東洋製罐グループホールディングス株式会社 様

デジタル変革を目指す包装容器リーディングカンパニー 「データ活用の高度化」を実現する、製造現場のIoTインフラ基盤を構築

包装容器製造の東洋製罐グループホールディングスは、データ活用の高度化を重要な戦略テーマのひとつと捉え、社会により一層貢献する企業への変革を目指している。そのためのIoTインフラ構築のコラボレーションパートナーに選ばれたのがアライドテレシスだ。製造ラインから生まれる高速大容量のデータ収集を担う、セキュアな設備用ネットワーク構築から設備データの制御・可視化まで、あらゆる面でデータ活用高度化のための支援を行った。(2024年3月公開)

業種・業務
エンタープライズ
ソリューション
ネットワーク運⽤ Vista Manager シリーズ スイッチソリューション VCS 無線LAN AWC PoE
導入製品
システムインテグレーション ネットワーク運用 コアスイッチ ディストリビューションスイッチ エッジスイッチ 無線LAN ITサービス(Net.Service)
導入目的
屋外無線LAN ICT活用 IoT活用 ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 無線LANの簡単導入 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 データ保全 運用・管理・監視の支援を外部に委託 業務効率の向上 コスト削減
課 題
・データ活用の高度化とそれを支える工場IoTの基盤構築
・「1分間に2000缶」高速生産を支える場内インフラ再構築
採用ポイント
・高速大容量の通信にも耐えうるネットワークとデータ制御の支援
・製造現場のネットワークを理解し、東洋製罐のニーズに寄り添った姿勢
効 果
・データソリューションシステムを支えるIoTインフラの構築
・高速大容量通信にも耐えうるセキュアなネットワークを実現

競争力を強化して新しい事業を創出するため、製造現場のデジタル化、IoT化が必要

 東洋製罐グループは、包装容器の製造をコアとした事業を通じて、安全・安心への貢献、環境負荷の低減、使いやすさと楽しさの提供を行い、豊かで潤いのあるサステナブルな社会の構築を目指している。「容器を通じて人類の幸福繁栄に貢献する」という創業以来の経営理念が、東洋製罐の技術革新を生みだし、容器の枠を超えた、新しい価値を創造し、魅力ある製品・サービスを提供している。
 東洋製罐グループは、長期経営ビジョン2050「未来をつつむ」の実現に向け、最新のデジタル技術やデータ基盤を最大限活用することで「競争力の源泉」をさらに進化させることを目指し、デジタル化社会におけるグループのあるべき姿「Group Digital Vision2030」を制定。このビジョンをもとにデータ活用の高度化を重要な戦略テーマのひとつと捉え、社会により一層貢献する企業への変革を目指している。
 このビジョンでは、①データ活用の高度化、②ITリスク管理の強化、③新規ビジネス領域の創出といった項目をDigital Action Planとして示している。
 そうした中で2019年1月に発足したのが、IoT・ロボット推進室だ。製造業のDXを実現するために、IoT・ロボット推進にかかわる技術を提供すること、デジタル技術を活用して価値を創出することをミッションとして生まれた、東洋製罐ホールディングスのグループ技術開発部門だ。
 「製造現場のデジタル化はこれまでも潤沢に進めてきました。各組織でそれぞれ進め、担当者ごと・目的ごとにデータが作られていたため管理も困難で、部分最適のデジタル化が壁となる懸念がありました。私たちのチームの目標は、製造ノウハウを形式知として、データによる生産活動の効率化・自動化を進めることです」と話すのは、東洋製罐グループホールディングス IoT・ロボット推進室 ジェネラルマネージャーの菊地 隆之氏だ。

デジタル化を目指す東洋製罐グループのインフラを支える

 東洋製罐では以前より、アライドテレシスのネットワーク製品を採用してきた。2009年には拠点のネットワークを監視するためのネットワーク監視システムを導入し、さらに2015年にはグローバルの拠点を含むネットワークを更新した。それ以降も、事業の拡大にしたがってネットワークインフラを適宜更新してきたが、これまでの実績は主に基幹情報系ネットワークが中心だった。
 アライドテレシスが今回、IoT・ロボット推進室から問い合わせを受けたのが、各工場のIoT導入に対応するよう生産設備ネットワークを再構築すること、また工場の設備管理を可視化するためにウェアラブルデバイスを利用できるよう無線LAN環境を導入することだ。
 主な容器生産工場では、ICT機器は総務部や工務部が管理している。そのため、ネットワークの知識がなくても管理・対応ができるよう、セキュアで、冗長化や自動復旧機能などダウンタイムを短縮できるシステムを提案した。
 アライドテレシスの提案を採用した理由について、IoT・ロボット推進室 IoT・ロボット推進グループリーダーの中山 和彦氏は、「アライドテレシスは情報システム管理部門との長い付き合いの中で、私たちのネットワーク構造をよく知っていて、かつ製造現場を繋ぐためにどういったネットワークを組まなければいけないのかまで含めて、私たちのニーズに添った提案をしてくれました。製造現場のリアルタイムなデジタルデータ化を実現できたのはアライドテレシスとのコラボレーションがポイントです」と話す。製造現場のネットワークはある意味特別で、例えば東洋製罐の場合、製造ラインの生産スピードは、1分間に2000もの製品を処理する場合もある。こうした高速生産に対応してリアルタイムでデータを収集するには、それに耐えうるネットワークが必要不可欠だったと中山氏。
 また製造現場の無線化についても、「一般的に製造現場で無線LANを導入するのは難しいと言われていましたが、設計上、理論的には問題ないはずと考え、アライドテレシスと一緒に検証を進めて、導入することができました」と菊地氏。
 導入当時は現場にいたという、IoT・ロボット推進室の森下 数麻氏は、「現場でも無線LANの必要性は感じていました。それまでは例えば、機械のデータを見るためには自分の足を動かしてラインの端から端まで見に行く必要がありました。今では、この機械が止まったという情報をスマホに飛ばす仕組みができ、これも無線LANのおかげです」と語る。
 その無線LANは、自律的に快適な無線環境を維持する、アライドテレシスの「AWC(Autonomous Wave Control)」技術が利用されているが、死活などの状態確認などは遠隔でも管理できるよう、アライドテレシスのネットワークマネジメントソフトウェア「AT-Vista Manager EX」が導入されている。

