特定医療法人暲純会 武内病院 様
新病院のネットワークをAMF、AWCで構築、IP-PBXとAWC-CBを組み合わせたローミングレスの音声通話環境を実現
三重県の特定医療法人暲純会 武内病院では、新病院への新設移転にともないネットワークを刷新。AMF(Autonomous Management Framework)やAWC(Autonomous Wave Control)など、アライドテレシスの技術を利用して、医療機関に求められる安定したネットワークを構築。さらにAWC-CB(AWC-Channel Blanket)を利用して、内線電話をIP化。ナースコールとも連携したIP電話環境を構築した。(2023年4月公開)
- 業種・業務
- 医療
- ソリューション
- ネットワーク運⽤ AMF Vista Manager シリーズ スイッチソリューション VCS 無線LAN AWC AWC-CB ハイブリッド無線LAN セキュリティ UTM&VPN PoE
- 導入製品
- システムインテグレーション ネットワーク運用 コアスイッチ ディストリビューションスイッチ 無線LAN ルーター(有線LAN) ITサービス(Net.Service)
- 導入目的
- ICT活用 統合ネットワーク ネットワークの新規構築 ネットワークの改修・増築・刷新 運⽤・管理の向上 環境の整備 統合管理 安定稼働・安定通信 無線LANの簡単導入 セキュリティの強化 ネットワーク監視の強化 運用・管理・監視の支援を外部に委託 業務効率の向上 コスト削減
- 課 題
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新病院のネットワーク構築
内線電話をIP化したい
- 採用ポイント
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ローミングレスの無線LAN通信
コストパフォーマンスの高い提案
- 効 果
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安全・安心・安定したネットワークの構築
内線電話のIP化実現
新病院の建設にあわせネットワークを新設
三重県津市の特定医療法人暲純会 武内病院の設立は1959年。以来半世紀以上にわたり、津市とその周辺地域において急性期、慢性期、腎疾患の専門医療を担う医療機関としての役割を果たしてきた。
武内病院は2022年5月、津市北丸之内から津市一色町に新築移転し、暲純会内で医療体制を再編した。武内病院、榊原温泉病院、津ファミリークリニック、津看護専門学校に、人工腎センターを津腎クリニックと名称変更し、5施設で機能分化の運営を行っていくこととした。
「以前の武内病院の建物は、老朽化と狭小化が課題となっており、このたび新築移転となりました。まだ移転して1年経っておりませんが、職員もようやく慣れてきたという印象です」と話すのは、武内病院 情報システム課 主任の井上 貴博氏だ。
病院ネットワークについては、オーダリングシステムを入れた際に病院ネットワークを整備し、2016年には電子カルテシステムを導入しており、今回の移転にあたってはネットワークを刷新することとなった。そのネットワークソリューションを担ったのがアライドテレシスだ。移転では院内用の内線電話を従来のPHSからIP化しており、アライドテレシスのネットワークは音声通話の基盤ともなった。
さまざまな技術で病院ネットワークの安定を支援
アライドテレシスからの提案コンセプトは4つ、①運用管理の負荷軽減、②無線LANの安定稼働、③セキュリティ対策、④導入後の安心サポートだ。医療機関に求められる“止まらないネットワーク”の構築は当然のこととして、その先の負担や課題を低減・解決する提案だった。
まず運用管理の負荷軽減は、アライドテレシスのネットワーク統合管理ソリューション「AMF(Autonomous Management Framework)」を中心とした提案だ。AMFは、複数のネットワーク機器の一括設定や一括アップデート、遠隔地からの管理・設定変更、事前設定不要の機器交換といった運用を可能とし、運用・管理工数とコストの大幅な削減、障害時の自動復旧を実現する機能だ。同時にAMFの管理ソフトウェアとして「AT-Vista Manager EX」を提案。こちらはAMFに対応したスイッチやルーター、無線LANアクセスポイントの可視化・一括管理機能を提供するネットワーク管理ソフトウェアだ。
次に無線LANの安定稼働を実現するために、自律型無線LAN制御システム「AWC(Autonomous Wave Control)」と、チャネル・ブランケット方式の「AWC-CB(AWC-Channel Blanket)」を提案。AWCは、アクセスポイントそのものをインテリジェント化してチャンネルや電波出力を自律的に調整し、無線エリア内の電波干渉を最小化するアライドテレシスのソリューションである。AWC-CBは、単一のチャンネルでローミングレス環境を構築し、アクセスポイント間の移動時に途切れない快適な通信を実現する技術だ。今回の提案ではIP化した内線電話の基盤をAWC-CBで構築している。
