社までを対象とする大規模な取り組みであった。最終的には全10拠点を結ぶネットワークを刷新し、178ノードに及ぶ機器をAMF Cloudで一元管理する体制を整えた。世界的な半導体不足など厳しい調達環境にありながら、計画通りのスケジュールで完了し、大きな遅延なく基盤整備を実現している。
 新たなネットワークはERPの本格稼働を支えると同時に、工場や事務所におけるWi-Fi利用の増大にも十分に対応した。従来はリモート会議で通信が途切れる、電波干渉で業務に支障が出るといった問題があったが、刷新後は安定性が大きく向上し、現場からの苦情もほとんど聞かれなくなった。ERPの日報入力や在庫管理をタブレット端末で直接行う仕組みも円滑に運用され、経営判断に必要なデータ精度も高まっている。
 この安定運用を支えているのがAMF Cloudである。ネットワーク機器の一元管理と自動復旧(オートリカバリー)を仮想化環境で可能にし、属人化を避けつつ少人数での安定運用を実現した。Wi-Fi環境の最適化を担うAWCは電波状況を自動解析し、最適なチャネルへ切り替えることで品質を維持している。
 加えてVCSによる冗長化やEPSRリングによる障害検出と高速切り替えにより、障害時も迅速に復旧できる仕組みが構築された。またネットワーク認証や「Vista Manager EX」による可視化と監視により、セキュリティと運用性の両面が強化された。「以前は無線LANアクセスポイントを手作業で設置し、電波が届くかどうかを試行錯誤していました。今ではAWCが自動で最適化してくれるので、管理者が細かく調整する必要がありません。ネットワーク担当者が本来の業務に集中できるようになりました」と間宮氏は語る。

基盤を支える展望とアライドテレシスによる継続的支援

 ソミックMHDは、ERP導入を契機に全社ネットワークの刷新を進め、本社と10拠点を結ぶ大規模な基盤を短期間で整備した。AMF Cloudによる自動復旧やAWCによるWi-Fi電波の最適化、VCSやEPSRによる冗長化と早期復旧、さらに認証や可視化による統合管理を組み合わせ、少人数でも安定運用できる体制を確立している。これらの成果は同社を支える強固な土台となった。
 一方で今後の課題も明確になっている。特にOA系ネットワークとFA系ネットワークの安全な分離と連携は、製造現場を持つ企業にとって避けて通れないテーマである。サイバー攻撃に備えた通信可視化や初動対応の強化、マイクロセグメンテーション(ネットワーク分割)による被害最小化など、さらなるセキュリティ対策が求められる。
 池島氏は次のように語る。「これからは単にネットワークを分けるだけではなく、それぞれを安全に連携させていくことが必要です。攻撃があった際に被害を最小化できる仕組みをどう作るか、引き続き模索していきます」。
 同社は引き続き内製化を進め、属人化を解消しつつスピード感ある運用を実現できる体制を追求していく。外部パートナーと対等な関係を維持しながら、自社で主体的に運用できる力を磨くことで、持続的な成長につなげていく。
 アライドテレシスはこれからもソミックMHDをはじめグループ全体のICT課題解決を、製品や技術、サポートの提供を通じて積極的に支援していく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

株式会社ソミックマネージメントホールディングス
グローバルICTシステム部
部長
池島 丈博氏

株式会社ソミックマネージメントホールディングス
グローバルICTシステム部
ICTインフラサービス室
ネットワーク 
間宮 涼翔氏

会社名
株式会社ソミックマネージメントホールディングス
本社
静岡県磐田市中泉1丁目1-1
設立
2018年
代表
代表取締役社長 石川 雅洋
URL1
https://www.somic-group.co.jp/
URL2
https://brand.somic.inc/

ソミック石川他グループ会社を統括するために設立された事業統括会社。自動車業界の大変革期に、事業領域・製品の新たな可能性に挑戦していくため、グループ全体の最適化を見据えて業務を行う。

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