データ活用高度化の実現には必要不可欠なIoTインフラを構築

 各工場の生産設備ネットワークの整備では、高速大容量のデータ収集に耐えうるよう、設備データの通信制御も行っている。工場の無線フロー制御は特殊で、設定パラメータの最適値を見つけることが難しかったり、トラフィックが他の機器に与える影響を回避したりする必要があったが、IoT推進チームとアライドテレシスが一緒に検証を進め、最適な通信制御を実現している。パートナーとして積極的に顧客と寄り添う、こうした姿勢もアライドテレシスの特徴のひとつだ。
 そして、リアルタイムにデータを収集できる、IoTのデータ活用を高度化するためのプラットフォームが「SaTeras(サテラス)」だ。
 SaTerasは、製造データの一元管理を可能とする、東洋製罐グループが自社開発したデータソリューションシステムで、製造ラインの状況や工程間の搬送状況を可視化する。これにより基幹ネットワークとの連携も容易となり、また外部のAIシステムとも連携可能で、機械の予兆検知など取り組んでいる。まさにDigital Action Planで示された「データ活用の高度化」を実現するプラットフォームである。「その時々に必要な機能、サービスを組み合わせることが可能ですし、リソースの増強も柔軟に行うことができます」と菊地氏。
 SaTerasは現在、9拠点で導入され稼働に向けて取り組んでいる。利用している現場からは、「ライン全体の状況がリアルタイムに把握でき、少ない人数でも品質を保持してラインを稼働できるようになった」「ベテラン担当者だけでなく、若手の担当者も適正な対処ができるようになった」「製造ライン情報をユニバーサルデザインで表現することによって、現場が明るくなった」といった声が上がっているという。デジタル化・可視化の効果が見えたことで、他のラインや工場への展開に弾みがついたと菊地氏は言う。
 「現在は国内9工場にて導入され稼働準備中ですが、今後さらに導入を進め、将来的には海外工場やグループ企業でのSaTeras導入も視野に入れています」と話すのは、IoT・ロボット推進室 IoT・ロボット推進グループリーダーの森 健司氏だ。
 SaTerasの導入には、各工場での無線LANを含む設備用ネットワークの整備が不可欠だ。これまでコラボレーションパートナーとしてさまざまな支援を行ってきたアライドテレシスには多くの知見があり、「最初の開発に2年ほどかかった計算になりますが、今後はさらに加速できるでしょう」と菊地氏。
 最後にアライドテレシスへの評価をいただいた。「非常に助かっています。不明な点などの相談、問い合わせなどにも迅速に回答、対応してもらっています」と森氏は高く評価する。
 アライドテレシスはこれからも、東洋製罐グループのネットワーク課題に対し、製品や技術、サポートなどを通じて、積極的な支援を行っていく。

導入ネットワーク構成イメージ図

導入企業基本情報

お客様プロフィール

東洋製罐グループ
ホールディングス株式会社
IoT・ロボット推進室
ジェネラルマネージャー
菊地 隆之 氏

東洋製罐グループ
ホールディングス株式会社
IoT・ロボット推進室
IoT・ロボット推進グループリーダー
森 健司 氏

東洋製罐グループ
ホールディングス株式会社
IoT・ロボット推進室
IoT・ロボット推進グループリーダー
中山 和彦 氏

東洋製罐グループ
ホールディングス株式会社
IoT・ロボット推進室
森下 数麻 氏

会社名
東洋製罐グループホールディングス株式会社
本社
東京都品川区東五反田二丁目18番1号
創立
1917年
代表者
取締役社長 大塚 一男
資本金
110億9,460万円
URL
https://www.tskg-hd.com/
取り組み

金属、プラスチック、紙やガラスなどの素材を活かしたさまざまな包装容器を製造し、人々の生活のあらゆるシーンを支える製品を提供する。

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