名寄市立総合病院 様
- 目 的
- 病院内Wi-Fiの整備 無線LANの導入 ネットワークの安定稼働 IoT活用 運用・管理の効率化 ネットワーク監視の強化 業務効率の向上
- プロダクト・サービス
- 無線LANアクセスポイント AWC AWC-CB スイッチ VCS Vista Managerシリーズ
- 規 模
- 100~499
北海道北部の広域救急医療を担う総合病院
北海道名寄市の名寄市立総合病院は、上川郡北部から宗谷、留萌、網走の一部を含む広域な地域の医療をカバーする地方・地域センター病院として地域医療の充実を目指して、地域医療支援事業を推進している。
名寄市立総合病院診療部診療情報管理室の昆貴行氏は、「北海道北部の病院が少ない地域ということもあり、診療科によっては非常に広い地域をカバーしています。他の医療機関とも密接に連携し、地域医療の充実を目指しています。
また、救急医療においても、2015年8月から地域救命救急センターを設置し、北北海道の広域救急医療を担っています」と話す。カバーエリアが広いこともあり、名寄市立総合病院ではICTの活用にも積極的な取り組みを行っており、2002年にオーダリングシステム、2011年には電子カルテシステムが稼働を開始している。
さらに2013年には、17の病院が連携する「ポラリスネットワーク(道北北部医療連携ネットワーク)」の運用が開始され、同院は事務局の機能など、主導的な役割を担っている。
ローミングの発生しない無線LANで業務に集中できる環境を
名寄市立総合病院では2019年、ネットワークの更新を実施した。電子カルテシステムの更新などもともなう大規模な刷新である。「以前のネットワークについてもアライドテレシスのスイッチや無線LANアクセスポイントなどを導入していました。
比較的安定して稼働していましたが、一部の無線LANでスピードが出ないといった問題はありました。ただ、機器だけの問題ではなく、電波干渉などもあったため、複合的な問題となっていました」と昆氏は当時の課題を話す。ネットワークを更新するにあたっては、そうした課題を解決しながら、「極力従来と同じ仕様にしたいと考えていました」と昆氏は言う。
従来のネットワークでもローミングが起きないよう、シングルチャンネルでの無線LAN運用を行っていたため、今回の更新でもシングルチャンネルによるローミングの発生しない無線LANが重要な要件となった。
さらに昆氏は、「利用する人たちにネットワークのことをあまり感じさせないようにしたいという気持ちがあります。難しいことは考えなくてもこのエリアであれば問題なく使えます、といったネットワークです。みなさんが自分の業務に集中できる環境であることが大切です」と語る。
シングルチャンネル方式でローミングレス通信を実現する「AWC-CB」を採用
そして新たなネットワークとして導入されたのが、アライドテレシスである。フロア・スイッチとして「CentreCOM SH510シリーズ」や、PoE+対応のエッジ・スイッチ「CentreCOM SH230シリーズ」などが採用されたほか、無線LANアクセスポイントには、「ATTQ5403」が設置された。
同時に、管理ソフトウェアとしてユニファイド・ネットワークマネージメント・ソフトウェア「AT-Vista Manager EX」が採用され、アライドテレシスの無線LANテクノロジーである「AWC-CB(AWC Channel Blanket)」が導入されている。
AWC-CBは、アライドテレシス独自のシングルチャンネル方式でローミングレス通信を実現するテクノロジーである。アクセスポイントごとに電波出力・チャンネルの自動調整を行うだけでなく、アクセスポイントへの設定適用や、ファームウェアバージョンアップなどを一元管理できる。
「病院のネットワークは24時間365日、いつでもどこでも安定して稼働することが大前提です。そうした意味で実績のあるアライドテレシス製品、そしてシングルチャンネルの技術であるAWC-CBを選びました」と昆氏は言う。ネットワークの更新作業はスムーズに進んだ。「極力止める時間を短くするよう、工事のスケジュールを考え、深夜に一回で切り替えを行いました。ほぼスケジュール通りに完了しました」と昆氏は言う。
タッチコンピューター端末やポータブルの撮影、検査機器などを無線で活用
新たに導入したAT-TQ5403は約70台で、エリアとしては病棟をすべてカバーし、さらに手術室や血管造影室などでも使えるように配置している。昆氏は、「今回の更新でぜひやりたかったのが、放射線や心電図などのポータブル機器の無線化です。
従来は撮影や検査の後に科に戻って線を繋いでデータを送信する必要がありましたが、今回のAWC-CB導入によりその場でデータを送信できるインフラを構築できました。
放射線のほうはすでにデータ送信を実現しており、検査についても機器側が対応次第、実施する予定です」と語る。名寄市立総合病院では、タッチコンピューター端末を導入しており、それらも今回の新たな無線LAN上で稼働している。「注射などでの三点認証などで使ったりするほか、写真を撮ったり記事を書いたりできるAndroid端末です。今回端末数を増やしたのですが、ネットワークが遅い、繋がらないなどといった声は上がっていません」と昆氏は言う。
新しくなったネットワークについての声も上がっていないことから、「ネットワークの存在を気にすることなく、余計なことは考えずに使ってもらえていると思います」と昆氏は評価する。運用に関する工数などについても、「とくに大きなトラブルもなく安定していますので、何か負担になるようなことはありません」と昆氏。以前の環境では無線LANコントローラーに不調が出たこともあったが、今回のAWC-CBによる無線LANでは、万一無線LANコントローラーにトラブルが発生しても通信に影響を与えないため、「管理工数も減ると思います」と昆氏は期待を語った。
院内に存在するさまざまなネットワークの統合も視野に
ネットワークの更新を完了した名寄市立総合病院。今回のネットワーク更新において提案から構築までさまざまな支援を行ったアライドテレシスについては、「製品や技術の紹介、提案などもこれまで以上に期待しています。
ベンダーやサプライヤーとも密に連携してより良いものを作っていきたいです」と昆氏は期待を話す。昆氏は、「ネットワークをコンパクトにしたい」と言う。コストを抑えつつ、コンパクトではありながらもカバーエリアは広げていきたいという構えだ。
「まだ個人的な考えではありますが、病院内にはさまざまなネットワークがあります。そうしたもので、相互連携できるようなものはネットワークを統合することで構成をシンプルにできると考えています。
PHSとナースコールの連携はすで実現しておりますが、例えば、タッチコンピューター端末で通話やナースコールの連動といった機能や、医師と看護師間の情報伝達などで緊急性の低いものはツールなどを活用することでコミュニケーションがとりやすくなるのではないかと思います」と昆氏は今後の展望を語った。アライドテレシスではこれからも、製品や技術、サポートなどさまざまな支援を通じて、名寄市立総合病院のネットワークやその活用について積極的にサポートしていく。
導入ネットワーク構成イメージ図
導入企業基本情報
名寄市立総合病院
診療部 診療情報管理室
昆 貴行氏
- 病院名
- 名寄市立総合病院
- 所在地
- 北海道名寄市西7条南8丁目1番地
- 診察科目
- 22診療科
- URL
- http://www.nayoroch.jp/
- 病床数
- 359床
北海道名寄市の総合病院。1937年開設。救急医療および高度急性期・急性期医療を中心とした医療を展開。救急医療においては、救急車による搬送受け入れのみならず、ドクターヘリによる搬送やドクターカーの出動なども行い、北北海道の広域救急医療を担っている。