株式会社ウィットスタジオ 様
ヒット作連発のアニメーション制作会社が、“Allied SecureWAN” (クラウドUTM)を中心としたシンプルな設計で運用を簡素化
アニメーション制作会社ウィットスタジオでは、2016年の本社移転以来、各スタジオも含めてアライドテレシスのネットワークソリューションを採用。24時間体制のアニメーション制作現場を支えるネットワークを構築している。そして2024年にはSASEサービスの「Allied SecureWAN」を導入し、クラウドUTMを中心としたシンプルなWAN構成を構築。運用を簡素化し、スタジオの増加などに柔軟、容易に対応できるネットワークソリューションを構築した。(2025年3月公開)
- 目 的
- 無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 通信の改善(高速化・帯域強化) クラウドサービスの利活用 運用・管理の効率化 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視を外部委託 業務効率の向上 BCP対策
- プロダクト・サービス
- 無線LANアクセスポイント AWC スイッチ VCS Vista Managerシリーズ AMFPLUS CLOUD ルーター UTM&VPN Allied SecureWAN アライド光
- 規 模
- 99以下
- 課 題
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・複雑なネットワーク設計でスタジオ増減時の対応が大変
・データ量の増大にあわせた帯域拡張
・通信ログ管理などのセキュリティ対策
- 採用ポイント
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・クラウドUTMによるネットワーク構成の簡素化
・環境を知りつくしたアライドテレシスによるトータルサービスの提供
- 効 果
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・スタジオの増減対応が柔軟かつ容易に
・WAN回線の利用帯域をフレキシブルに調整可能に
・ログの集中管理でセキュリティ強化
・クラウドシフトによるDR対策
人気作を次々と生み出すアニメーション制作会社
東京都武蔵野市の株式会社ウィットスタジオは、「SPY×FAMILY」や「THE ONE PIECE」、「YAIBA」などの制作で知られるアニメーション制作会社だ。「アニメーション表現で、受け手の想像を超える映像を生み出し未体験の感動を提供する」というビジョンのもと、作品に誠実に向き合い、ゼロから新しい表現を生み出すことを目指して日々映像制作に取り組んでいる。
システム課長の大橋 健人氏は、「クオリティの高いアニメーションを継続して作り出していくというスタンスは設立以来変わりません」と同社の特徴を話す。次々と新しいアニメーション作品を世に送り出し、ビジネス規模の拡大にあわせてその拠点も年々拡張している。 2016年には東京都武蔵野市に本社を移転し、2018年にはサテライトスタジオ、2022年にはストップモーションTORUKUスタジオを開設。その翌年には制作の拡大にあわせて本社を増床。現在では本社に加えて、4つのスタジオでアニメーション制作を行っている。「近年はアニメーション制作のジャンルを拡張してストップモーション・アニメにも注力していますし、アニメーション制作だけでなく、縦読みフルカラーマンガのWebtoon(ウェブトゥーン)事業にも力を入れています」と大橋氏。なおウィットスタジオはこれらビジネスの拡張にあわせて人材育成にも力を注いでおり、制作のクオリティを担保している。その一環として2021年には、次世代のアニメーション業界を支えるスキルの高いアニメーター育成を目的に『WITアニメーター塾』を開講している。
各拠点のネットワークをアライドテレシスが担当、 10Gbps化を支援
ウィットスタジオでは2016年に東京都武蔵野市に本社を移転したときからアライドテレシス製品を採用しており、24時間体制のアニメーション制作現場を支えるネットワークを構築してきた。2022年にストップモーションTORUKUスタジオのネットワークを新設、2023年の本社増床の際にもネットワーク構築はアライドテレシスが担った。同社はアニメーション制作において、作画データのやり取りや保管などにネットワークを多用しており、従来から安定性や耐障害性を求めてきた。ストップモーションTORUKUスタジオの新設や本社の増床の際にも同様に安定性を重視し、コア・スイッチには最新のものを設置。また無線LANアクセスポイントもWi-Fi 6対応のものを新規に導入した。
そしてデータ量の増大に対応するためにネットワークの高速・広帯域化を進めている。「オール10Gbps化にしようということで、その布石として本社を増床する際にメインスイッチとエッジスイッチ間のケーブルを10Gbps対応のものにしています」とシステムの飯塚 大貴氏。なおネットワークを流れるデータは、2016年に本社を移転した時にもすでに増加していたが、現在はさらに増大しているという。「作画が高クオリティになったことに加えて、3Dデータなどもかなり増えたためです」と大橋氏は言う。
