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SBx908などの
アライドテレシス製品群 |
院内ネットワークの構築に先立ち、コムネットシステムではアライドテレシスからの検証機によって、社内で綿密な動作検証を行った。電子カルテシステムのサーバーとスイッチのチーミングを検証するためだ。チーミングはサーバーの複数NICをグループ化して、1つのNICのように扱う。これにより、サーバーへの経路の冗長化と負荷分散が可能になる。「当初、サーバーのベンダーは海外製のスイッチを推奨していました。しかしアライドテレシス製品で全く問題なく検証できました。機能、コストパフォーマンスに加え、サポート体制などを含めて国内メーカーとしての安心感もあり、総合力で採用を決定しました。全国の病院への豊富な導入実績なども参考になりましたね」と、酒井氏はアライドテ
レシスを評価する。
電子カルテシステムと院内ネットワークの導入により、どんな効果が期待できるのだろうか。森野氏は「これまで、患者さんに接する看護師や作業療法士などは紙のカルテが保管された病棟まで足を運ばなければ、医師の指示内容を確認できませんでした。電子カルテで情報を共有することにより、スムーズな対応が行えます」と期待する。また、井上氏は「一般の病院に比べ、精神科の診療は作業療法士や保健福祉士など患者さんに関わる専門職員が多く、情報の一元化が重要です」。電子カルテによる情報共有のインフラとして院内ネットワークの役割は大きいという。
山本病院では、大阪府の指定を受け、認知症疾患医療センター事業などを行っている。隣接する地域包括支援センターや清心会メンタルクリニックも、院内ネットワークに接続し、電子カルテシステムを利用できるIT環境を整えている。さらに医師・看護師が訪問看護で電子カルテを参照できるようにモバイル環境を整備。これまで紙のカルテの情報を参照して患者さんを訪問していたが、ネットワークを介して必要な情報を参照でき、病院に戻ってから情報を再入力する
手間が省けるなど、様々な効果が期待されるという。
システムとネットワークの分離調達により、高速かつ冗長化された院内ネットワークを低コストに構築した山本病院。今回の新院内ネットワークの構築を契機に法人事務局情報室が一元的に管理・運営する体制を整えている。こうした組織づくりにも、医療情報を活用しながら地域医療への貢献とチーム医療へ積極的に取り組む姿勢が表れているといえるだろう。
地域の精神医療に注力する山本病院の新たな取り組みをアライドテレシスのネットワークソリューションが支えている。(取材:2011年9月) |