セキュリティ対策では、職員用に認証システムを提案するとともに、新病院から導入される患者用Wi-Fiにも認証システムを提案している。ネットワークとしては病院用ネットワークと情報系ネットワークは分離しているが、さらにインターネット系については職員用と患者用Wi-Fiを分離して、セキュリティを担保している。またファイアウォールの設定などについてもアライドテレシスが積極的に支援を行った。
導入後のサポートについては、運用・保守支援サービスを提供する「Net.Monitor」により、万一の際の素早い切り分けなどを支援する。
内線電話のIP化がポイント
ネットワークの構築は、新病院の建設と並行して実施。アライドテレシスは建設業者をはじめ各業者、各部門などとの調整も行いつつ、導入支援サービス「Net.Pro」により導入のサポートを行った。新病院ネットワークの構築はスケジュール通りに完了した。
構成としては、コア・スイッチにユニファイドマネージメント・スタッカブルスイッチ「x930シリーズ」を冗長化して設置。サーバー・スイッチやフロア・スイッチにはギガビット・インテリジェント・スタッカブルスイッチ「x530Lシリーズ」、エッジ・スイッチにはレイヤー 2plusギガビット・インテリジェント・スイッチ「Secure HUB GS980Mシリーズ」を導入。無線LANアクセスポイントは「AT-TQ5403」を全館をカバーする形で設置されている。
今回のネットワーク新設でもっとも重要だったのは内線電話のIP化だ。「内線電話については“sXGP”などの新しい規格も検討しましたが、設備面やコストを考慮すると難しいところがあり、移転を機にIP化することにしました」と井上氏。コストパフォーマンスや実績などからIP化、そして基盤としてアライドテレシスのAWC-CBを選んだという。
AWC-CBによりローミングレスの無線通信を実現し、IP電話の基盤として利用する構成で、ナースコールシステムとも連携する。内線電話の数は、固定100台にスマートフォン150台。病院にとって非常に重要な位置づけとなるため、QoSにより音声ネットワークを最優先と設定している。
しかし、導入直後は苦労したと井上氏。「どうしても以前の建屋で使っていたPHSの使い勝手が基準となるので、少し途切れる、反応が遅いといった利用者からの声も上がっていました。しかし、運用で工夫したりアライドテレシスから支援してもらったりすることにより最近では安定して、そうした声もなくなりました」と井上氏は言う。
セキュリティ強化なども視野に
現在は導入して1年も経過していないが、ネットワークに大きなトラブルもなく、AMFの自動復旧やNet.Monitorを積極的に利用するシーンもないと井上氏。「まだ1年経っていませんので問題はありませんが、長く利用しているうちには色々と起こるでしょうから、そうした機能やサポートがあることで安心して運用することができます」と井上氏は言う。
近年は医療機関を狙ったランサムウェアによる被害なども多く発生しており、セキュリティ面についてもますます強化するよう検討しているという。「定期的にシステム委員会を開催して、セキュリティについての課題や改善についての議論などを進めています。ただセキュリティの強化はシステムだけでは限界がありますので、今後は職員の教育なども含め、実施していきたいと思います」と井上氏。
新病院のネットワークをスタートさせたばかりの武内病院。今後の展望についても聞いた。
「ようやく内線電話などの運用についても慣れてきたところですので、今後さまざまな要望が上がってくると思います。そうした面への対応や、また電子処方箋やマイナ保険証など、国からの新しい施策などもあると思いますので、今後の支援を期待しています」と井上氏は語った。
アライドテレシスはこれからも、武内病院の病院ネットワークを、製品や技術、サポートなどの提供を通じて積極的に支援していく。
導入ネットワーク構成イメージ図
導入企業基本情報
お客様プロフィール
特定医療法人暲純会 武内病院
情報システム課
主任
井上 貴博氏
- 病院名
- 特定医療法人暲純会 武内病院
- 所在地
- 三重県津市一色町215番地1
- 設立
- 1959年
- 代表
- 理事長 武内 秀之 院長 武内 操
- 病床数
- 180床
- URL
- https://takeuchi-hosp.jp/
取り組み
“地域の皆様が安心して医療が受けられる、温かい医療環境の提供に努めます”を基本方針に、少子高齢化や日々高度専門化する医療に対応し、地域住民の方々から信頼され、支援いただける医療法人となることを目指す。