また本社増床の際には、ネットワークの統合管理や可視化に必要な機能をパッケージ化した「AT-VST-APL」を導入している。統合管理を実現するAMF(Autonomous Management Framework)はすでに導入していたが、さらに無線LANの自律調整を行う機能「AWC(Autonomous Wave Control)」とネットワークを可視化する「Vista Managerシリーズ」の機能が加わった形だ。Vista ManagerシリーズはLANやWAN、有線や無線を問わずさまざまなネットワークを可視化して統合管理できるソリューション。「とくに良いと思ったのは無線LANのヒートマップです。電波強度や状態をグラフィカルに把握でき、今回無線LANアクセスポイントを変更してスペックが向上したことも一目で分かりました。これほど違うものなのかと感心しました」と語るのはシステムの成田 充宏氏。
本社の増床にともない無線LANアクセスポイントは最新の「AT-TQm6702 GEN2」を導入しているが、これまで2×2だったアンテナ数が8×8になったことで、通信が大幅に高速化されている。「作画にiPadを利用している制作スタッフからは“ネットワークが速くなった”との声ももらっています」と成田氏は言う。
Allied SecureWANのクラウドUTMによりシンプルな構成を実現
ウィットスタジオは2024年、クラウドUTMを導入して複雑だったネットワークを簡素化、シンプルで拠点増などにも容易に対応できるネットワークを構築している。きっかけはADサーバーの更新だったという。「正副のADサーバー更新にともない、セカンダリをクラウドに上げようというのが話の始まりです」と飯塚氏。
複数のベンダーからの提案を受ける中でもっとも響いたのがアライドテレシスからの提案で、ウィットスタジオの考えるネットワーク構成と一致したのだ。
「将来的なクラウドシフトやセキュリティ強化、運用の簡素化、スタジオの増減に柔軟に対応したいなどといった私たちの思いと一致した提案でした。他のベンダーさんにもお話を聞いたのですが、構築なども考慮すると当社のネットワークを全部知っているアライドテレシスに任せるのが一番だと考えました」と成田氏。
アライドテレシスはプライマリのADサーバーをオンプレミスに、セカンダリのADサーバーをクラウド上に配置して、クラウドUTMとVPNで接続する構成を提案。それとともにクラウドUTMはハブとして各拠点とVPNで接続する。これによりネットワーク構成を簡素化し、拠点間ルーティングはクラウドUTM側で制御、VPNの利用帯域も容易に変更できるため、新しいスタジオを追加する際など他のスタジオへの影響を抑えられる。またログの集中管理ができることでセキュリティ強化も実現する。なおアライドテレシスでは、拠点間接続などのネットワーク機能を提供するSASEサービス「Allied SecureWAN(アライド セキュアワン)」としてクラウドUTMを提供。セキュアで統合的に運用管理のできるWANを実現するサービスだ。
「当社はスタジオの増改築やスタジオ間の異動が多く、その都度ネットワークの変更のために業務が停止するのは困ります。そのため構成をシンプルにして他のスタジオへの影響を抑止できる構成は良いと思いました」と大橋氏。
今回、アライドテレシスはクラウドUTMからクラウドサーバー構築などのインテグレーション、VPN回線「アライド光」の導入までを一貫してトータルサービスとして提供している。
データ量の増大に対応してネットワークを拡張
その後、ネットワークはとくに大きなトラブルもなく安定して稼働している。「拠点とのVPN接続は帯域を拡張してさらに快適に利用できています。クラウドだからこうした手続きも簡単にできるのはいいですね」と飯塚氏。
成田氏もパートナーであるアライドテレシスについて「定期的な会合にも出席してもらい、その都度ご相談をしています。コミュニケーションも良いです」と評価している。アライドテレシスは今後のスタジオ増床や移転などでのネットワーク構築を担っていく。
最後に大橋氏に今後の展望を聞いた。「アニメーション制作はフルデジタル化に向かっています。今後もデータ量はますます増加するでしょう。扱うデータ量が増えるとネットワーク周りがさらに重要になりますので、今後ともよろしくお願いします」と大橋氏は語った。
アライドテレシスはこれからも、ウィットスタジオのネットワーク課題解決を、製品や技術、サービスなどの提供を通じて、積極的に支援していく。
導入ネットワーク構成イメージ図
導入企業基本情報
- 会社名
- 株式会社ウィットスタジオ
- 本社所在地
- 東京都武蔵野市中町1-19-3
- 設立
- 2012年
- 代表者
- 代表取締役社長 和田 丈嗣
- サイトURL
- https://www.witstudio.co.jp/
ハイクオリティなアニメーション作品およびコミックの企画から制作までを一貫して行う「IGポートグループ」のグループ会社。 作品に誠実に向き合い、ゼロから新しい表現を生み出すことを目指して日々映像制作に取り組んでいる。